球技大会 1
私立ガイア学院高校では
一年に一度、学年ごとに
クラス対抗で球技大会が
期末テスト前に
実施されている。
優勝したクラスには
打ち上げ費用を4万円まで
生徒会が負担してくれるので
各クラスの熱の入れ方は
相当なものだ。
賞金がかかると
運動神経の悪い人を
補欠にしたり
休ませたりする
ズルい事を考える人もいるので
全員1競技には絶対参加
かつ男女混合チ-ムを
掟としている。
そして2年1組も
優勝を目指して
全員同じデザインの
お揃いのTシャツを作って
球技大会に参加していた。
1組のクラス委員である
棟方誠一が
試合前の教室で
『絶対に優勝するぞ?』と
掛け声を上げると
『オ-』と
男女問わず鼓舞に応えた。
『スゴイ気合いが
入っているのね?』
レナが隣の席の光に
話し掛けると
あくびをしていた光が
『お揃いのTシャツ代に
打ち上げ会場代』
『自腹をいかに減らすか
みんな必死なんだろ?』と
レナに解説をしている。
『自分だって、同じTシャツを
着ているのに』
『随分、他人事じゃない?』
少し、いじわるっぽく
レナが光に言うと
『俺は打ち上げには
いかないからな』と
言う光の言葉に
『え〜〜?』
『行かないの?』と
クラス全員が
振り返るほどの大声で
レナがビックリしている。
注目されて視線が痛いレナは
机の上で体を小さくして
『何で、お揃いのTシャツまで
作っておいて』
『打ち上げには不参加なのよ?』と
半分怒った口調で
光に聞くと
『Tシャツだって
作りたくなかったのに』
『強制的にサイズを聞かれて
作らされたんだよ』
『その上、打ち上げにまで
付き合わされてたまるか?』と
答えている。
え〜?
光君が出ないなら
私も出たくない。
光君が出ると思って
BlackExpressに
ムリを言って
帰りまで送迎を
頼んでしまったのに
どうするのよ?
そう憤慨するレナだが
BlackExpressを
辞める前に
打ち上げへの
出欠を聞かれていた光は
その時間は配送で
都内を走り回っていて
参加はムリだと予測して
『悪いけど、家の手伝いが
あるから不参加で』と
断っていたのであった。
いまさら、
『やっぱり出たいんだけど』と
言うのが恥ずかしくて
意地を張っている。
『俺達はドッチボ-ルで
優勝するだけだ』
『他の奴らがダメでも
俺達だけは頑張るぞ?』と
自分自信に言い聞かせるように
光は、そう言って
教室の外へと向かう。
その姿を見ていたレナは
嬉しそうである。
球技大会での
参加種目決めの時は
まだ意固地になっていたので
レナは参加すら
イヤがっていた。
だが半ば強引に光が
レナをドッチボ-ルへと誘い
光も参加する運びとなった。
わざわざ同じ学校に
転校してきたのに
別のクラスだった
1年の時とは
大きく違って
今では球技大会で
同じチ-ムである。
嬉しくてニヤけているレナに
『レナちん、そろそろ
外に行こう?』と
クラスメ-トが誘い
彼女も校庭で行われる
開会式へと向かうのであった。
教頭先生の、つまらない話が
終わり
球技大会は始まる。
バスケット、サッカー
ソフトボ-ル、卓球
ドッチボ-ル
男女混合チ-ムなので
各種目で実力は拮抗しており
なかなか盛り上がっている。
光とレナは
お揃いのTシャツに
同じ白いハチマキをしている。
するとレナの中に可愛い企みが
浮かんでいた。
試合前、集まっている
1組のドッチボ-ルの
メンバーに
『せっかくの記念だから
このメンバーで写真を
撮らない?』と
提案してみる。
すると
『いいね』
『記念になるな』と
一同が賛成すると
たまたま通りかかった
別のクラスの人に
カメラマンを頼み
レナのスマホで
記念写真が撮影された。
『大悟さん俺にも
送ってくれる?』
『IDは、これ』と
みんな自分のスマホを
出している。
すると最後に光が
『俺にも送ってくれるか?』と
スマホを出してきた。
これって、光君のIDを
ゲットじゃない?
レナは光との記念で
全体写真が欲しかっただけだが
思わぬ形で連絡先を
入手出来たのだ。
光に送られた写真では
レナは、ちゃっかり
隣を陣取っている。
送られてきた写真を
眺めながら光は
『お揃いのTシャツも
良いもんだな?』と
ほくそ笑んでいる。
その姿に気付いたレナは
『何か、嬉しそうね?』と
光に話し掛けると
スマホの画像を眺めたまま
『仲間との写真って
撮った事がないから』
『こういう写真は嬉しいよ』と
素直に感情を吐露してきた。
レナは意外だった。
レ-ス直後の表彰台の
てっぺんで
笑顔を振りまいている
光の記事を
たくさん見てきたので
クラスメ-トとの
写真なんて嫌がると
思っていた。
そんな時に
周りに光とレナしか
いない状況を確認して
『2人での写真も
撮って良いか?』と
光が聞いている。
え?
驚きで心臓が
止まりそうになったレナは
『うん』と
小さく頷く。
光が腕を目一杯伸ばして
撮影しようとしているが
画角が決まらない。
するとグイグイと光が
レナの肩に
自分のカラダを
押し付けてきている。
近い、近い
心臓のドキドキが
光君に聞かれちゃう。
『ほら、コッチを見ろよ?』
赤い顔をして
下を向いているレナに
スマホを見るように
光が促した瞬間に
『カシャ』と
シャッターがきられた。
そして光は離れていく。
放心状態のレナは
撮れた写真を見て
ご満悦の光を見るのが
やっとだ。
『大悟が有名人になったら
自慢しよう』
光に喜んでいる言葉を聞いて
レナが反応する。
誰かにも同じ事を
言われたよね?
そんな校庭の端で騒ぐ
2人の姿を見つめている
柳瀬マドカに視線に
光達は気付いていない。




