ず-っと前から好きな子
BlackExpressを
廃業した光は
他の配送の仕事は無い。
レナをテレビ局へと
送り届けた後は
バイクショップ『ダイナ』に
まっすくに戻って来て
今日、学校で起きた事を
バンさんに説明し始めた。
『要は、その光の事を
好きな女の子が
偶然、ネット検索で』
『全日本チャンピオン
早田光を見つけ出してしまい』
『レナちゃんから
尋問を受けて
自分でカミングアウト
してしまった、って事だよな?』
バンに聞かれた光は
黙って頷く。
『学校にバレる前に
自首して、レ-ス活動を
学校公認して貰おう?』
『でも、ダメだった場合は
学校は退学だし』
『BlackExpressも
廃業した訳だから』
『光君は高校中退で
無職になってしまう』
『その道を選んだだな?』と
バンさんに言われて
現実を突きつけられて
落ち込む光である。
レ-スに専念すると言っても
春から秋にかけて
年間8試合しかなく
後の時間は
時間が無限にあり
言わば二-トである。
レナの芸能活動の時の話を聞いて
その気になって昼休みに
職員室に行き教頭先生と
面談をしたが
『バイクの免許を学校に内緒で
取得していたんだ?』
と言う
中々イヤミな物言いに
心が折れそうになるが
自分が何故、ガイア学院での
学生生活を望んだか。
自分の現在のレ-ス界での
ポジションを
自分なりにアピールした
つもりであった。
だがバンさんに話した途端
『それって、黙っていれば
良かっただけじゃないか?』と
言われて光は
深く落ち込み始めたのだ。
『その子だって
映画を見に行く
打ち合わせの為に
光の連絡先を
聞いてきたんだろ?』
『連絡先を教えたくない相手と
お前は映画の約束をしたの?』
『連絡先を教えないで
駅前で待ち合わせって』
『ヤバい物の取引現場じゃ
ないんだから』と
バンさんに笑われているが
光は黙ったままだ。
光は自分自身で
マドカに怒った理由が
分かっている。
レナだ。
マドカはあえて
レナを潰す為に
目の前で映画の約束を
アピールしていた。
そして、理由をつけて
光の連絡先を
聞きだそうとしてきた。
極め付けは
自分は光の夢を知っている
特別感のアピール
レナの前での彼女づら
他の女子へも今後
やりかねない
その考えがあり
瞬間的に爆発をしていた。
『レ-ス中も、そうだが
お前は頭に血が昇り易い』
『時には流す事や
引く事も覚えておかないと』
『いつか痛い目に会うぞ?』
そうバンさんに
諭されて
『だるおも』状態の
綾瀬はるかみたいに
沈み込む光であった。
その日、仕事が終わり
自宅に帰って来たレナは
すぐにベッドに飛び込み
自分のスマホを取り出し
早田光を検索し始めた。
そこには
レナの知らなかった
光の顔が
たくさん出ている。
出てくる光の記事を全て
スクショで保存していた。
そしてスマホを
見つめながら
屋上での2人きりの
時間を思い出している。
それと同時に
恥ずかしさが
込み上げてきて
顔が真っ赤になってきた。
『誰にも言うなよ?』
『そう言って、光君の夢を
おしえて貰ったから』
『期待しちゃったんだよ』
あれ、って
告白だと思われたかな?
そう自問自答して
布団の上で悶絶する
彼女は
マドカが光に
公開告白をした時の事を
思い出して
光に彼女はいない
と言う
言葉を思い出した後に
自分の夢は
彼女にしか話さない
その部分だけ切り取って
更にデレデレした顔で
ベッドで転がっている。
コレって脈アリだよね?
そう思い
光と2人でデ-トする日を
妄想して
その日は眠りにつくのであった。
翌日、レナはいつもより早く
学校へ向かう。
1分1秒でも早く
光の顔が見たかったからである。
すると朝のホ-ムルーム前の
騒がしい廊下で
光と柳瀬マドカが
2人して歩いている姿を
見つけてしまう。
光が先導して
その後を下を向いて
トボトボ歩くマドカの姿は
光に呼び出されて彼女が
歩いている事が想像出来る。
廊下の端に向かう姿を見たレナは
無意識で2人の後に
ついて行った。
『悪いな、呼び出して』
光がマドカに詫びるが
彼女は顔を上げようとしない。
『昨日、きつい言い方をして
悪かった』と
光が頭を下げて
マドカに突然謝りだす。
その光の姿を見たマドカは
『そんな事をしなくても
誰にも言わないから
安心してよ』と
元気なく呟いた。
だが、その言葉を聞いた光は
『その件なら、他の奴にも
喋って大丈夫だから』と
笑いながらマドカに
告げている。
『え?』
驚いた表情の彼女が顔を上げると
『もう学校にバイクレ-スの件は
報告したから』と
笑顔で説明を加えると
『だって、ウチの学校
バイク禁止じゃない?』
ビックリしたままの
彼女が言っているが
『今度の理事会の
議題になるらしくて
結果次第では
退学も有り得るな?』
そう、あっけらかんに
笑っている。
『私のせいなの?』
不安そうな顔のマドカは
光に確認をするが
『お前が簡単に
見つけられる
くらいだから』
『秘密にしているには
限界だったんだよ』と
そう言ってきた。
するとマドカは
『その話を大悟さんと
屋上で話しをしていたから』
『2人は授業に出なかったの?』と
鋭い質問を投げかけてくる。
それを廊下の端で聞いていた
レナは、ドキッとして
聞いていたが
光は
『アイツは知らないよ』と
ウソをついて
マドカに答えている。
また雲行きが
怪しくなって来たと
感じた光は
『そういう事だから
映画の話もナシなんで』
と言って
その場から退散しようと
動き出した時に
『光君、大悟さんの事が
好きなんでしょ?』と
光の手を掴んで
聞いてきた。
『ハッキリさせといた方が
良いかもな』
マドカに右腕を
掴まれたままの光は
左手で後頭部を
かきながら
『俺、ず-っと前から
好きな子がいるから』
『他の子には興味はないんだ』
光とマドカの話を
聞いていたレナは
目の前が真っ暗になっていくのを
感じていた。




