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初対面

光を一瞬見た後に

視線を逸らし

『アナタと仲良くする気は

一切ございません』


そんな態度を取ってきた氷姫に

光はイラ立ちを覚え


彼女とは反対側の

校庭が見える窓に視線を変えた。


俺が何か嫌われる事を

こいつにしたか?


そもそも2年になって

同じクラスになるまで

氷姫の存在を知らなかったぞ。


クラスの女子と喋る事が

少ないが

彼女とは皆無と言っても

過言ではない。


コイツを一カ月

放課後にバイクで

テレビ局まで送る?


学校で、この態度の奴が

バイクのタンデムシートに座って

俺のいう事をきくのか?


後ろで暴れられてコケたら

俺までケガをしてしまう。


骨折なんてしてしまったら

今年一年を棒に振る事になる。


絶対に、それだけは

避けなければならない。


それを考えると

光は深いため息をつくのであった。


だが、そんな光の

ナーバスな空気など関係なく

古橋が光の席に近づいてきた。


古橋太郎

サッカー部に所属する

1年の時も同じクラスだった

クラスメートだ。


成績は中の中

身長は175cmで

光と同じくらいであろう。


彼をひとことで表現するなら

『女好き』である。


ルックスは普通なのだが

彼女欲しいオーラを

全面に出してきて

ガツガツ来るので


最初は普通に接していた

クラスの女子も

引いていくタイプの

男子だった。


噂では交換留学生で

来ているべネェズェラ人の女子に

日本語で土下座をして

交際を申し込んだが


後頭部を踏まれて

通り過ぎられた

そんな噂を持つ男である。


そんな古橋は氷姫に向かって

『レナちゃん、光の事を

よろしく頼むね?』と

突然話し掛けたのだ。


『バカ、よせ』


視線が合っただけで

玉砕した光が声を発すると


チラッと光の方を見て

『よろしく』と言って

また視線を逸らす。



喋った


初めて声を聞いた


噂ではクラスの女子が

LINEのグループを作るから

IDを教えて欲しいと言ったら

拒否された、とか


お昼に弁当を一緒に

食べよう?と女子が誘ったが

却下したとか


そんな噂を多く聞いており

光も腫れモノに触るように

避けていた。


だが鉄のメンタルの古橋は

一年生の頃に

既にレナにアタックして

振られていた過去があるが

気にせずに話し掛けて


彼女に

『よろしく』と言わせたのである。


『レナちゃんに何か

困った事があったら』

『光が全部、代わりにやるから

全部言ってね?』

そんな事を言うと


『クス』っと笑って


『その時は頼むわ』と

彼女に言わせたのであった。


この事で後日

古橋は『猛獣使い』と

言われるようになっていく。


驚きの光景の連続に

光が驚いていると

『レナちゃん

今度デートしようか?』と

古橋が大胆に彼女を誘ったが


間髪入れずに

『イヤだ』と

却下をされた。


そりゃ、そうだろ

変な納得をしている光を

氷姫はマジマジと眺めた後


何事も無かったかのように

スマホをいじりだす。


『光、レナちゃんの事を

頼んだぞ』

たった今、振られた事を

全く気にせずに

古橋は声をかけて

自分の席に戻って行った。


あのメンタルの強さは

俺も見習わないとダメだな


光が古橋を尊敬出来る

唯一の部分であった。


隣の席に芸能人で

美少女が座っている

メリットを感じないまま

今日の授業が終わり

光はダッシュで学校を後にする。


待ち合わせ場所の公園に

氷姫より早く着き

彼女にバレない為に

Black Expressの

姿に着替えなくては

ならないからだ。


公園に着くとバンさんが

既に店のワンボックスカーで

到着しており


光のCBR250RRを

ワンボックスに載せて

黒いCBRを車から下ろして

待っている。


『光、早く着替えろ』

バンさんが

走って来た彼に

声を掛けると


『無茶言うなよ』

『俺、学校から走って来たんだぜ』

そう言ってボヤくと


『真夏の午後14時よりは

暑くないぞ』とバンさんに

言われて


『そんな事は分かっているよ』と

捨てゼリフを言って

ワンボックスの中に飛び込む。


学校の制服を脱ぎ捨て

黒のツナギに黒のブーツに

黒のグローブ、

最後に黒のヘルメットを被り

準備は整った。


光がワンボックスから

下りると


氷姫がマネージャーらしき

男性と並んで

公園に向かって歩いて来た。


バンさんとマネージャーさんは

面識があるらしく

軽く会釈をすると


『レナ、この方達が

お前をテレビ局まで

送ってくださる方だ』と言って

バンさんと光を

紹介すると


全身、黒づくめの

光の頭から足元を

眺めた後に


『不気味だから、イヤだ』と

言い放ったのであった。







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