同級生は全日本チャンピオン
『どうしたら
光君は私に
振り向いてくれるの?』
自宅の部屋で
ベッドに寝転びながら
盗撮っぽく
写った光の写真を
眺めながら
ボヤく彼女は
私立ガイア学院高校
2年1組の柳瀬マドカである。
身長155cm、体重40kg台前半
ショ-トカットに黒髪
ザ普通の女子高生である彼女は
高校に入ったら
素敵な彼氏を作る夢を見て
高校に入学していた。
高校入学と同時に
3年生で学校No.1人気の
先輩に告白して玉砕
すぐに2年のチャラい先輩に
目標を変えたが
『鏡を見て、
出直してこい』と言われ玉砕
本気で韓国に行って
プチ整形を考えた時期である。
そして2年になり
クラス替えをした時に
目に飛び込んで来たのが
光であった。
『まぁまぁね』
『75点って、ところかしら?』
そこからは彼女の妄想が
スタートしていく
高校生活で1番楽しい2年生で
同じクラスで恋人同士
夏休み、体育祭、文化祭
修学旅行も一緒だ。
クリスマスに初詣で
バレンタインには
手作りマフィンを食べている
光をイメージしていた。
でも、見た目に騙されちゃダメ
中身の無い男はダメ
気持ちだけは
恋愛マスターである
彼女は
そう心に決めている。
ズッキュン
2年になって、すぐにあった
体力測定
マドカは光に心を射抜かれた。
陸上部や野球部
サッカー部で運動神経抜群な
男子達が
誰も歯が立たないほど
抜群な運動神経で
長距離走でインターハイに
出場していた同じ年の
陸上部に10秒以上の
差をつけてゴ-ルすると
陸上部の顧問が
土下座をして光に
入部を懇願しており
学校中の話題となった。
垂直飛びでも
バレ-ボ-ル部や
バスケ部より
跳躍力があり
その姿を見ていた
マドカの中での
光の評価はアップしていたが
『脳みそまで筋肉じゃ
女の子を幸せに
出来ないでしょ?』と
平静を装っている。
だが2年になって
すぐにあった学力考察で
英語で学年No.1を
取ったのを見て
完全に敗北宣言をしたのであった。
それからは
他のクラスメ-トに混ざり
休み時間に
英語の分からない場所を
光に聞いていて
だいぶ距離は縮まった
そう判断した彼女は
休み時間に
光にアプローチを
かけ始めた。
それと言うのも
自分以外のクラスの女子も
光を狙っているとの
情報が耳に入ったのだ。
マドカの調査では
光に特定の彼女はいない。
だから他の女子に
取られる前にと
モ-ションを
掛けたのだが
LINEのIDすら
教えて貰えなかった。
そして冒頭のボヤきに
繋がっていくのである。
ベッドでゴロゴロしながら
スマホをいじっているマドカは
『光君、フェイスブックとか
Instagramをやってないかな?』
そう言って
光のフルネームで
検索を始めた。
『あった』
マドカが喜んで
そのペ-ジを開いたが
東北に住んでいる
おじさんが
自信満々で微笑む
写真が目に飛び込んでくる。
SNSあるある、である。
お目当てのアイドルの名前を
ググって検索したら
ハゲたジジィが
ヒットしてしまう
同姓同名あるあるであった。
『コイツじゃない』と
マドカもビックリしていたが
検索を、し直しても
出てくるのは
そのおじさんと
バイクレ-サ-だけだった。
『もう、光君が見たいのに』
マドカはボヤきながら
検索を繰り返していたが
『このレ-サ-の
記事しか出て来ないじゃない』
そう言って
そのペ-ジをクリックした。
早田 光(17才)
全日本J-GP3クラス
第4戦 鈴鹿も制覇
『コッチは光君と同じ年だ』
そう呟いたマドカは
特に意識する事もなく
次の記事も見ていた。
『この人、光君に似ているね』
そのペ-ジは写真付きであった。
そして次の記事を見た時
『え〜〜』と
絶叫した。
そこからはググって
出てきた全ペ-ジを
見まくっている。
全日本J-GP3クラスの
史上最年少チャンピオン
今年のランキングも
ぶっちぎり1位で
2年連続チャンピオンが
見えている。
優勝して
表彰台の1番高い場所で
学校では見せた事のない
笑顔を見せる光君。
彼女にしか教えない秘密は
コレだ
マドカは、そう確信した。
次の日、学校にマドカが着くが
教室には光の姿は、まだない。
すると廊下を歩いて来る
光の姿をマドカが捉えた。
彼に走って近寄り
『光君、ちょっと良い?』と
話し掛けると
先日の教室で
彼女に対して
冷た過ぎる態度を
取った事を反省していた光も
『おぅ、何?』と
彼女の話に耳を
傾ける姿勢を見せると
『光君が言ってた
彼女にしか言わない
夢が分かったんだ』と
マドカが笑顔で言ってきた。
また、その話か
『いいよ、その話は』
そう言って
光がマドカに背を向けて
立ち去ろうとした時に
『全日本チャンピオン
おめでとう』と
彼女は光に賛辞を伝えた。
驚いた顔をして
振り返った光に
マドカは
『先週の鈴鹿でも、
優勝出来て良かったね』と
微笑みかけてきたのであった。




