営業終了
『今日もよろしくお願いします』
レナは明るい表情で
バンさんに挨拶をする。
まだ、聞いていないんだな
バンさんは、そう感じながら
『レナちゃん、今日は一段と
可愛いね?』と
務めて明るく声をかけていた。
すぐにBlack Expressに
着替えた光が現れて
CBRに火を入れる。
『光、今日
仕事が終わったら
店で話がある』
レナが来る前にバンさんから
そう告げられていた。
『今、話してよ?』と
光が、そう言ったが
『少し長くなるから
仕事が終わった後だ』と
言われてしまった。
こういう時って
ややこしい話なんだよな
そう思っていたが
それよりレナの方が気になる。
すぐに公園を出発して
テレビ局へと
Black Expressを
走らせていた。
すると、すぐにレナが
『ライトさん質問しても
良いですか?』と尋ねてくる。
『はい、何でしょう?』
クチでは、そう答えているが
やはり来たか、と
身構える光であった。
『男の人の気持ちを
ライトさんに
教えて貰いたいんです』と
レナが聞いて来たので
光は
『どういう状況か分かるように
説明して下さい』と
レナに説明を促す。
そこでレナは
『私の好きな人が
クラスの女の子に
告白されたんですけど』
『その人には叶えたい夢があるから
彼女を作る気は無いって、
断ったんです』
『そうしたら、その女の子が
その人に、その夢を
教えて下さい、って
頼んだのに』
『大事な夢は彼女にしか
言わない、って
それも断っちゃったんです』
『でも、私と彼が
今日は日直だったんですけど』
『彼と一緒に歩いている時に
私が秘密を教えて?って
聞いたら』
『廊下の角に行って
誰にも言うなよ?って言って
夢を教えてくれたんです』
『これって私は彼女だって
思って良いんですよね?』
そうレナが説明した事を聞いて
光は思った。
誰でも、そう受け取る。
光自身は、そこまで重く
受け止めず行動していたが
レナの説明を聞いて
倒れそうになっている。
レナの表現には
誇張は一切ない。
どうする自分?
だがレナはライトと光が
同一人物だと知らない。
このテレビ局までの時間に
事態の修正を出来ないか?
考えてみよう。
そう思っている時に
『ライトさん聞いていました?』と
レナが確認してくる。
『聞いてました、聞いてました』
そう相槌を返すが
次の言葉が出ない。
『彼女にしか言わない
叶えたい夢を
教えてくれたんですよ?』
レナは明るい声で
光に再度、確認するように
話し掛ける。
すると光は
『好きだ、って彼は
レナさんに言いましたか?』
そう問いかけた。
それを聞いてレナは
ハッとする。
『レナさんは彼に
好きだ、って気持ちを
伝えましたか?』
光の更なる質問に
レナは黙ってしまう。
光は咄嗟に思いついた
彼氏、彼女の関係になるには
お互いの意思を確認してから
付き合うのでは?
そう考えて
愛の告白無しで
彼女と思うレナは
早合点しているだけだと
諭すつもりであった。
だがレナは
『親友にも言わない
大事な夢を私にだけ
教えてくれたんですよ』と
引き下がらない。
光にはレ-スの時と同じく
勝利の道筋が見えてきた。
『例えば、女の子の告白が
みんなの前でしていたら』
『夢の話は他の人にも
聞かれてしまう』
『恥ずかしいから
彼女にしか話さないと言って
サラッと
断ったんじゃないですか?』
そう聞いたレナは
納得している。
『親友にも話さないって
言ってましたけど』
『その親友は秘密を守る
タイプですか?』
光に聞かれたレナは
『結構、おしゃべりなタイプです』と
古橋の印象を伝えた。
『だったら親友でも
俺なら喋らないですね』と
ライトが光の意見を
代弁した。
『なんだ、そうなんだ』
呟くようにレナが
ため息まじりに言った
言葉を聞いて
マズいと思った光は
『でも、レナさんにだけ
教えて貰ったのは
すごいじゃないですか?』と
持ち上げるように
つけ加えた。
それを聞いたレナは
廊下での2人の会話を思い出した。
『誰にも言うなよ?』
みんなには言っていない
私だけの秘密だ。
『そうですよね?』
レナの声が
明るくなったのを聞いて
光もひと安心する。
やがてテレビ局に到着すると
今日も東さんが待っていた。
2人を出迎えた東さんが
『今まで、ありがとうね』と
光に近づき肩をポンと叩いた。
?
意味が分からない光
『ライトさん、明日も
よろしくお願いしますね?』
レナの明るい笑顔を見て
東さんは彼女は
聞いていないと察した。
テレビ局の楽屋へ向かう
廊下をレナと歩いている時に
東さんは告げた。
『ウソでしょ?』
『ライトさん
何も言ってなかったですよ』
その日の仕事を終えた
光がバイクショップダイナに
戻って来た。
学校の制服に着替えた光が
『そういえば話って
何ですか?』と
バンさんに質問すると
『Black Expressを
廃業する事にした』と
光に告げたのであった。




