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彼女の条件

『私は彼女に成れる可能性が

ありますか?』とレナが

質問をしてきた。


ドキッとして

心臓が止まりそうな

質問である。


それは早田 光としてか?

BlackExpressの

ライトとしてか?


その事を頭の中で考える。


今はバイクのレ-サ-として

ステップアップするのが最優先

そう信じて生活してきた。


だが、最近は家に帰ると

レナが出演していた

テレビ番組を見る事が

楽しみである。


学校でレナが

他の女子と嬉しそうに

喋っているのを見ると

自分も嬉しくなる。


それはレナが可哀想だと思う

過去を知ってからの

同情なのか?


人付き合いが苦手だった

彼女がクラスメイトと

打ち解けられている

満足感なのか?


だがレナが他の男に

話し掛けられていると

イライラしてしまう。


それはレナの事が

好きだからなのか?


光は、あらゆる可能性に

自問自答するが

答えが見いだせずにいる。


沈黙してしまった光に

『ライトさん、冗談ですよ』と

レナが話し掛けて


光は、ハッとする。


『そうですよね?

冗談ですよね?』

光が、そう答えると


『まぁ、そんな事は

あり得ないと思いますけど』


『もし仮に私がライトさんに

付き合ってって言われても』

『私には心に決めた人が

いるって言って

断っちゃいますから』


そりぁ、そうだよ


光が安堵していると


『あの人は今日も学校で

私が困っていた時に

助けてくれたんですよ』


『やっぱり素敵な人なんです』と

嬉しそうな声で

説明をしてきた。


そこからレナは

今日、学校で起きた事を

こと細かく説明している。


真後ろでヘルメット越しなので

表情は見えないが

明るい笑顔である事は

声から想像がつく


『最近は毎日の景色が

輝いていて』

『学校も、お仕事も

毎日楽しいんです』


レナの、その言葉を聞いて

光は、その幸せを

壊さないように

務めて行こうと

改めて誓ったのであった。


そして、あっと言う間に

関東テレビに

レナ達は到着する。


すると珍しく

マネージャ-の東さんが

駐車場で待っていた。


『お疲れ様』

光に、話し掛けた東は

『ライトさん、

今日もありがとうございました』と

言って送迎を労う。


ヘルメットを取ったレナも

『ライトさん、明日も

宜しくお願いします』と言って

光にヘルメットを渡し

彼を見送った。


『レナ、今日は

控え室に入る前に』

『スタッフルームに

一生に来て欲しいんだ』と

東さんが

待ち受けていた理由を

彼女に話す。


スタッフルームとは

タレントとディレクターが

番組出演前に

打ち合わせをする部屋で


テレビのドッキリ番組なので

よく隠し撮りをされている

あの部屋の事である。


そこで東さんとレナは

出演番組のスタッフの人に

呼び出されているとの事だ。


『俺も今さっき言われたばかりで

内容は聞かされていないんだ』と

東さんは言っているので

レナは尚更

呼び出された理由に

検討がつかない。


昨日の出演時は

失敗もなく

そつなく、こなしたつもりだ。


呼び出されて怒られるような事は

してないよね?


レナが、そんな事を

考えていると

ディレクターが

スタッフルームに入って来た。


『待たせちゃってゴメンね』と

2人に詫びながら

打ち合わせ用の長机の前に座り


『単刀直入に言う』

『契約延長だから』と

レナの目を見ながら喋っている。


『契約延長ですか?』と

マネージャ-の東さんは

席から立ち上がって

確認をすると


『とりあえず番組は

年内まで放送が

決まっているから』

『あと半年は

レギュラー確定で、よろしく』と

ディレクターは軽く言ったが


東さんは

『ありがとうございます』と

深々と頭を下げて

お礼を言っている。


その姿を見て

レナも椅子から立ち上がり

頭を下げていた。


当初レナの契約は

一カ月の番組出演契約であった。


番組側は使えるか?

使えないか?

分からないタレントを

お試しで番組に起用する事が多い。


レナのような新人では

一カ月契約も珍しくない。


『レナちゃんの人気は凄いよ』

『番組のホ-ムペ-ジや

公式Twitterには』


『レナちゃんの出演を増やせって

要望が毎日来ているし』

『番組内の数字でも

ハッキリしているんだよ』と

彼女の出演が好評を

得ている事を

教えてくれた。


『ここだけの話

番組に出ている女の子の中で

選抜してCDを出す話も

進んでいるから

頑張ってよ』と言って

スタッフルームから

ディレクターさんは

出て行ってしまった。


『ヤッタな、レナ』

東さんは

契約延長を喜んでいるが

レナは一カ月後も

ライトにBlackExpressで

送迎して貰える事を

喜んでいた。


番組の出演が一カ月と

聞いていたので

BlackExpressの

送迎も一カ月の

期間限定であった。


ライトのおしゃべりが

楽しみだったレナは

後2週間ちょっとで

終了してしまう


それが気になっていたので

半年の延長は大歓迎である。


だが、それと同じ時間に

展開が変わる事が起きていた。


バイクショップダイナに

2人組の背広姿の男性が訪れて


『すいません、ちょっと

宜しいでしょうか?』と

店内に向かって

声をかけた。


そう声を掛けられて

ツナギ姿のバンさんが

『いらっしゃいませ』と

出てくると


『警視庁、広域犯罪課の

モノです』と

バンさんに警察手帳を

提示してきたのであった。










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