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好きな人

レナの告白に

言葉が出ない光だが

彼女の話は続いており


『恥ずかし過ぎて

今日はもう目を

合わせられないから』


『その後は一言も話せずに

帰って来ちゃいました』

そう言って

さっきまでのレナの奇行の

解説をしてきた。


それによって

確定した事がある


レナは俺の事が好きだ。


だが接点が

全く無いのに何故だ?


そもそも光とライトが

同一人物だと知らないから

今、俺に全てを

喋ってしまっている。


こんな形で彼女の気持ちを

知ってしまうのは

人間として

卑怯じゃないのか?


そう思った光は

『そんな大事な話を

赤の他人である俺に

話しても大丈夫なんですか?』


これ以上の

カミングアウトを

制止する意味もあり

そう光が聞くと


『こんな嬉しい事

誰かに喋りたくて

たまらないのに』


『私友達が1人もいないから

誰にも話せなかったんです』

『誰かに聞いて貰いたくて

しょうがなかったんですよ』


そう興奮気味に話すレナに

『そんな大事な話なら

なおさら、俺には

話しちゃダメじゃ

ないですかね?』と

忠告するが


『なんで、ですか?』

『一番はライトさんに

話そうって決めていましたよ』

当たり前のように

そう話すレナ


『何故、俺なんですか?』と

驚いた声で光が

聞き返すと


『だって私が変われたのは

ライトさんの、おかげだから

ですよ』と

笑い声を交えて説明する。


『俺、何もしてないですよ』と

反論する光に


『テレビ出演の初回で

失敗しなかった事は』

『それが成功だったと

教えてくれて』


『成功体験の積み重ねは

やがて自分の自信に

繋がっていくって

教えてくれたじゃないですか?』


『失敗しても、若い自分は

途中経過だから大丈夫って

言ってくれたり』


『超ネガティブな私が

頑張れる人間に変われたのは

間違いなくライトさんの

言葉だったんです』


そう言われた光は

返す言葉がない。


『ライトさんの言う事を

聞いていたから

全部上手くいってると

思うんです』


『クラスの女子に

話し掛けられても逃げない』

『誰かに助けて貰ったら

ありがとうって言う』


『それが出来るように

なったのは

ライトさんのアドバイスの

おかげなんです』

レナは、そう力強く言ってきた。


その話を聞いて

光は更に混乱している。


だったらレナが好きなのは

ライトなのでは?


それなのに

席替えしてから

初めて喋った俺の事が

好きなのは何故だ?


だが、そんな事は

言える訳もなく

テレビ局が近づいている。


『だったら今日も

頑張ってテレビに出れますね?』

締めの言葉として

レナに話した時

信号待ちでアクセルを緩めた。


『光君、今日も見てくれるかな』


走行中なら風切り音や

エンジン音で、かき消される

独り言が

漏れている事にレナは

気付いていない。


マイク音を拾って

しっかりと聞こえていた

光だが

聞こえないフリをしている。


関東テレビに到着したレナは

自分が被っていた

フルフェイスの

ヘルメットを外すと

『今度はライトさんの

彼女の話を聞かせて下さいね?』


そう言ってウィンクをした。


氷姫と言われていた事が

ウソのような笑顔だった。


ヘルメットを受け取った

ライトが

『俺に彼女はいないです』と

答えると


『本当ですか?』

『明日、そこを重点的に

聞きますからね?』

『いってきます』

そう言ってレナは

テレビ局の中に

消えて行った。


彼女の被っていた

ヘルメットを背中の

リュックにしまった光だが

そこから立ち去る事が

出来ずにいる。


レナの気持ちを知ってしまい

明日から学校で

どう接したら良い?


BlackExpressとして

1週間

彼女を送迎して知った

彼女の本当の姿は

弱い女の子であった。


自分を表現するのが

とても苦手な子で

悪い子じゃない。


だから応援したくなって

学校で宣伝していた。


自分は、どうしたいんだ?


テレビ局の前で

バイクに跨ったまま

光は考え込んでいたのであった。










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