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放課後のアルバイト

中間テストが終わったら、

すぐに期末試験の声が

聞こえてくるが


早く夏休みになる事を

願っているのは

俺だけではないだろう。


都内にある私立ガイア学院高校

2年1組の教室で

早田光はたたずんでいた。


『光君、古文のテストは

何点でした?』

教室の机に被る形で

寝ていた俺に

話し掛けて来たのは

友人の古橋だ。


『古文なんて

この先使う事なんて、あるか?』

『俺には必要ない知識だ』


頭を上げずに古橋に

答えた俺だっただが

テストの点数は

散々たるモノだった。


『そういう事は

赤点を免れた人が言うと

カッコイイけどな』と

イヤミを言って

奴は俺の席から離れていく。


補習はイヤだな

俺には時間がないんだよ


1分1秒すら無駄にしたくない。


放課後に部活に汗している

クラスメ-トを尻目に


帰りのホ-ムル-ムが

終わって

すぐに学校を出た俺は


学校から少し離れた場所にある

公園に向かう。


公衆トイレがあり

子供が遊ぶ遊具が揃っている

少し大きめな公園には


地域の町内会の人が使うような

プレハブの物置があるが

その裏は死角になっている。


そこにカバーをかけていたのが

愛車HONDA

CBR250RRである。


通学には学校の許可を取って

安全な自転車を利用する


生徒手帳に書いてある事を

完全に無視した

バイク通学をしているのには

大事な理由があった。


家庭を助ける等、正当な理由が

ある場合はアルバイトを許可する。


それも生徒手帳に書いてあったが

バイクのロ-ンを払うと言う

大事な理由と


もう一つの重要な理由の為に

バイト先に

俺は急がないと

いけないからであった。


住宅街の外れにある

小さなバイクショップ

『ダイナ』

そこが俺のバイト先である。


危ない


道路の邪魔


雨が降ったら最悪


転んだら大ケガをする


かつてはオ-トバイが

売れまくっていた


そんな昔の話がウソのように

今バイクを取り巻く環境は最悪だ。


一ヶ月に一台スク-タ-が

売れれば良い方で


後は1週間に一回

バイクの修理の人が来るくらいで

町外れのボロバイク屋が

潰れないのは不思議である。


そんなバイト先のバイク屋に

光はバイクを走らせて

店に到着したのだ。


『バンさん、今日は?』

光がバイク屋の主人である

諸星バンに仕事依頼を

確認すると


『今日は3件だ』

『急いで着替えて来てくれ』


そう言って光に

バイクショップ内で着替えるように

促している。


それを聞いた光は

愛車CBRを店先に置くと

店内へ走って行った。


すぐに黒い革ツナギの

ライダース-ツに

黒のフルフェイスの

ヘルメットを被った

光か現れた。


履いてるブ-ツも黒で

頭の先から足元まで黒づくめで

店内から押しながら

出してきたバイクまで

ブラックである。


『まずは丸の内のAB商事に

向かってくれ』

『移動中に詳しい事は

説明する』

そう言われた光は

『了解です』と言って

バイクのエンジンをかけると

すぐに店を出発して行った。


フ-ドデリバリー?

一瞬、そんな勘違いを

してしまいそうだが

彼の仕事は違っていた。


朝と言わず夕方と言わず

東京都内の道は渋滞している。


『急いで届けて欲しい』


依頼主が、そんな事を

願っても宅配便が

荷物を受け取って

届けるのは早くて翌日だ。


すぐに届けるなら

自分で持って行って

届けるしかない。


だが時間的に難しかったり

交通費が掛かる場合もある。


どうしても急いで

物を届けて欲しい


そんな依頼主の希望を

叶えるのが彼ら

『Black Express』であった。


法律に触れる物は運ばない。

犯罪に抵触にする事はしない。


その企業方針で

バイク急送便として

行動をしていたのであった。


依頼される物は

多種多様である。


仕事のプレゼンで使う

ノ-トパソコンを忘れたので

届けて欲しい。


発表会で使うドレスを

忘れてしまったので

会場まで届けて欲しい。


原稿の締め切りに間に合わない

漫画家の原稿を

印刷所まで届けて欲しい

そんな依頼まである。


そんな需要と供給で

この仕事は成り立っているが

彼らは国土交通省に

運輸業の届けを

出してはいない。


信号は守る


だがスピード違反はする。


少しでも早く、お客様に

お届けしたい。

その気持ちだけなのだが

お巡りさんは

許してくれないだろう。


運送業の免許を取ったら

会社名を出して配達せねば

ならず


白バイを振り切った後に

会社名を調べられて

後から逮捕に来るだろう。


光は警察に絶対に捕まる訳には

いかなかった。


とても大事な理由


そしてバンさんが

ひっそりと活動していた

秘密のバイク急送便の仕事を

光が二代目として

こなして行く事となって

いったのであった。


『バンさん、終わったよ』

光がバイクショップに

戻って来た頃は

21時を過ぎている。


『ご苦労さん』

『光、着替えたら

明日の仕事の打ち合わせを

したいから』

『コッチに来てくれ』


諸星バンに、そう言われた光は

『わかりました』と答えたが

少し違和感を覚えた。


仕事の依頼は緊急な件が多く

SNSで来た案件を

バンさんが確認して

依頼を受けるか?

決めていた。


光が学校に行っている間に

発生した依頼が多く

ダイナに着くまで

今日の依頼が決まっている事は

なくて


前の日の依頼を聞いたのが

初めてであったからだ。


高校の制服に着替えた光が現れて

『珍しいね?』

『明日の依頼が

決まっているなんて』


『遠方ですか?』

そう光が、聞くと

『都内だ』とバンが答えた。


『都内で予約なんですか?』

光が質問すると


『これから一カ月、タレントさんを

テレビ局まで届ける仕事だ』

バンさんは、何事もなく

説明したが


『荷物が人間?』

『しかもタレント?』


光は驚いて大きな声を

出していたのであった。











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