12.討伐完了
ーーーーまだ、まだ、まだ!ここで諦めたらどうする!バルーンウルフ1体狩れなくてどうするんだよ!
カイは内心焦っていた。初めて剣を握ってから約1時間以上経過していたが、いまだに一体も討伐することができず、カイの体力は限界を迎えていた。
「カイ、今戦ってもただ疲れるだけだよ?まだ明日があるんだから。」
「ごめん、少し意地になってた。でもあと少しだけやってみるよ。何かがつかめそうなんだよ。」
「じゃあこのまま続けても危ないだけだから、あと3体倒したら帰るよ」
「わかった、やってやるよ!」
まずは一体目、目の前にいるバルーンウルフに向かって飛び出しすぐさまに攻撃。1撃当てることに成功したものの、倒すことができずに終了。
「カイ今のすごい惜しかったよ!そうだコツではないんだけど、スキルを使ってみるのもありかもよ。」
「そうだ!それだ!!ありがとうルナ!」
ルナの意見を参考に2対目討伐を始めた。カイはスキル「創造」を使い炎を宿しバルーンウルフに向けて振り下ろした。が当たる前に爆破してしまった。またも討伐失敗。
「今のは凄かったけど、そのスキルってそんな事もできるんだ!でも今のは炎の威力が強すぎてすぐに爆発しちゃったんだと思うよ。」
「そんなのありかよ……って待てよてことは!」
「なにか閃いたんだね!じゃあ最後行ってみよう!!」
最後の3体目。
カイは剣を持たずにそのままバルーンウルフへと向かった。当然何も装備していないため、バルーンウルフは突進してきた。カイに攻撃が当たる寸前の事だった。バルーンウルフは姿を消したのだ。
「へ?何があったの今。」
「それはねスキルで魔法を作ってそれをバルーンウルフに向かって打ち込んだんだ!」
そうカイはスキルを使い、火属性の魔法。ファイヤーボールを生成。その後バルーンウルフに向かって放ち当てることに成功。討伐成功だ。
「やっったあああああ!!!」
「カイすごいよ!おめでとう!!」
カイの冒険者そして勇者としての人生が幕を開けたのだった。