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第24話 契約

 私は馬車二台をストレージ内で、板バネを加工して取り出した。


「レナさんいったい、なにをしたのかね?」

「車輪のところを見てください。馬車の乗り心地が良くなるように、板バネを付けたのです」

「板バネだと?!」

「はい。板を層状に積み重ねて造り、路面からの衝撃を吸収する物です」

「そんなことで軽減するのか?しかも収納魔法はそんなことが出来ると言うのか?」

「私は木工加工が得意でして…、あはははは!!」

 と、訳の分からないことを言いながら私は笑う。



「乗ってみればわかります。さあ、どうぞ」

「あぁ、物は試しと言うからね。では乗ってみようか」

 公爵はそう言うと馬車に乗り込む。


 パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、

  パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、

   パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、

  パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、

 パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、パカ、


 馬車は順調に走り出す。

「これは凄い!!こんなに乗り心地が良いとは思わなかった」

「そうですね、おじい様。これならお尻は割れませんね」

「こら、ヘーゼル。そんなこと言うものではない」

 公爵がヘーゼル公女を(たしな)める。

 それは孫が本当にかわいくて仕方がないと言う顔をしている。


「レナさん、これを売りだすことは考えていないのかね」

「売り出すですか?私は馬車販売をする気は無いのでありません」

「そうではない。では構造と権利を売ってくれないか。貴族はなになしらの事業をやっていてね。丁度、木工加工をやっているのさ」

「えぇ、いいですよ。私には宝の持ち腐れですから」

「では街の宿屋に着いたらさっそく、契約を交わそう」

 そう言うとマドック公爵は嬉しそうに笑った。


 予定では夕方に隣街ラルフに着き、宿屋に泊まる。

 明日はその領の領主グレタ公爵の晩餐会。

 そして明後日の朝、タラスの街へ戻る予定だそうだ。

 なんだかせわしないわね。

★板バネ

 クルト王国 西暦✖✖✖✖年


 その年、マドック公爵家が『板バネ』という馬車用のバネの特許を所得。

 馬車製作部門に参入する。


 馬車の乗り心地の悪さを改善する、『板バネ』を馬車に装備し販売を始める。


 舗装整備もされていないその時代では、馬車は乗り心地が悪いものだった。

 しかし、歩きでは体裁が悪い富裕層は、そう言う物だろうと我慢していた。

 それを一掃したのが『板バネ』を装備した馬車だ。

 乗り心地はとてもよく、その快適さに人々は魅了された。


 その快適さはやがて諸外国にも広がり、今のいしずえを築いた。

 各地に馬車工場を築き、雇用促進に励みたくさんの人々の暮らしに貢献した。

 これが産業革命の一端になったと言っても過言ではない。


 今でも『板バネ』博物館に行くと、第一号の馬車が展示してある。

 ただ一号機だからなのか、二号機以降の馬車と『板バネ』の構造が違う。

 しかも製造されてから数百年経つ今でも、変りないく輝いているという。


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