私的文章1
あんたはわたしの人生を変えた。
わたしはずっと、神様を呪っていた。神様は、誰も望んでいないのに、わたしみたいな化け物を、この世界に投げ捨てて、放置した。残酷なのよ、とっても。
ママはね、わたしの六歳の誕生日に、殺されちゃった。わたしの目の前で。わたし、ママと一緒に死のうとしたの。でも、死ねなかった。わたしは化け物だから。
ママを殺したあの人たちは、私は「救世主」だって言う。私は人類の罪を贖うために生まれた神の御子だって。だから、死と復活を繰り返さなきゃいけないんだって。何百回、何千回、何万回、何億回。神様が赦してくれるまで、私はずっと我慢しなきゃいけないんだって。あの頃のことは、思い出したくない。
あのね、あんたは私のこと、真の善人だって言ったけど、本当はそうじゃないんだよ。私はあの人たちが憎くて憎くて憎くて、あの人たちを呪っていたの。最悪のやり方で痛め付けて、永遠に殺し続けてやりたいと思ってたんだ。
あそこから救い出してくれたのが、パパと、ここのみんなだった。
実験には協力しなきゃいけないけど、麻酔を打ってくれるし、鎮痛剤も投与してくれる。わたしみたいな化け物に、人道的な扱いをしてくれるの。すごいことだよ。
わたし、ここのみんなに恩返しがしたいから、頑張ろうって決めた。そのつもりだった。
わたしが生きていけるのは、ここしかないと思った。ここの暮らしは、苦痛に満ちているけど、私が生まれ育った地獄よりはるかにマシだったし。
ここでなら、ギリギリ耐えられる。なんとか、生きていける。生きていたって、良いことなんか、ひとつもないけど。
ママは、わたしのせいで、不幸になって、死んじゃったのに。パパは、わたしのせいで、残酷な人になっちゃった。それでも、わたし、死にたくなかった。それを、認められなかった。だから、わたしはみんなの為に生きるんだって、他の化け物とは違うんだって、自分に言い聞かせて。
私はただ生きていただけだった。
でもね、あんたは教えてくれた。化け物になっても、生きる意思をもてるんだって。私が捨て去った私自身を、取り戻してくれた。
わたしは、わたしが人間じゃないことが許せなくて、人間のふりをして生きていた。
あんたに会えなかったら、わたしはずっと、そのままだったかもしれない。
あんたに出会えて、本当に良かった。
わたしね、あんたのこと、尊敬してる。あんたは身も心も強い怪物。あんたと一緒なら、わたしも強くなれるよね。
わたしを受け入れてくれて、ありがとう。おいしく食べてくれたなら、嬉しいんだけど。
親愛なる伯父さんへ、愛を込めて。ダイアナより。