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収容プロトコル

 特別収容プロトコル: ■■■-■■■-■■は標準的人型収容室に収容されます。




 ■■■-■■■-■■には1日3回の食事を与えてください。職員と同じもので構いません。■■■-■■■-■■の生命活動は飢餓による影響を受けませんが、水分・栄養補給を停止すると飢餓状態に陥り、多大な精神的苦痛を感じます。




 ■■■-■■■-■■と接する際は、微笑みを絶やさず、寛容であり、親切であるよう心掛けてください。■■■-■■■-■■の精神状態が思わしくない場合は、ストレスケアを実施してください。ストレスケアの実施は、観測部門の審査において■■■-■■■-■■から一定の信頼を獲得していると評価された職員が担当してください。ただし、■■■-■■■-■■の境遇に過度の同情を示す職員は直ちに別のプロジェクトに転属されます。




 特記事項:■■■-■■■-■■はオブライエン博士に対して非常に強い思慕を示します。オブライエン博士は少なくとも週に一度、■■■-■■■-■■と面会してください。オブライエン博士は自身が■■■-■■■-■■に与える精神的影響が重大であることを自覚し、対応マニュアルを熟読した上で対応し、言動には細心の注意を払ってください。




 説明: ■■■-■■■-■■は、身長144cm、体重32kg、十歳の少女です。■■■-■■■-■■は同じ年頃の健常児同様に会話・動作・意思疎通が可能です。




 DNA検査の結果、■■■-■■■-■■は元公社職員【削除済み】の娘であることが判明しています。




【削除済み】は██/12/01【厩にて待つ我ら】翼下にある武装集団【十二使徒】による公社襲撃の際に拉致され、その後十年間、行方不明となっていました。【削除済み】は当時、妊娠33週目の妊婦でした。【削除済み】は襲撃の三日前、公社が【厩にて待つ我ら】施設より回収・保管していたアーティファクトに無許可で接触、結果的に吸収し、標準的人型収容室に収容されていました。【厩にて待つ我ら】は【削除済み】が収容された収容室を襲撃、【削除済み】を拉致しました。襲撃により■■人の職員が死亡、■■■人の職員が重傷を負いました。後の調査によって【厩にて待つ我ら】の目的は「【聖母】及び【救世主】の奪還」であったことが判明しています。




 ██/11/09公社による【厩にて待つ我ら】制圧が決行されました。制圧後、施設内を調査していたオブライエン博士が、地下室にて■■■-■■■-■■を発見しました。発見時、■■■-■■■-■■は百余りの肉片に細断されており、オブライエン博士はそれらを回収しました。13時間後、■■■-■■■-■■の異常性が発現しました。




 ■■■-■■■-■■の生命活動が停止すると、■■■-■■■-■■の肉体は再生を開始します。■■■-■■■-■■の再生能力は著しく、僅か50gの肉片からも再生、完全無欠の身体となることが可能です。




【厩にて待つ我ら】は■■■-■■■-■■が彼らの信仰の対象である【救世主】であるとして、■■■-■■■-■■を虐待していました。虐待は常習化しており、その手法は極めて残忍なものです。【厩にて待つ我ら】の教義によれば、■■■-■■■-■■に対する虐待は【復活の試練】であり、【復活の試練】に伴う苦痛は【贖罪】であり、彼らの聖典には「【聖杯】が【救世主】の苦痛と死によって満たされた時、我らは【赦しの奇蹟】を賜る」と記されています。■■■-■■■-■■の異常性の原因は、母体によるアーティファクトへの接触及び吸収にあると推察されており、調査は継続されています。











 補遺:




 ██/03/02:




 実験記録:鎮静化された ■■■-■■■-■■の首を切断後、頭部と胴体をそれぞれ収容室に安置した。十分後、胴体の切断面に肉腫が発生し、頭部は8時間をかけて完全に再生した。切断された頭部に変化は見られなかった。■■■-■■■-■■は生命活動停止後、脳神経の有無によらず、最も大きな肉片より再生する可能性が高い。再現性について要検証。








 実験記録:再生完了直後、覚醒した■■■-■■■-■■は苦痛を訴え、絶叫、のたうち回った。錯乱状態は再生後1時間が経過しても回復せず。




 追記:デイモン助手が独断で■■■-■■■-■■に鎮静剤を投与。その後、 ■■■-■■■-■■は覚醒と錯乱、昏睡を繰り返した。デイモン助手はオブライエン博士より厳重注意を受けた。








 ██/03/04




 実験記録: ■■■-■■■-■■は未だに質問や刺激に対する反応が鈍いものの、平静を取り戻しつつある。




 追記:■■■-■■■-■■は再生に伴う苦痛を恐れ、酷く怯えているとして、デイモン助手はオブライエン博士に実験の中止を提案するも、オブライエン博士はこれを却下した。








 ██/03/08




 デイモン助手は、オブライエン博士の■■■-■■■-■■に対する実験が非人道的であるとして倫理委員会へ提訴。倫理委員会による調査が開始される。この間、オブライエン博士は■■■-■■■-■■に対する実験及び■■■-■■■-■■との接触を禁止される。








 ██/03/18




 倫理委員会は■■■-■■■-■■に対して聞き取り調査を実施。■■■-■■■-■■はオブライエン博士を擁護する発言を繰り返し、オブライエン博士との面会並びにオブライエン博士による実験の継続を希望した。








 ██/03/24




 ■■■-■■■-■■の精神状態が著しく悪化。オブライエン博士との接触を絶たれた事による強い情動ストレスが原因と考えられる。管理部門による審議の結果、■■■-■■■-■■の収容プロトコルに特記事項を追加。オブライエン博士に対する■■■-■■■-■■との接触禁止命令、実験禁止命令が解除される。





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