シンボル
掲載日:2019/09/14
綺麗な写真、音もなく破れていく。
美しい記憶、熱もなく溶けていく。
そこから木洩れ日のような、ゆっくりとした温もりに傷を捧げる。
予感に引きずられ、有りもしない坂道を加速度つけて駆け上がれるから、渇いた心臓でも勘違いをしてしまう。
その整った顔で、整った手足で、優れた知恵で、存在の優劣を掻き乱すのは誰ですか?
この隠したい顔で、隠したい手足で、迷走する知恵で、存在の優劣を確信したのは誰ですか?
焼き払われた草原に、みすぼらしいオアシス。
樹齢不明の大木は、捏造されたシンボル。
欲情を見せびらかしたい衝動よ、少し待って。
願望を吹聴したい衝動よ、少し待って。
寄り添ってくれる人、諦めて待っていて。
居てもたってもいれず、誰もいない運動場を駆けずり回れば気分も晴れるはず。
そして、魂のない隣人は現れて、置いてけぼりの理由を執拗に問い詰める。
晴れた空からの細い雨。
濡れる喜びに震えながら、捏造されたシンボルに祈りを捧げる。
みすぼらしいオアシスに取り残された者へ、救われるように。




