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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
緋色の幻想
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封神台

「《禁忌「禁じられた遊び」》!」

フランが弾幕を展開する。

「《霊符「夢想封印」》!」

弾幕が縦横無尽に張り巡らされ、ユイたちは否応なく両方の弾幕を避けながらフランに接近することとなる。

「ったく! これじゃあどっちが攻撃しているのか分からない!」

魔理沙が叫ぶ。

その頬にはレーザーをすれすれで避けたのか薄く切れていた。

「《挑戦「孔子の道釈画」》!」

創筆がさらに弾幕を展開し、事態はどんどんと混沌していった。

流石の霊夢も疲れがたまってきたようで弾幕がすぐそばを通っていったのか薄く巫女服が削れている。

ユイは隙を伺っては接近を試みているが未だに攻撃範囲まで接近することが出来ないでいた。

結界を張ってしばらく凌ぐも、大した時間もかからずに弾幕によって食い破られた。

「チッ!」

ユイは素早く上昇して弾幕を突破する。

「そろそろいい加減にしてほしいもんだな。」

そういうとユイは小さな文字を組み立て始める。

「博麗の巫女! あとどのくらい持ちこたえられる!?」

ユイが問う。

「10分かしら?」

霊夢は飛び回りながら答えた。

「そんだけあれば十二分だ! 3分稼げ!」

「言われなくとも!」

霊夢はそういって新たに弾幕を展開する。

「《「夢想転生」》!」

お札が半自動的にフランを追跡する。

フランが避けるも弾幕は執拗に追い続ける。

「ッ!」

フランが能力を発動させたのか弾幕を爆散させるも霊夢の周りの陰陽玉がさらなる弾幕を発生させる。

「あぁもう!」

フランが苛立って霊夢に突撃を行うも霊夢はそれを避けようともしない。

「なッ!?」

フランの攻撃は霊夢の体を透過した。

「『夢想転生』、私の編み出した最強の技よ。」

「最強格の博麗の巫女が何言ってんだか。」

どや顔で説明する霊夢の後ろで魔理沙が呆れたように指で帽子を弾く。

「これで1分は稼げたかしら?」

霊夢の問いかけに魔理沙は頷く。

「んじゃ、次は魔理沙さんが相手するとしますか!」

そういって魔理沙は星弾を展開する。

「みょんに暇そうにしてる奴! 手伝え!」

妖夢にも声を掛けて魔理沙は箒を前進させる。

「みょんってなんですか!?」

「暇そうって…」

妖夢は怒ったような顔をし、創筆は苦笑しながら魔理沙に続いた。

「行くぞ…散開!」

魔理沙の掛け声で3人はそれぞれ分かれた。

「《恋符「マスタースパーク」》!!」

「《魂符「幽明の苦輪」》!!」

「《挑戦「孔子の道釈画」》!!」

フランの左右を弾幕が包み込む。

「《禁忌「フォーオブアカインド」》!」

フランが4人に分裂し、それぞれ弾幕を消していく。

「もう一枚だ!」

魔理沙は叫ぶと八卦炉を構えなおす。

「《光符「アースライトレイ」》!」

「《人智剣「天女返し」》!」

「《天眼「偽真の道釈画」》!」

レーザーやクナイ弾が飛び回るがフランは同じように弾幕を掻き消した。

「待たせたな!」

不意にユイがフランに向かって叫ぶ。

その周りには大量の文字が渦巻いている。

「丁度完成したところだ! お前らは下がって見てな!」

文字が荒れ狂ったように辺りを飛び回る。

ユイはそれを制御しようと両手を前に伸ばす。

ミシミシと内側から嫌な音が響き苦痛な顔を浮かべる。

(この状態だと流石に厳しいな。)

ユイの肌に龍鱗が浮かび上がる。

「やだ! 来ないで!《QED「495年の波紋」》《禁弾「スターボウブレイク」》《禁忌「フォービドゥンフルーツ」》!」

フランが怯えたように目を見開きスペルを展開する。

目も眩むような鮮烈な光と共に弾幕がユイに襲い掛かる。

「さてと、過ぎたことをしでかすとどうなるか。これが幻想郷だ。覚えとけ娘っ子。」

そういうとユイは周囲を飛び回る文字を自分の周りに集合させる。

「《封神台龍之守護(ほうしんだいりゅうのしゅご)》」

瞬間、フランの放っていた弾幕が闇に包まれた。

「おいおい、何が起きてるんだ?」

「落ち着きなさい。」

魔理沙が慌てたようにいうが霊夢は落ち着いた調子でたしなめる。

「だっていきなり…」

「さては貴方《封神演義》呼んだことないわね?」

「あぁ!」

暗闇の中魔理沙は自慢げに答える。

「簡単に言えばたくさんの神様を封印するためにそういう宝塔を作ったのよ。」

創筆が解説を加える。

「つまりユイは――」

「そういうことよ。文字を使って封神台を作って弾幕と一緒にフランを閉じ込めようとしてるのね。」

その時、巨大な火花が宙に現れる。

一瞬の光の中霊夢は確かに見た。

ユイがフランを抱きしめているのを。

(あーあ。こりゃまた妖夢が拗ねそうな…)

他人事に考えながら霊夢は暗闇の中進みだす。

「魔理沙、妖夢。行くわよ。創筆、あんたは1人で来れるでしょ。」

「そんな殺生な! 勘弁してよ~」

騒ぐ創筆を無視して霊夢は2人の腕を掴んだ。

「うお!?なんだ霊夢か。しかし、すごい闇だな。見下ろしても自分の体が見えないぜ。」

「これ以上ここにいると封神台に呑み込まれるわ。早く撤退するわよ。」

「しかし、どうやっていくんですか?」

「上。」

そういって霊夢は顔を上げた。

そこには細い光が1本差し込んでいる。

「フランはユイが捕まえてたからじきに出てくるわ。」

そういって霊夢は2人を引っ張って上昇する。

十数秒ほどで3人は暗闇から抜け出すことが出来た。

しばらくして創筆も顔を出す。

「ユイさんは?」

妖夢が訊ねる。

「多分まだこの中だね。」

創筆がのんびりと暗闇の中を指す。

「助けないと!」

妖夢が再び突撃しようとするのを霊夢は片手で抑え込んだ。

「馬鹿なことしないの。いま、飛び出すと怪我するのはこっちの方よ。」

その言葉がきっかけになったかのように段々と闇が収縮していく。

ものの数十秒で暗闇は消え去り、中心にはユイが何かを持って立っていた。

「吸血鬼捕獲。」

「おめでとー。」

手に持っていたものを霊夢達に見せる。

そこには小さなスノードームが乗っていた。

くるりとひっくり返すと紅い弾幕がパッと浮かび上がり透明な水晶は真っ赤に包まれた。

「これで一件落着だな。」

ユイはそういって笑う。

霊夢は腕を組んでユイを睨んでいた。

創筆は面白そうにスノードームを突いている。

「これどうするつもりなの?」

「ん? そうだな。とりあえずあのもう1人のちみっこい吸血鬼に渡しとくさ。」

「お祓いは?」

「するならこの中で自分でやってるだろ。」

「あんたがやったの?」

「自分の弾幕は誰よりも自分がよく知ってるだろ?」

ユイはスノードームを弄びながら片目を瞑る。

「……。」

霊夢は無言でユイからスノードームを取り上げた。

「何すんだよ。」

「没収。」

「なんでだよ!?」

「あんたが使うとなんか碌でもない事になる気がする。」

霊夢がそういい放つとユイは苦笑する。

「かもな。んじゃ、それはお前さんが渡しといてくれ。妖夢、帰ろうぜ。」

そういってユイは白玉楼に向けて飛び去った。

妖夢もそれを追って飛び去る。

「それじゃ私もそろそろ失礼するね。博麗の巫女さん、異変解決おめでとう。」

「何もうれしくないわ。」

「またまた~照れちゃって~」

創筆はけらけらと笑うと描かれた竜に乗って魔法の森に飛んでいった。

後には霊夢と魔理沙の2人が残される。

「…ったく、自由な連中なんだから。」

霊夢はため息を吐いて肩をすくめる。

魔理沙は興味深そうにスノードームを覗き込んでいた。

「これどうやって中からフランを取り出すんだ?」

「――あ。」

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