結界の警備
あとがきで文々。新聞の「射命丸 文」さんの方でお知らせがあるそうなので、本文飛ばしてもいいから是非読んでください。
え?本文が主役じゃないかって?
知らん。
ユイは藍に連れられて地底の出入り口に立ち、大きく伸びをする。
「しかし、こんなところに出入り口があったんだな。あの隙間に落とされた所為で分からなかった。」
「紫様もそれを見込んでのことでしょう。あなたにはまだ与える物がありますからね。」
ユイは「隙間」と言ったが、これは紫本人である。
しかし、藍はかつてユイを地底へと誘った能力の事を言っていると思ったのだろう。
若干ちぐはぐな会話が交わされた。
ユイはそれに気付きつつも気付かないフリをして会話を進める。
「他に何をくれるんだ?」
「そろそろ紫様がくる頃でしょう。その時にお渡ししますよ。」
藍がそういった途端まるで図っていたかのように隙間が開き八雲紫が顔を出した。
「おう、2日ぶりだな紫さん。お前さんに落とされたせいで無意識娘の上に着地したんだが。」
「あら、それは悪かったわね。でもあの子ってなかなかお目にかかれないのよ。そういう意味ではとても幸運だったんじゃないかしら?」
「そんなんで騙されていたら竜人やってねぇよ。とりあえず、今はそれで納得しといてやる。」
「話が早くて助かるわ。じゃあこの隙間に入って来なさいな。」
そういうと紫は隙間を広げた。
ユイは慣れた様子で隙間に入っていった。
隙間に入る時の奇妙な感覚が体に走るがそれも一瞬で終わりユイは森の入り口に立っていた。
そこから紫達も出てくる。
「ワォ。」
ユイの目の前には大きなレンガの家が建っていた。
「ここは幻想郷を覆う結界の端に位置する巨大な森よ。人里も近いからあまり不便はないと思うわ。」
「どういう事だ?」
「ここがあなたの家になるのよ。別居って言ったでしょ。まさか、野宿させる訳ないじゃない。」
「俺を地底に放り込んだのもこれの仕業か。」
「どうかしら?」
「白々しい真似を…まあいいさ、ありがとうな。」
「あら、随分と素直じゃない。」
「常に素直じゃなかったら、それこそ偏屈のやる事だ。」
そう言うと、ユイは家の扉を開けて中に入って行く。
家は木張りの床にレンガの壁で作られている。
居間の中央に机と椅子があり、奥にはカウンターを模した台所がある。
左手には暖炉があり、右手には別の部屋へつながっている。
暖炉のそばにある扉をくぐると、風呂場があった。
湯はどうやら火で温めて使うものらしい。
居間に戻って右手にある穴をくぐると、トイレと階段があった。
階段の下には倉庫がある。
階段を上ると、屋根裏になっておりそこに3つの部屋が隙間なく並んでいる。
そのせいで通路は若干窮屈だが、部屋に入るとそんなことはなかった。
手前から順に、倉庫、自室、客室となっている。
倉庫はやや狭く感じられたが、それでも慎ましく暮らしていればあまり困らない大きさになっており、通路の途中にはハシゴがぶら下がっていて上ると屋根の上にいける。
また、屋根は階段状になっているのは途中までで、上は平たくなっているのでそこに上がればちょっとした屋上になっている。
自室には入ってすぐ右手に本棚があり奥には机と椅子が用意されている。
右手の本棚を回ると作業用の机と椅子にベッドがあった。
そこから後ろを向くと壁に寄り付くようにしてクローゼットがあった。
客室も似たような作りになっている。
「元からあったものをいじったのか?」
家を一周して居間に戻って来た後、どこから持ってきたのか暖炉の前で揺り椅子に腰掛けている紫にユイは尋ねた。
台所では藍が何かを作っている。
「いいえ。一から作ったのよ。この家の他にレンガでできた建物はもう一軒しかないもの。」
「2日でレンガの家を一軒…随分と大盤振る舞いだな。」
「それもあなたを見込んでのことよ。」
「大方、何かさせるためにここまでやったんだろ。じゃなきゃ式達だけで生活をやっていけるお前さんが俺をあそこから解放はしないもんな。」
「よく分かってるじゃない。あなたに頼むのは『幻想郷の結界の警備』よ。」
「警備?お前さんでもできるだろう。隙間の力を応用してこの幻想郷を作ったぐらいなら。」
「少し違うわね。この幻想郷にもともと結界はなかったの。そこで私と博麗の巫女が2つの結界を張ったの。私が張ったのが幻と実体の境界。博麗の巫女が張ったのが通称博麗大結と呼ばれるものよ。私は一応両方管理してるけど、あくまで管理よ。未然に防ぐ事ができても起きてしまったことは戻せない。だからあなたが結界の隙間や揺らぎでここの存在を知ろうとしている者や、ここを支配しようとしている輩を撃退して欲しいのよ。」
「なるほど。警備という言葉がそれこそ1番わかりやすいな。別にいいさ。」
「随分と軽いわね…」
「お前さんには解放してもらったんだから、そんな恩人の頼みをむげに断ることはせんよ。ただ、給費は欲しいかな。」
「恩人なら無償でやってもいいと思うのだけれど。」
「餓死してもいいなら無給でもいいぞ。あの場所でも一応飯は出してくれたがな。戦でよく使う食えばしばらくは腹がいっぱいになるやつだが。」
「分かったわよ。生活に困らないほどにはあげるわ。」
「そうこなくちゃ。で、具体的に結界を警備するに当たって何かやることってのはあるのか?」
「そうね。特にはないわ。自由にやってちょうだい。それから幻想郷の中での事件。『異変』と呼ばれるものだけれど、これには専門職がいるから勝手に解決しないで頂戴。」
「別に構わん。自分の身に何か被害が出るなら話は別だがね。」
「こちらもそれでいいわ。」
その時藍がお盆に軽い食事を乗せて来た。
「ほう。ヤツメウナギの干物を辛味ダレにつけたものか。うまそうだな。」
そういうとユイは1つ手にとって頭から噛み砕いた。
「私は遠慮しておくわ。あなたが食べなさい。藍、行くわよ。」
「はい。」
そういうと紫は隙間を開いた。
「また気が向いたら、遊びに来な。」
「いつになるかしらねぇ。」
紫はそんな妖しげな笑みを浮かべたのち藍を従えて隙間に入って行った。
「揺り椅子忘れてる。」
暖炉の火がはぜる中、ユイの声が居間に響いた。
こんにちは!
私、文々。新聞の記者「射命丸 文」と言います!
今回は外の世界で「クリスマス」というイベントがあるらしいので新しく幻想郷にやってきたユイさんにお話を伺いますよ!
是非、期待していてくださいね!
彼のあんなことやこんなこと、聞きまくりますよ!
寝起きのねこ氏によるとこの「東方竜人卿」ではなく、番外編として新しく枠を作って下さるそうですよ!
あやや!とってもワクワクしてきました!
他にも、フリートークなどもどんどん掲載していってくれるそうです!
これはスクープの匂いしかしませんね!
では、またお会いしましょう!
広報は私、射命丸 文がお送りしました!