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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
竜人達の因縁
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悪足掻き

吹っ飛ばされたキトラは空中で体勢を立て直した。

「ふむ、向かってくるか。」

キトラはこちらに飛んでくる霊夢たちを確認した。

「やけに硬いやつね。さっきの兵士達の比じゃないわ。」

「霊夢さん! そいつは竜人です! 特にキトラは竜人の中でも上位の竜人! 気をつけてください!」

妖夢が後方から注意する。

「要は遠距離で高火力の攻撃をすればいいんだな!」

そういうと魔理沙は再びミニ八卦炉をキトラに向けて構える。

「《魔砲「ファイナルマスタースパーク」》!」

八卦炉から放たれた複数のレーザーがキトラを追い回す。

「ふむ、なるほど。《恋符「マスタースパーク」》の上位互換か。弾幕がエネルギーの塊である以上私が弄ることは出来ない。」

レーザーを躱しながらキトラは冷静に分析する。

「それ以上考える暇もなくお前を倒してやる!《魔符「スターダストレヴァリエ」》!」

魔理沙が新しい弾幕を展開する。

「エネルギー…そうか。」

キトラは何か思い至ったようだ。

上に上がってレーザーを自分に集める。

「魔理沙とやら。あなたはここで行動不能(ゲームオーバー)です。」

そういうとキトラはレーザーに向かっていく。

「ッ!?」

突然の出来事に一同は驚愕する。

「反射。」

キトラがレーザーとぶつかった瞬間、魔理沙の心臓をレーザーが貫く。

「…ガハッ?」

魔理沙が口から血を吐いて墜落する。

「いったい何が…」

唖然とする咲夜と霊夢だが妖夢は何とか確認した。

「恐らくキトラは鏡で魔理沙さんのレーザーを反射したんだと思います。」

「鏡!?でもそんなものキトラは…」

咲夜が驚くがキトラの能力を既に見ていた所為かすぐに絡繰りが分かったようだ。

「そんな…魔理沙に反射する角度を一瞬で求めだしたというの!?」

「どういうことよ。」

未だに状況を飲み込めない霊夢が目を見開いて妖夢に聞く。

「キトラの能力は『物質を操る程度の能力』。一瞬でレーザーを反射する何かを生み出したんでしょう。」

説明を受けた霊夢は握っていた大幣を握りつぶさん勢いで強く握る。

「…2人とも、次は私が行くわ。あんな奴だけど私のいい友達だったんだから。」

そういうと霊夢はキトラに向かって飛んでいく。

「霊夢さんッ!」

「霊夢ッ!」

妖夢と咲夜が叫ぶがその声は宙に虚しく響いて消えていった。

「キトラ!」

霊夢がキトラと対峙する。

「…よくもやってくれたわね。」

「恨むなら注意散漫だった魔理沙という人を恨めばいいでしょう。今ならまだ助かりますよ。」

霊夢は大幣をキトラに向ける。

「あんただけは、絶対に、許さない!」

「そんな言葉は聞き飽きました。」

「《夢符「封魔陣」》!」

霊夢が弾幕を展開する。

それをキトラはいともたやすく避けた。

「ふむ、あなた…やけですね?」

「あなたの言葉には何一つ耳を貸すもんですか!」

「それは結構。」

キトラは霊夢と距離を詰める。

「《夢符「二重結界」》!」

キトラの放った拳は結界によってぎりぎり防がれた。

「無駄。」

次の瞬間、霊夢の結界がはじけ飛ぶ。

「結界分野は私の得意とするところですよ。」

「クッ!?」

そこから先は結界の応酬となった。

霊夢が結界を張って攻撃を仕掛けるとキトラが結界を破壊して逆に霊夢を閉じ込めようとする。

そうはさせじと霊夢も新たに結界と弾幕を展開してキトラの結界を防ぐ。

しばらく経つ頃にはお互い肩で荒い息をしていた。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

空中で少し距離を置き、お互いの様子を探り合う。

「正直驚きましたよ。ここまで私と結界でやりあう人間がいたとは…」

「残念だったわね。あんたが戦ってたのは私じゃないんだから。」

「…というと?」

「『衝立船戸神つきたつふたとのかみ』、結界の神様よ。」

霊夢がしてやったりといわんばかりにニヤリと力なく笑う。

「……ッ!」

ふいに霊夢がわき腹を抑えた。

抑えた指の隙間からは赤い血がこぼれていた。

「ふふふ…私もここらへんで退場かしら。ほんと、神様ってやることなすこと凄まじいのよね…」

霊夢は「衝立船戸神」の力で結界を展開していたがそれは何も神が無償で力を貸していたわけではない。

結界を展開するたびに霊夢の体力を傷という形で奪っていたのだ。

それが限界を迎えていた。

霊夢の目がうつろになったと思うとゆっくりと地面に落下していった。

「霊夢!」

咲夜が時間を止めて霊夢を何とか受け止める。

「なるほど…私が戦っていたのは博麗の巫女ではなく神だったと…それは結構。神とも勝負が出来るということ。」

キトラは分析する。

その体力はほとんど回復したようだった。

咲夜の腕の中にいる霊夢はぐったりとしたまま動かない。

「霊夢さんの様子は?」

「大丈夫、息はしているわ。この際キトラに負けたんじゃなくて、きっと神との取引で損したんでしょうね。」

そう言って咲夜は霊夢が結んでいたリボンを手早く外すと傷口に縛り付けて止血する。

「咲夜さん、霊夢さんを神社に送り届けてください。その間の足止めは私がします。」

「でも…」

「いいから。」

咲夜が反論しようとするのを妖夢は切り捨てる。

「分かったわ…」

そういうと咲夜は地上に降りていき、そこで倒れていた魔理沙も担ぎ上げると姿を消した。

「…また、あなたと戦うんですか。」

キトラは少し鬱陶しそうに目を細める。

「えぇ、またですね。これも何かの運命ですかね。」

「運命というのは自分で決めて進むこと。外の世界で言う進路の様なものでその気になればいくらでも自分で捻じ曲げることが出来るんですよ。」

「そうですか。ではあなたをこの場で殺すという運命を作るとしましょう。」

そういうと妖夢は二刀流で刀を構える。

「どうしてこう、力を持った連中というのは寄ってたかって戦いをしたがるんですかね…」

「侵入者のあなたにだけは言われたくはありませんね。」

そういうと妖夢はキトラを睨みつけた。

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