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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
竜人達の因縁
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鳳凰は静かに怒る

隙間に入った紫さん視点です。

ユイ君の出番をどこで出したものか…

紫は隙間で博麗神社に現れた。

「紫様、どうかなされましたか?」

天狗の1人が訝し気に聞いてくる。

「残念ながら私の当てが外れたわ。敵は無縁塚に侵攻した。」

その様子に天狗たちはざわつく。

「だから、あなたたちの内の半分を無縁塚に送るわ。」

紫の声に天狗たちは素早く対応し、隊を編成した。

「行くわよ!」

紫は隙間を開く。

天狗たちは鬨の声を上げながら隙間に入っていった。

紫も別の隙間を開いてそこに潜り込む。

妖怪の山の本殿に戻ってくると怒気を孕んだ視線を多くの者から向けられた。

「一応、天狗たちの一部を無縁塚に送り込んだわ。そこで彼らを仕切ることのできる方に向かって頂きたいの。誰かいるかしら?」

紫は一同を見回す。

「はいは~い! 私が行ってくるよ!」

諏訪子が無邪気に手を上げる。

「弾幕祭りでいいんだよね?」

「えぇ、大方あってるわ。早苗、良ければあなたもついて行ってもらえるかしら?」

「…分かりました。」

はしゃぐ諏訪子をため息と共に目で追う早苗。

「じゃあ隙間を開くわ。行ってらっしゃい。」

「行ってきま~す!」

「神奈子様、よろしくお願いします。」

「うん、言われなくてもやることはやるよ。」

こうして神奈子に見送られ諏訪子と早苗は隙間に消えていった。

その時、烏天狗がまた駆け込んできた。

「報告! 天魔様率いる妖怪軍が隊の編成を完了いたしました。工作班には河童の他に竜人1名を配属しました。」

竜人、という単語を聞いた途端会場がにわかにざわつく。

「竜人?」

間者(スパイ)なんじゃないか?」

「ユイ以外にも竜人が迷い込んでいたのか…」

様々な意見が小声で交わされる。

「その竜人の名前は分かるかしら?」

「はっ、バルトと名乗っています。」

「…分かったわ。念の為、他の工作班達に見張らせておかしなことをしたら報告するよう伝えて頂戴。」

「承知しました! それともう1つ報告がございます。」

「なにかしら?」

「来客が3人この妖怪の山に来ています。敵ではない模様。」

「通して頂戴。きっと幽々子だわ。3人ということはハルヴィアも連れてきたのね。」

紫が許可を出すと烏天狗は下がっていった。

周りからは反対の意見が起きた。

「どういうことだ! もし敵だったらどうするつもりだ!」

「私が何とかするわ。それに皆さん自分の身くらいは自分で守れる方々ばかりでしょう? 何を心配する必要があるのかしら?」

紫のもっともな意見に多くの者が苦笑気味にうなずく。

中には殺気を混じらせながら笑う者もいた。

その反応に反発していた者たちは黙らざるを得なかった。

「失礼します。」

その時、会議場に来客の声が響いた。

白玉楼の庭師、魂魄 妖夢が現れた。

「あら妖夢。幽々子は?」

紫が妖夢を出迎えながら聞く。

「幽々子さんは白玉楼で戦ってるよ。彼女曰く『妖怪の山に行って兵たちを集中させるよりここで足止めした方が良いんじゃないかしら。』だってさ。亡霊なら死ぬこともないし。」

妖夢の後に続いて出てきたのは創筆だ。

「あなたは誰かしら?」

「創筆。竜人ユイの妹弟子でいいのかな? ちなみにその師匠は魔法の森付近に転移した師匠独自の森『まほろばの森』で敵を待ち伏せてるよ。」

「じゃあハルヴィアは?」

「ここにいるぞ、八雲 紫。」

殺気をたぎらせたハルヴィアが紫を睨む。

「ほらほらハルさん落ち着いて。」

創筆がなだめるがハルヴィアはつかつかと紫に歩み寄った。

「八雲 紫、あんた(ユイ)の雇い主だったよな? なんでアイツを連れ去った奴を事前に防げなかったんだよ…」

ハルヴィアの静かな怒りは涙と共に滲んでいった。

「ごめんなさい。彼の力を過信していた私の責任だわ。」

紫は素直に頭を下げた。

「…私も感情的になった。すまん。」

ハルヴィアも言葉を返すと妖夢たちのいたところに戻った。

「これで戦力は増えたことになるわね。幽々子の方は大丈夫でしょう。」

紫の言葉にハルヴィアは付け加えた。

「私の能力を忘れないでくれ。結界の警備をしていた付喪神、神霊どもの隊を編成してある。いくらでも使ってくれ。」

「…ありがとう。頼りにしてるわ。」

「おう、任しときな。」

紫は一瞬虚を突かれた様な顔をしたが穏やかにほほ笑んだ。

「さて、作戦会議に戻りましょうか。」

紫の声で作戦会議が再開された。

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