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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
竜人達の因縁
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妖魔招集

バルトはモテた(憤怒)

バルト&にとり視点。

「ただいま盟友! …何やってるんだ!?」

河城 にとりは帰ってくるなり衝撃的なものを見た。

バルトが水を身に纏いその中で溺れかけていた。

慌ててにとりは引っ張り出す。

「ゲホッ!」

にとりが腹を思いっきり押すとバルトは口から水を吐いて息を吹き返した。

「あぁ…にとりさん、おかえりなさい。」

「三途の川からおかえりなさい。帰ってくるなりお前が水に溺れてるんだからびっくりしたぞ。」

にとりはバルトにぐいとしかめっ面を近づける。

「ごめんなさい…新しい発明品の実験をしてたんですが、なにせ水が怖くて…」

「水が苦手ならそんな実験をするんじゃない! まったく、私を待てば良かったじゃないか…」

「ん?」

「~~~ッ! 何でもない! それよりも何を作ったんだ?」

にとりは顔を赤くすると慌てた様子でバルトに聞く。

「『液体を操る程度の機械』です。」

「なんで能力風なんだ…」

「それっぽい名前を付けようとするとひどい名前になってしまうので…」

バルトは照れたように笑う。

「なるほど…それは溺死死体を作る装置なのか?」

「まさか! そんなことはありませんよ。あれは実験の1つですから。本来はこういう装置です。」

バルトが言うと水が動き出した。

「おぉ!」

「これは指定した液体の水圧を変化させることで液体を自在に操ることが出来る機械なんです。」

バルトが説明する間にも水は絶えず形を変え続ける。

「で、その命令をする装置はどこにあるんだ?」

「一応こめかみですね。」

そういうとバルトは髪の毛を軽く持ち上げて装置を見せる。

そこにはシールのようなものが貼ってあった。

「ここで脳波を受信して命令をしています。で、こっちで液体の制御をしています。液体の量や命令結果、水圧なんかを制御しています。」

バルトは今度は首筋を見せる。

そこにも似たようなシールが貼られていた。

「ほう。で、なんで溺れてたんだ?」

「それはお見せした方が良いでしょう。」

バルトはそういうと水で剣を作る。

「こんな風に簡単に硬い剣が出来るので扱い方次第では防具や潜水服になるんじゃないかと思いまして…」

「それで水を身に纏ったと。」

「そういうことです。にとりさんの『水を操る程度の能力』が便利そうだったので少し真似してみたいなと思いまして。」

「なるほどな。たしかに私なら能力で好きに操れるからな。」

そういうとにとりは腕を組み納得したように頷く。

「だとしたらまずお前の水嫌いを直さないとな。」

「おっしゃる通りです…」

バルトは苦笑しながら反省する。

しかしバルトが水の克服をすることはなかった。

「大変です!」

扉を勢いよく開けて入ってきたのは犬走 椛だ。

「どうした?」

慌てた様子の椛ににとりは聞く。

「たった今、山の天魔様から全妖怪招集命令が通達されました。バルトさんも来てください!」

「行きましょう、にとりさん。何とも嫌な予感がします。」

バルトが言う。

「お前が言うならそうなんだろうな。」

バルトの勘はよく当たる事をにとりは経験から学んでいた。

椛に案内されて2人は山の頂上に向かう。

その道中では鬼の姿も見受けられた。

「うっ…鬼もいるのかぁ…鬼は苦手なんだけどなぁ。」

「その鬼よりも強い奴と歩いているにとりさんもにとりさんですけどね。」

にとりが顔をしかめると椛がフォローした。

山の頂上は天魔の住処だ。

だがバルトに言わせれば「ただの老人気取りのボロ家」だそう。

「なんというか、ユイ先輩の二つ名が天魔よりも上位の『魔天』を冠してますから。」

「お前それを部下の前で言うなよ…」

「聞かなかったことにしておきます。」

「ありがとうございます。」

天魔の家の前で妖怪たちは待たされた。

ざわざわと様々な声が交わさせている。

「おっ! にとりじゃねえか!?」

鬼の1人がにとりに声をかけてきた。

「ひゅい!?」

「お前も呼ばれたのか、ちょうどよかったな。あの発明品、不良品だったんだがどうしてくれるんだ!?」

「あっ…えっと…」

にとりが涙目でうろたえる。

「聞こえねぇぞ! あの発明品がポンコツだったがどうしてくれるんだ!?こらぁ!」

鬼の高飛車な態度にバルトは思わずつぶやく。

「下っ端…」

その言葉に鬼が反応しないわけがない。

「あぁ!?」

鬼がバルトの胸倉をつかみ上げる。

「俺が下っ端だと!?」

「あぁ、口に出てましたか。すいません。頭下げたいのでその手を放してくれませんか?」

「俺はてめぇみてえなスカした奴が一番嫌いなんだよ!」

そういうと鬼はバルトを地面に叩きつける。

バルトは背中を強打されるが痛がるそぶりは無い。

「なんだ、この程度か。先輩の訓練はもっとえげつないぞ。」

次の瞬間、鬼は真上に吹っ飛んだ。

「仮にもこんな相手に頭を下げようとするんじゃなかったな。」

バルトは起き上がって服を叩く。

満足するまで叩き終えたのかバルトは跳びあがって鬼に追い打ちをかける。

パンチやキックが体の急所を的確に捕える。

「この程度で喧嘩を売ってこないでください。奴婢からやり直すことをお勧めしますよ。」

バルトはその言葉と共に鬼の腹に蹴りを叩き込んだ。

鬼が地面に叩きつけられる。

鬼の背中からは亀裂が走った。

騒ぎを聞きつけた白狼天狗が駆けつけてくる。

バルトは地面に降り立つとにとりに歩み寄った。

「大丈夫ですか? 他にいちゃもんを付けてくる妖怪があと何人いることか…」

「盟友~!」

顔をぐしゃぐしゃにしたにとりが抱き着いてきた。

「はいはい、どうしました?」

「どうしたもこうしたもない! なんで助けた!?」

「冷たいようですが助けてませんよ。自分の身を守っただけですから。」

「それでも私が助かったことは事実だ!」

「おい! そこのお前!」

白狼天狗たちがバルトを囲う。

その手には獲物が構えられていた。

「なんでしょう?」

「天魔様の邸宅の前で何をした!?」

「そこで伸びてる鬼に胸倉をつかみ上げられたので少し力をお見せしただけですよ。」

バルトの淡白な回答に白狼天狗たちが警戒する。

「どうして信用できようか!?」

じりじりと輪が狭まる。

その時にとりが白狼天狗の前に出た。

「違う! 盟友は…バルトは! 何も悪いことはしていない! どうしても信用できないなら周りに聞いてみればいいじゃないか!」

白狼天狗たちは周りを見渡す。

辺りからはバルト達の無実を証明する声が上がった。

「…撤退!」

天狗たちは去っていった。

「助かりました。ありがとうございます。」

バルトは頭を下げる。

「…別に助けてなんかいないぞ。あのままだと私も共犯になっていたからな。」

にとりが顔を赤くして答える。

「そうでしたか。でも結果的に私は無実になったんですから感謝するのに変わりはありませんよ。」

「…そうか。なら勝手に感謝してればいいさ。」

「えぇ、そうさせてもらいます。」

バルトは微笑んだ。

その時天魔の家の扉が開き、中から家の主が出てくる。

「これより、対幻想郷侵略計画の内容を発表する!」

天魔が声を張り上げ解説を始めた。

しかし、にとりの耳にはほとんど届くことはなかった…

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