出鼻を挫かれる
作戦会議です。
幻想郷の地図に関しては公式の他にもいろいろなところから持ってきているので多少おかしなところがあるかもしれません。
ご了承ください。
「これで全員かしら。」
紫は妖怪の山に集まったそうそうたる面子を眺めた。
守矢神社の本殿に集まっているのは各勢力の代表者たちだ。
「にしても多いわね…」
「そこを気にしだしたら終わりです。作戦会議に入りましょう。」
紫の独り言を藍は打ち切った。
紫は咳ばらいをすると注目を集める。
「皆さん、集合してくれてありがとう。藍から聞いたと思うけど幻想郷は今、侵略の危機にあるわ。そこで侵攻に備えて作戦を立てたいの。それぞれ案を出してくれるかしら?」
それぞれが作戦を述べ始めた。
紫は隙間妖怪だが聖徳太子ではない。
それに、ここには10名以上の代表がいるのだから聖徳太子でも全てを聞くことは不可能だろう。
「一旦静かにしてもらえるかしら!?」
紫が何度か声を張り上げてやっと静かになった。
「まず、私の独断で霊夢にはこの守矢神社で待機してもらっているわ。空いた博麗神社には妖怪の山から出してもらった烏天狗と白狼天狗が50名で警備しているわ。それを前提にして計画を考えてもらえるかしら?」
するとすぐに手を上げたのは聖 白蓮だ。
「そういえば人里の防御はどうするのですか? 中には1人で人里を守ろうとする者もいる始末で手に負えない状況となっていますが。」
「まずはそこから考えましょうか。」
すると周りからブーイングが起こった。
主に妖怪達からだ。
「どうしてそんなことをしないといけないんだ!?俺たちに利益はないだろう!?」
(なるほど、人里を守るのに反対なのは主に力を持った妖怪ね。)
どう反論しようかと紫が考えていると白蓮が反論した。
「あなた達にはあまり影響はないかもしれませんが弱い妖怪たちが消えてしまいます。そういった者たちを守るためにも人里を守らなくてはいけないのです。」
「俺たちへの益がないじゃないか!?」
その妖怪の反論に豊聡耳 神子は笑い出した。
「何がおかしい!?」
妖怪の1人が叫ぶ。
「はははは! いや失礼、君…戦いに不利益なくして益などあったことはあったかい?」
神子はぞっとするほど冷たい声で妖怪に聞いた。
「少なくとも戦うことで体力は消費する。君の場合はそれ以上に益が大きかった事が続いただけの話。今回の侵略はこちらが不利益をこうむりかねないということだ。そうなれば力のある妖怪でも消滅する可能性がある。それを防ぐためにも人間の里を守らなくてはいけないのだ。」
妖怪は黙るしかなかった。
「話を戻しましょう。人里へはそれぞれどのくらい出せそう?」
紫は脱線した話を戻し聞いた。
「命蓮寺ではぬえだけになりそうです。」
「神霊廟では屠自子と布都にそれぞれ隊を任せている。その中からだと道士が30人ほどだろうか。」
「紅魔館の方ではメイドが10人ね。」
「永遠亭では玉兎は出せそうにありません。」
「烏天狗と白狼天狗がそれぞれ50づつだね~。」
「天界からは20人ね。」
「旧地獄からは鬼を7体ほどお貸ししましょう。」
その後、細かい打ち合わせで1つの里にそれぞれどのくらいの兵を貸すかが決まった。
「大体こんなものかしら。次の作戦をどうするのか、それぞれ案を出して頂戴。」
紫は話を進める。
大まかにまとめるとこうなった。
一、無名の丘で迎撃態勢。その際博麗神社を放棄する。
二、迷いの竹林にて偵察兵を地道に減らす。
三、兵の数を大まかに把握できたところで旧地獄から博麗神社の間欠泉の穴を広げ博麗神社に奇襲を仕掛ける。
四、博麗神社を奪還し、敵を包囲・殲滅。
大まかにこんな感じの作戦が立案した。
他にも様々な問題を簡単に話し合って埋めていく。
「大体こんなところかしらね。」
会議の終わりが見え始め紫が安堵の息を吐いたとき偵察に出ていた烏天狗が本殿に文字通り飛び込んできた。
「敵が…現れました!」
「作戦通りに。博麗神社は放棄して頂戴。」
しかし、天狗は青ざめたままだ。
「それが…無縁塚を襲撃されました!」
紫は机を両手で叩いて立ち上がると机にある地図を見る。
「博麗神社の…真反対?」
紫は目を見開いて動揺する。
作戦は初手から挫かれた。
紫は隙間を開いて潜り込む。
「藍、場の統制は任せたわ!」
「かしこまりました!」
ざわめく本殿を後ろに紫は藍に指示を出すと隙間を閉じた。




