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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
竜人達の因縁
36/93

月桃交渉

月桃げっとう交渉と読みます。

ハルヴィアと魂魄 妖夢は月の都にある綿月邸の応接間で屋敷の主達である綿月 豊姫,依姫と机を挟んで向かい合っていた。

「さて、先程話していましたが、なんでも八意様から密書を預かっているとか?」

豊姫が話を切り出す。

「妖夢ちゃん、手紙出してもらえる?」

「はい。」

妖夢は返事をすると手紙を豊姫に差し出した。

豊姫が手紙の封を開けると空中に「1」の文字が飛び出し、しばらく瞬くと封に数字が刻まれた。

手紙を広げて読み進めて行く内に月の指導者達の顔は青ざめていった。

「あなたが…ハルヴィア…」

手紙を読み終えた依姫は恐ろしいものを見る目でハルヴィアを見据える。

「おや、私の名前が書いてあったかい? 出来れば公平な立場で交渉を進めたかったんだがね。」

ハルヴィアは驚いたように肩を竦める。

「ハルヴィアさんって月で何されてたんですか?」

妖夢がハルヴィアに問う。

「それに関しては月の皆様に聞いた方が良いんじゃないの?」

ハルヴィアが目配せすると豊姫が口を開いた。

「月の都では『遷都者』の名前で呼ばれています。」

「羽ばたきひとつで月の都の首都を分子レベルにまでバラバラにしたとか。その時私達はまだ産まれていませんが八意様の話だとそこには何も建てる事が出来ず泣く泣く遷都することになったそうです。」

2人は順に説明した。

「そういうこと。」

「ハルヴィアさんってもしかしてかなり強い部類の鳳凰ですか?」

「かもね。私自身あまりそういう強さは把握していないんだ。ま、雑談はこの辺にしといてそろそろ交渉を始めようか。」

ハルヴィアの雰囲気が変わる。

「手紙にも書いてあるかもしれないが、私の弟分で妖夢ちゃんの彼氏が黄泉醜女の呪いで血を吐いている。『黄泉醜女の置き土産』の解き方は知っているだろ?」

2人は頷いた。

「話が省けて助かる。××(永琳)さんの話では依姫さんとやらが『神霊の依代となる程度の能力』を持っているという話だ。私の能力、『物体に付喪神・神霊を降ろす程度の能力』では神の本神を降ろすことは出来ない。なので依姫さんの力で伊邪那岐命イザナギノミコトを降ろしてもらいたい。そして、私達が伊邪那岐と交渉して髪飾りの山葡萄と櫛の筍を手に入れる。以上だ。」

2人は考え込む様子を見せた。

「つまり協力しろと?」

依姫が口を開く。

「無理強いはしない。対等な交渉相手として何らかの対価を私らからぶん取るのも良いし、ハルヴィアなんて名前に怯えて無償で協力するも自由だ。もちろん、月の使者のリーダーとしての誇りを部下に見せるのもひとつの考え方だ。」

ハルヴィアがいくつかの選択肢を示して依姫の問いに答える。

(どうする。ハルヴィアはやると言ったらそれを実行するし、出来る力を持った鳳凰だ…八意様はなんて者を月に寄越したんですか!?)

依姫は心の中で絶叫する。

「私からも良いですか?」

「どうぞ。」

「仮に私達が対価を望んだ場合、あなたは何を支払いますか?」

豊姫の問いにハルヴィアはしばらく考え込む。

「正直見栄を張るのも良いんだがこちらには随分と急いで来たもんでな。あまり望むような対価は支払えない。私の翼や剥製ならいくらでもどうぞ? 出来るならの話だけど。」

ハルヴィアはいとも簡単に自分を交渉に引き出した。

その答えにさすがの豊姫も顔を引きつらせる。

(死への躊躇がない? いや、自信があるのか…『出来るならの話』。恐らく私達2人でも彼女の腕を捥ぐどころか逆にこちらの腕が無くなりかねない。八意様、なんでこんな化け物を送り込んだんですか…)

2人は同時にため息を吐いた。

姉妹の文字通り息の合った行動に妖夢は思わず苦笑した。

「じゃあ、妖夢ちゃん。あいつの為に話したい事があったらどうぞ。」

ハルヴィアは2人の心中を察してか妖夢に話を振る。

「えっ?」

突然のことに妖夢の頭が真っ白に染まる。

「話したいことを全部吐き出せば良い。」

ハルヴィアの助言(?)に妖夢はひとつ咳払いをする。

「えっと、ではお話させていただきます。最初に聞いたと思いますが私と…あの人とは恋仲でして…それで…」

初めはゆっくりとだったが、慣れてきたのか段々と話すスピードを上げていく。

妖夢はユイの為に話すことを全て、月の指導者達に語った。

「なので! 私はどうしても彼を助けたいんです! どうか! 力を貸して頂けませんか!?」

妖夢はそう締めくくると頭を下げた。

その熱弁に2人は苦笑しかない。

「さて御二方。話は決まったかな?」

ハルヴィアが1回手を叩いて呼びかける。

「えぇ、決まりました。」

「そうだな。」

2人は晴れ晴れとした表情を見せる。

「スペルカード戦次第で考えを決めよう。」

「ん〜?」

予想外の答えにハルヴィアは目を細める。

「月のリーダーとしての威厳を保ち、私達が勝てばあなたを剥製にし、私達が負けたら無償で協力する。完璧でしょう?」

「なるほど、そいつは良いな。」

ハルヴィアは豊姫の考えを理解すると賛成した。

依姫が楽しそうに口を開く。

「始めようか。知的で美しく、鳳凰も半人半霊も月の民も皆、平等に楽しめる、この世で最も無駄なゲームを。」

短くて申し訳ない…

あまり長々とした話し合いは得意じゃないみたいです。

気が向いたらテコ入れします。

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