刺客
伏線っす。
あんど短いです。
申し訳ない( ¯•ω•¯ )
ユイはその日、付喪神の報告で幻想郷に侵入した者を探していた。
「ハル姐以来か…」
ユイは両頬を叩いて気合を入れると結界の端に向かって飛び始めた。
結界の端に着くと今度は結界に沿って周りを警戒する。
その時、あの時と同じ様に茂みから弾幕が飛んでくる。
しかし、ユイは落ち着いて避けると弾幕を撃ち返す。
茂みに潜んでいたのはみずぼらしい姿をした老婆だった。
顔は皺なのか眉を寄せたのかよく分からないほど萎びている。
「やるね、餓鬼。だがまだまだだ…」
老婆がねっとりとした嗄れ声でユイに言う。
「意図的に侵入してきた侵入者か…」
そういうとユイは陰と陽を引き抜く。
「婆さん、悪いけど仕事でね。上から生死は問わないって言われてんだ。特に、弾幕を撃ってくるような輩はね!」
そういうとユイは空中で身を沈めるとそれをバネにして老婆に斬りかかった。
しかし、敵もさるもの。
簡単に身を躱し、鋭い爪を振り下ろす。
だが、ユイはそれを躱すと反撃する。
老婆はまた躱すと人里へ向かって逃げ出した。
「人里を守れ! その婆さんの生死は問わん!」
ユイが叫ぶと骨に憑いた付喪神が一斉に人里を守る為に老婆を追う形になる。
老婆は飛ぶような事はせず木から木へと身軽に跳び移って移動している。
しかし、そのスピードは凄まじく、飛んでいるユイでも追いつくのは困難だった。
「ヒヒヒ! 遅い遅い! 伊邪那岐の追い子、一足で千里かける黄泉醜女とはこの私のことよ!」
黄泉醜女は笑いながら飛びかかってくる憑神達を次々と躱していく。
「厄介な速さだ…どこの差し金だ? つってもキトラ一択だろうけどよ。《封印「2974年の空白」》!」
ユイが叫ぶと複雑な軌道を組んだ弾幕が黄泉醜女の行く手を阻む。
「なかなか、惚れ惚れするような弾幕を撃つね!」
そんなことを言いながら地上だというのに黄泉醜女はひょいひょいと避けていく。
ユイは陰と陽を黄泉醜女に向かって投げた。
「うぎゃっ!」
陰と陽が老体を貫通する。
「うん、上手くいった。」
ユイは呻く黄泉醜女に近付く。
そしてゆっくりとその体に刺さった剣を引き抜き始めた。
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」
とても老婆の口からは出るとは思えない悲鳴が迸る。
「婆さん、静かにしてくれよ。鼓膜が破れるだろうが。」
「助けてくれぇ、頼む! 私は唆されたんじゃ!」
ユイは変わらずに剣を引き抜き続ける。
「情報をやる! それでどうだ!?」
ユイの手は止まらない。
「キトラの差し金だろ? 知ってるぜ。あちらさんの情報はほとんど持ってるんだ。」
黄泉醜女の傷から黒い煙が出る。
「ここで死ぬなら仕方ない。だが侮るな、餓鬼。黄泉の置き土産を!」
ユイは陰と陽を完全に引き抜くと黄泉醜女の首を勢いよく断った。
切り口から黒い液体が噴き出す。
「血じゃないのか…」
ユイは液体を浴びながら呟く。
(恐らく黄泉醜女って曲がりなりにも神だったよな…)
黄泉醜女の体は灰となってどこかへ飛んで行った。
ユイはその場で水を出現させて黒い液体を簡単に洗い流すと帰路に着いた。
その時、右腹がチクリと痛んだ。
反射的にユイは痛んだ部分を押さえる。
しかしその一瞬で痛みは引いた。
(なんだったんだ?)
ユイは疑問符を浮かべながらも白玉楼へと帰還したのだった。
ユイくんが老婆をいじめた話にしか思えなくなってきた。
あれ、どっちが悪役だっけ?




