有形と無形
前回のあらすじ(カオス)!
ユイ君は八雲紫さんに「ちょっとひとっ走り行って幻想郷を知ろうとしている組織を倒してきて。」との依頼を受けた!
ユイ君が組織の中に潜入すると、そこのボスはユイ君の宿敵であるキトラ君でした!
ヤムチャのようにあっという間に倒される本来中ボス格のキャラ!
気絶したユイ君を新キャラの創筆が誘拐!
さらに誘拐先の森でユイ君の師匠と再開!
どこまでも舐めてくるキトラに怒りのあまりユイ君はリミットブレイク!
あまりの怒り様に仲間たちが、命を懸けて止める!
では!
ゆ っ く り し て い っ て ね !
「おら! こっちだ!」
陽が自分の刀身を太陽で反射させてユイに当てている。
あまりの眩しさにユイが陽に飛びかかる。
「邪魔…血…落トセ…」
陽の鋭い斬撃が飛ぶ。
しかし、当たり前のようにユイに防がれた。
「相も変わらず固ぇ鱗だ…」
そう呟きながら一旦距離を置く。
ユイは追撃を試みたが創筆が弓矢で援護をしているので上手く潜り抜けることが出来ないでいる。
「アァ…邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔!!!!」
ゲラゲラゲラゲラ!
「これ…本当に正気を取り戻すんですか?」
「分からん! やって見るだけ価値はあるだろう?」
陰が後ろから斬りかかる。
狙うはユイの左腕だ。
素早く腕の下に潜り込み上に斬りあげる。
「ッ!」
あまりの不意打ちにユイは一瞬驚いた顔をした。
その後、空中で横に1回転して陰の斬撃を躱す。
「ユイ! 妖夢を覚えているか!?」
ユイは距離を置いて攻撃をして来ない。
その顔は苦痛に歪んでいる。
「ヨウム…ヨウ…コンパク…妖夢…」
「そうだ! 生きて帰るんだろ! こんなところで狂ってるんじゃねえ! 俺たちは仲間だ!」
ユイは黙ったままだ。
「効果はあるんでしょうか?」
「有るか無いかじゃない。最終的にあの無意識を何とかするのはアイツだ。」
「無意識?」
創筆の質問に陽が答える。
「アイツは意外と精神が脆くてな。磔の牢獄が相当堪えたんだろう。その精神を守る為にユイが望んだのがあの狂気だ。周りへの絶対的な暴力。それがアイツの、己を守る術だったんだ。誰かの血を見て感情が高ぶり、身の危険を本能的に感じた時に問答無用であの狂気は発生する。動物的な本能が望んだ事だ。ユイが自分の内で戦っているのは狂気に染まった自分じゃない。圧倒的過ぎる力、言ってしまえば『この世の理』なのさ。だから無意識と言えなくも無いって事だ。」
「無事なんでしょうか?」
創筆の問いに今度は陰が答えた。
「無事だ。アイツは何度だってありえないものと戦ってきたんだ。きっと戻ってくる。」
そう言って陰と陽はユイに目をやった。
ユイの顔は相変わらず苦痛に満ちた顔をしていた…
<???>
ーー!
誰が退くかってんだ。
ーーーーーーーーーー! ーーーーーーーー!
知らんよ。自我を取った奴の言うことなんて普通は聞かんしな。それにお前の正体は一応知ってるつもりだ。
ーーーーーーーーーーーーー!
だから「つもりだ」っつってんだろ。それに約束はきっちり守りたい方でね。お前さんと共存はすれど俺を支配する権利を与えた覚えはない。
ーーー!
止めないね。しばらくの間は大人しくしていて貰うぜ。
ーーーーーー!
お前さんに拒否権はないのを忘れているのか?
ーーーーーーーーーーーー!
今気づいたのか?生き物っていうのは何かを支配したり、狩り続けないと落ち着かないんだよ。それはお前さんが一番よく知っていると思ったがな。
ーーーーーーーーーーーーーー!
じゃあ、なんだってんだ? あぁ、よく知っているさ。『解放』だろ? それがお前さんの望む事。
ーーーーーーーーーーー!?
まだ向こうには未練があるもんでね。弟子の成長も見ないといけないしな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー!
あぁ、知ってるさ。でも誰も「逃げる」とは一言も言ってないだろ?「ぶっ壊す」。それが今の俺の望みだ。じゃあな。??さんよ。
「ゲホッ!」
むせ返りながらユイは目覚めた。
「無事だったか?」
「あぁ、なんとかな。ただ今回は『アイツ』の反発が結構デカイ。なかなか抑え込むのが大変だったよ。」
大変と言いつつもユイはけろっとしている。
その時、後ろから頭を小突かれた。
「師匠。」
「ボサっとするな。奴らのお出ましだ。」
その言葉を合図としたように銃を持った兵士達が現れる。
しかし、あまりの惨状に一瞬だけ足を止めた。
陰と陽にはその一瞬で十分だ。
青と金の風が兵士たちの間を駆け回る。
2人がユイの側に戻って来た時には既に兵士は倒れていた。
「さてと、やるか。」
そう言って両手を陰と陽と陽に向ける。
その時、左の手首に黒いリボンが巻いてある事にユイは気付いた。
「ふふっ。」
思わず楽しげな笑い声が口から零れ落ちる。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもないさ。ほれ、暴れるぞ。今度は正気を持ってな。」
陰と陽は柄をユイに向けて渡すと人の姿を消した。
「さて、キトラの顔でも拝みに行くか。その後にぶん殴ってやる。」
そういうとユイは兵士が駆け込んできた方向に走り出した。
「師匠、森の転移頼んだぜ!」
「韋駄天を使え! このアホ弟子!」
「あんとさん! オン・イダテイタ・モコテイタ・ソワカ!」
印を結ぶとユイの足が一瞬で加速し、森の中に消えていった。
キトラはすぐに見つかった。
知らずの内にユイの両腕が竜の腕に変化する。
「ユイ、抑えるんだ。確実に殺る事だけを考えろ。痛めつけるだけ無駄だ。」
陽の声が剣から聞こえる。
「分かってら。」
韋駄天のスピードをそのままにユイは兵士達に突っ込む。
「来たぞ! 確実に仕留めろ!」
兵士の指揮官と思われる人物が指示する。
(アイツを最初に狩るか。)
ユイは指揮官へ向かって陰と陽を振り回しながら走り出した。
「ひぃ! 守れ! 俺を守るんだ!」
兵士が指揮官の周りを固める。
「指揮官の在り方を1つ教えてやろう。」
ユイは兵士を斬りながら言葉を紡ぐ。
「己を道具と思え。時に隊の誰よりも低い位に成り下がるのが指揮官だ。」
そういうとユイは指揮官に躊躇い無く剣を振り下ろした。
指揮官は呆気に取られた様な表情をして命を散らした。
「じゃあな。戦場の虜よ。」
そう呟きながらユイは他の兵士も斬り捨てて真っ直ぐにキトラの元へ向かう。
刺せば穿き、斬れば分かれる。
まもなくユイはキトラの前まで来た。
兵士が銃を構えるがキトラは手を振ってそれを止めた。
キトラの服装は変わっており、ローマ帝国時代の将軍を連想させる服を着ている。
「…よう。久しぶりだな。元気してた? 5番目の車輪。」
その言葉を聞いた瞬間キトラの顔が憎々しげに歪んだ。
「…感謝するんだな。今のお前は気まぐれで生きているんだから。」
ユイは飄々とした態度を変えずに言葉を返す。
「よく言うぜ。口先だけでコイツらを統率したんだからな。今、コイツらが裏切ればお前さんはあっと言う間に地獄へ飛ばされるぜ。」
キトラがユイに向かって指を指す。
ユイが転がるとさっきまでユイがいた所には巨大な鉄の杭が地面に突き刺さっていた。
「思い上がるな。『殺戮の魔天』。2度も同じ説明をさせないでくれ。」
キトラは面倒くさそうに手を振る。
次の瞬間、ダイヤモンドの壁が兵士を巻き込んでユイに迫る。
「嘘だろ…」
そう呟いてユイは壁を陰と陽で叩き割った。
「『物質を操る能力』。これが俺の力だ。」
「なるほど。『物質を操る程度の能力』か…」
キトラが怒りで顔を赤くする。
「殺してやる!」
「その言葉。今までで1番言われた言葉かも。」
ユイとキトラの戦いが本格化し始めようとしていた。
何だあの前書き…(自分で書いた物)




