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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
竜人達の因縁
16/93

幻想郷侵入者

お久しぶりです

話のつまらなさはまあ…ご愛ky(殴

ユイは骨からの報告を受けて、結界の周辺を散策していた。

「全く、迷い込んだ類の人間か?」

油断なく上空から観察する。

「しかし、1体をバラバラにされている以上魔術の知識のある奴と見た。そんな奴が迷い込むとは思えん。」

1人でそんな事を呟きながら退屈そうに捜索を再開する。

その時ユイに向かって弾幕が飛んで来た。

不意を突いた弾幕をユイは躱す事が出来ずに被弾した。

「いてぇ…」

被弾した右腕をさすりながらも素早く周りを見渡し敵影を探すユイ。

すると、人里の方に逃げる影が見えた。

「…侵入者か…」

そう呟くと指笛で1体の鳥類の骨に指示を出す。

「侵入者が来たって伝えてくれ。目標は不明。人里に向かった。こちらの被害は骨1つ。宛先は紫の家だ。行け!」

それを聞くと骨は上へ舞い上がった。

「侵入者を追え。生死は問わない。」

他の骨達に指示を出すと、あちこちで迷彩の様な模様をした骨達が現れた。

中には「人里より感謝を込めて」と書かれたお札も貼ってある。

どうやら人里でかなりの人気者になっているらしい。

ユイは苦笑すると影の逃げた方角へ飛んだ。

侵入者にはすぐに追いついた。

前に回り込んで話しかける。

「よう。調子はどうだい、侵入者さんよ?」

侵入者はマントを被っているため顔を伺うことはできない。

それでも驚いているのはなんとなくわかった。

「ここへはどうして来た?」

「……」

「だんまりじゃ分からん。」

「……」

「ここの連中でも挨拶ぐらいはするぞ。」

「……」

「なんで俺の骨をバラバラにした?」

「……」

質問にも雑談にも応じようとしない相手にユイは怒りを募らせていた。

「黙っているなら逃げたらどうだ?言いたくない事でもあるならそれが1番だろう。」

それを聞くと侵入者は空を飛んで逃げ出した。

「やっぱり普通の奴じゃないな。」

そういうとユイも空を飛んで追いかけ始めた。

「ユイ!大丈夫ですか!?」

その声とともにユイの横に並んだのは藍だ。

「不意打ちで一発貰った。侵入者は黒いマントを被って空を飛べる。おそらく迷い込んだ可能性は低い。」

「分かりました。紫様もしばらくしたら合流します。寝ていなければ。」

「寝ていなければ?」

「後で話します。行きますよ!」

そういうと藍は加速した。

侵入者は空中で待ち受けていた。

弾幕を2人に向かって撃つ。

「やっぱり、何かしら目的を持って入って来たみたいだな。」

「支配が目的なら1人でやるには大きすぎますよ?」

「支配とは言ってないだろ。」

そんなことを話し合いながら弾幕を避けて行く。

しかし、それが侵入者の狙いだった。

避けて行くうちに2人は弾幕の檻に閉じ込められてしまった。

「まさか自分のスペカに似た弾幕で嵌められるとはな。」

「これで2度目ですよ。」

ユイは驚きを隠せなかった。

「仕方ない。ちょいと藍さん、被弾しない様に気をつけて。」

「何をする気ですか?」

ユイが実行に移す前に藍が素早く聞く。

「スペカ。《竜刃「Absolute Blade」》!」

刃の様な弾幕が檻を切り刻んで行く。

ものの5秒もしないうちに檻は壊れた。

相手は一瞬体を固まらせたがすぐに新しい弾幕を展開した。

「今の弾幕はなんですか?」

刀弾かたなだん。大体のものはこれで切れる。」

「なんでそんな無茶苦茶なもの…」

藍がクナイ弾を避ける。

「…持ってるんですか!?」

「どうしても最後まで喋りたいのな。」

ユイは弾幕を躱してから質問を喋る藍を面白そうに見る。

「まあいいさ、長年の賜物…」

今度はユイが大玉弾を避ける。

「…とでも言っておこうか!」

「人のこと言えないじゃないですか。」

藍が呆れた様に笑った。

「そろそろケリをつけるか。もうしばらく遊んでいたいけど仕事だからな。」

その時、侵入者の弾幕がおかしな動きを見せた。

侵入者の前に集まり何かを形作る。

「…?なんのつもりですか?」

「……」

藍が警戒しながら聞く、が侵入者はユイが質問した時と同様に黙ったままだ。

その態度に藍は無言で弾幕を展開しようとする。

「待った。」

それを止めたのはユイだ。

「なんですか。」

藍はむすっとした表情でユイに聞くがユイは前方を見たままだ。

「あれ…竜人が使っていた文字だ。」

「知り合いですか?」

「多分…ハル姐?」

ハル姐、と呼ばれた人物はその時初めてきちんとした反応を示した。

ゆっくり頷く。

弾幕を使って、また文字の様なものを形作る。

「『呪いをかけられた』…」

「喋れないの?」

また頷く。

「なんで?」

その問いに「呪いをかけられた」と言う弾幕文字を点滅させる。

「いくつ呪いをかけられたの?」

『3つ…守護の呪いが1。』

「マントも呪いの一部?」

首を縦にふる。

「さっき攻撃を仕掛けて来たのは?」

『呪いの1つ、誰かに弱らせてお前を連れてくるように術式を組み込まれた。』

「術者は誰?」

首を横に振る。

質問することが終わったのかユイは考え込むそぶりを見せる。

「あの…ユイ。ハル姐とは一体何者なんですか?」

完全にユイが自分の世界に入り込む前に藍が質問をしてこちらの世界に引き戻す。

「…ん? あぁ、ハル姐ことハルヴィアは俺が生まれた時からいた幼馴染みたいなもんだ。ただ、年齢はハル姐の方が高いからそう呼んでいるんだけどね。」

「幼馴染ですか。相手がそれを知ってやって来たのなら随分と切れ者ですね。」

『恐らくそれを知って差し向けて来たと思う。』

藍の言葉にハルヴィアが弾幕文字で答える。

「とりあえず、呪いを解除したいから下に降りようか。」

下に降りるとハルヴィアはユイに歩み寄った。

「どうした? …うお!」

ユイよりも背の高いハルヴィアが犬の頭を撫でるようにわしゃわしゃと頭を撫でる。

ユイは安心したように目を細める。

「そういえば、何かあったときはこうして撫でてもらったな。呪いを解いたら好きなだけ頭撫でさせてやるからとりあえず離れてもらえる?」

ハルヴィアは頷いて5メートルほど距離を開けた。

ユイは頬を両手で何回か叩くと目と髪の色をそれぞれ緋と深紅に変える。

これがユイが生まれながらに持つ本来の髪と目の色だった。

両手をハルヴィアに向ける。

「…さて、やるか。藍さん、最初に俺が守護の呪いを解くから、どっちかの呪いを解いてもらえる?」

藍は頷いたがすぐに頭をかしげた。

「2つが連結している可能性は考えないんですか?」

「そうなったらなんとか頼む。」

「そんな無茶苦茶な。ちゃんと計画を持って…」

藍がこれ以上何かいう前にユイはハルヴィアの足元の魔法陣を描く。

ハルヴィアが苦しげにのたうつ。

その体からはどす黒い煙が上がっていた。

ユイの呪文を呟く声が文字となってあたりに瞬く。

「…喋れなくなる呪いは連携していない、そっちを頼む。」

呪文を一瞬途切れさせるとユイは藍に向かって言う。

藍はその言葉をなんとか聞き取り解呪を始めた。

2つのざわめきにも似た声があたりに響き渡る。

3分ほど経った時、ハルヴィアの体に変化があった。

ボン!

大きな黒い煙が体から出るとマントがどこかへ飛ばされた。

その途端、藍がその場にヘタリ込む。

顔には汗がにじんでいた。

「術が複雑すぎますよ…」

「おつかれさん。術1つであんなに複雑なものを作るなんて相当の暇人か、相当ハル姐を離したくなかったんだな。」

その時、ユイの前に立つ影があった。

革製の服をベースにした服装をしている。

「ハル姐、元気だっt…」

ユイが言い切る前にギュッとハルヴィアは無言で抱きしめる。

「…頼む、何も言ってくれるな…」

「…おかえりハル姐。それから、ようこそ幻想郷へ。」

「…掟破りはお前の得意技だったもんな…牢にも放り込まれる訳だ…」

顔を涙で濡らしながらそんな皮肉めいたことを言う。

「そうかい。じゃあ、シャッキリしな。俺の知るハル姐はもっと姉御肌だぜ。」

「…言ってくれるじゃないか、ユイ。」

そういうとハルヴィアはユイから離れて両頬を音を立てて叩いた。

顔を上げるといくらかスッキリした顔をしていた。

髪は月のような金髪で瞳は夕焼けを連想させる赤をしており見るものを惹きつける。

しかし、呪いのストレスが溜まっているのか髪にはほんの少し、白いものが混じっていた。

服装は革のベストに絹のゆったりとしたYシャツ、ズボンも絹でできており、腰に革製の前掛け(エプロン)を掛けている。

さらに、履いている靴まで革製でできており、ブーツを履いている。

ハルヴィアは藍の方を向いて頭を下げた。

「感謝するよ、喋れないのは結構キツかったんだ。一時期手話を覚えようかとも本気で悩むくらいね。」

「いえ、お気になさらず。ユイに巻きまれて解呪しただけですから。」

「随分と歯に衣着せぬ言い方をするんだね。いいね、そう言うの好きだよ。」

ハルヴィアはケラケラと笑う。

「あら、私の出番は無しかしら?」

そんな声と共に隙間から現れたのは隙間を操る大妖怪、八雲やくも ゆかりだ。

「嘘つけ。ずっとあの隙間から見てた癖に。俺の骨が追っかけてくる途中で何匹か隙間に入り込んでるのを見かけたもんでな。早く返してくれ。」

「この淑女もどきさん、誰だ?」

「あら、淑女なんて照れるわ。」

そう言うと紫は顔を赤くして微笑んだ。

「平和な耳してら…この幻想郷の1番上位に存在する妖怪、八雲 紫さんさ。敵じゃない。」

それを聞くと、紫は持っていた傘を一回転させた。

「ようこそ、幻想郷へ。ここは幻想となったものが集う郷。あなたもなの?」

「…正直に言うとどうやってここに来たのかは覚えてない。誰か誰かに転送された覚えがある。」

「…厄介なことになって来ましたね。となると、裏でもっと大きい何かがなんんらかの目的を持っていることになります。」

藍が両手を互いの袖に入れて考え込むような様子を見せる。

その時、紫の隙間から骨達が出て来た。

「侵入者は幻想入りした。攻撃するべからず。」

骨がハルヴィアに危害を加える前にユイは慌てて命令する。

「…ユイ、こいつらはまさか『魂』で動いているのか?」

その言葉にユイはそっとその場を立ち去ろうとするが首元をハルヴィアに抑えられていた。

「答えてくれないか?」

殺気を放った笑みを浮かべる。

「藍、帰るわよ。」

「承知しました。」

そう言うと紫は藍を連れて隙間の中へ消えた。

「…一応、然るべき所と契約してあるぜ。」

「この骨達はなんだ?」

ハルヴィアの質問は止まらない。

「幻想郷の警備をしてるんだ。」

もはや観念したのかユイが何のためらいもなく答える。

「なるほど。魂を然るべき所から。」

「そう、然るべき所から。」

「幻想郷の警備を?」

「幻想郷の警備を。」

ハルヴィアは笑顔のままだ。

「契約をして?」

「契約をして。」

「……」

ハルヴィアはついに、黙ってしまった。

「ハル姐?」

「人様に迷惑をかけてまでやるべからず。」

そう言うとユイの頭にゲンコツが落ちた。

「っっっったい!」

「お前が見回ればいいだけの話だろう!」

「1人じゃ間に合わないくらい幻想郷ここは広いんだよ!」

「陰と陽がいるだろ! 忘れたとは言わせないからな!」

こうして、陰と陽も交えた喧嘩のようなハルヴィアの説教が始まった。

ハルヴィアの大声が響き渡る。

「もういい! 魂を解放してやれ!」

完全に論破されたユイに抗うすべはない。

骨達は文字通り魂を抜かれたようにその場に崩れた。

ハルヴィアは手を骨達にかざす。

すると、骨達が再び動き出した。

骨達にハルヴィアは厳かな口調で告げる

「神霊達よ、ここにいるユイを主人とし、幻想郷を守れ。」

すると、一斉に骨達が首を垂れた。

「承知いたしました。ハルヴィア様。」

骨の1体が口を開いた。

その様子にユイは感心したように目を開く。

「相変わらず、恐ろしい能力だな。『物体に神霊・付喪神を宿らせる程度の能力』は。」

「程度ってなんだ、程度って。それに陰と陽の時もやっただろう。」

「まあな。でもあの時は術式も組み込んでやってただろ。程度って言うのはここでの能力を示す時に使う方言みたいなもんだ。」

「陰と陽はお前さんの力を抑制するために『意思』を持たせる必要があったからな。」

そう言うと、ハルヴィアはユイに向き直った。

「ユイ、外道じみた術は使ってくれるな。約束してくれ。」

「するよ。」

それを聞くと安心したようにハルヴィアは息を吐いた。

「なにはともあれ、呪いを解かれた以上ここに住むしかあるまい。どっか適当なところで過ごすさ。」

「そうか、これからよろしく頼むぞ。」

「うんにゃ。」

ユイの返事はハルヴィアに頬を持ち上げられたせいで変な返事となってしまった。

2つの大きな笑い声はあたり一帯に響き渡り、人里では「大声で笑う妖怪がいる」としばらく噂で持ちきりだった事を2人は知らない。

新キャラ登場!

次はみょんとユイの土台だ…ふふふ。

(寝起きのねこは意地の悪い笑みを浮かべた!)

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