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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
動骸異変
15/93

そぞろ弾幕と風流と

お話が噛みすぎたガムみたいに味気なくなってきたのでちょいちょい投稿間隔を開けると思います。

スルメの様に味が滲み出る様、熟成させます。

魔理沙とユイは空中で激戦を展開していた。

お互いの力を推し量る弾幕戦はとうの昔に終わった。

「助けるか!?」

屠自古が魔理沙に呼びかける。

「いや、大丈夫だ!もうちょい休んでてくれ!」

そう叫んで弾幕を避けることに集中する魔理沙。

「意外と機敏だな。」

ユイは魔理沙の弾幕を躱しながらそんな事を独り呟く。

「《魔符「スターダストレヴァリエ」》!」

ユイの上からいくつもの星型の弾幕が落ちる。

「まったく、厄介な事この上ない。」

次の瞬間魔理沙の放った弾幕が《三太刀「命剣 伊邪那岐」》、《四太刀「冥剣 伊邪那美」》によって細切れにされる。

そこに浮かんでいたのは不気味な笑顔だ。

「こいつはあまり発動する気には慣れないんだがまあいいか。《罪符「磔の牢獄」》」

ユイが発動させると魔理沙の周りに文字が生まれる。

「固定。」

そういうと文字達は魔理沙の周りを覆った。

「なんだ!?」

突然の出来事に魔理沙は慌てる。

「俺が幻想郷ここに来る前にどんなことをされたのか。1名様ご案内だ。」

ユイが右手の指を鳴らす。

すると文字達から魔理沙に向かってナイフが撃たれる。

「その1。刃物耐久。」

「うっ!」

魔理沙が痛みに呻く。

「これでも結構弱めてある。流石に完璧に再現すると人間には酷だ。」

「やめろ!」

後ろから屠自古がユイに向かって雷を落とす。

ユイは舌打ちと共に雷を避けるが文字は砕け散った。

「他にまだあったんだがなぁ。」

そんなことを呟きながら屠自古の放つ弾幕を避けていく。

「助かった!」

「これで借り貸しなしだぜ!」

「あぁ、貸し借りなしだ!」

魔理沙は刺さっていたナイフを抜く。

ナイフの刃渡りはそこまで長くは無かったのか内臓に被害はないようだ。

ユイを倒すべく箒に飛び乗り弾幕の間を飛び回る。

「《魔符「ミルキーウェイ」》!」

花びらの様に広がる星型の弾幕がユイの弾幕を消す。

「なるほど。広範囲型スペルカードでいかに少ない弾幕を展開させるか。この形が一番いいだろうな。」

自分の弾幕を消されたにも関わらずユイは魔理沙の弾幕を分析する。

「余裕ぶっている暇があるのか?」

「事実余裕なんだから仕方がない。」

屠自古と魔理沙の弾幕を避けながらユイは距離を開ける。

「魔理沙!気をつけろ!何か来るぞ!」

「気まぐれな神の百鬼夜行。お前さんはどこまで虜にならずにいられるかな?《竜進「月詠のそぞろごゝろ」》。」

弾幕が速いスピードで広範囲に撃たれる。

「危ない!」

ギリギリで魔理沙は弾幕を避ける。

弾幕はそのうちゆっくりになりやがて止まった。

「なんだ、こんなもんか。」

「おいおい、神の気まぐれっていうのは1度起こると結構長く続くんだぞ。」

龍の形をした弾幕がそぞろ歩く様に魔理沙に迫る。

「これが『そぞろごゝろ』ってやつか…」

そう呟くと魔理沙は弾幕の龍を避ける。

龍はしぶとく魔理沙を追う。

「そぞろ飛びじゃないのか!?」

「こいつの名前聞いていなかったのか?『そぞろごゝろ』だ。気が向くまでお前さんを襲い続ける。もとより凶暴な龍を弾幕にしたからな。襲うのはそぞろしない。」

その時、雷が落ちて弾幕の龍は散った。

「天候も『そぞろごゝろ』で動いてるって知ってたか?こっちもそろそろ疲れが取れてきたんでね。」

屠自古が右手を龍のいた場所にかざしている。

「だが、元々天候も龍が操っていたのは知ってるか?『龍神』とかいう御大層な称号を頂いているらしいがな。実際、それほどの実力を持った龍や竜人なんて探せばゴロゴロ出てくるもんさ。」

「雷だけにか?」

「雷だけに。」

屠自古のふざけた様子の質問にユイは笑って答える。

次の瞬間、天地が崩れそうな程大きな雷がユイに落ちる。

「面白くない。もう少し捻りをつけろ。」

ユイは地面まで叩き付けられていた。

洒落しゃれを言っただけで雷を落とすなんて物騒な世の中だな。」

「雷を落としても死なないお前の方がよほど物騒な世の中を生きてきただろうよ。」

「なるほど、そういった考え方もあるのか。」

そういうとユイは起き上がる。

魔理沙と屠自古が臨戦態勢に入ったところで上から声がかかった。

「そこまで。」

白玉楼の主人、西行寺 幽々子がこちらを見下ろしていた。

側には魂魄 妖夢や、ユイの憑神の陰と陽もいる。

「あ〜あ。憑神たちが取られたか。こりゃ勝機が薄いな。降参だ。」

「まだ全力を出していないのに降参なんてしても良いのかしら?」

ユイの降参宣言に幽々子が問う。

「一応、そいつらには思い入れがあるからな。破壊する様な真似はせんよ。」

「良い主人を持ったのね。あなた達。」

幽々子が扇子を顔の前に持っていく。

その奥にある表情を読み取れる者はいなかった。

「いざという時に抑えるのが大変な主人ですが。」

陰が嫌そうな顔を隠そうともせず答える。

「主人の前で言うなよ。」

ユイがさも傷ついたかの様に言う。

「ところであなたの憑神から交渉があったのだけれど。」

幽々子が改めて切り出す。

「ほう、どんな条件をこいつらは出したんだ?」

「1、あなたの幻想郷の警備のやり方を認める。2、白玉楼の魂達を借りる。あなたの術のせいで魂が作られて白玉楼の魂が消えたのよ。だから5〜10体程度になるけど、それでよければ貸してあげるわ。3、借りる魂は2〜3週間程度で返す。魂にも来世があるからそこは譲れないわ。新しい魂は貸すけど。それから、正直言ってこの取引には白玉楼になんの利益もない。だから、これに追加して破格の条件の代償を払ってもらうわ。」

「まあ良いさ。なんらこちらに不利益のない条件を出してくれた様だからな。できる限りその代償とやらは飲もうじゃないか。」

それを聞くと幽々子はニヤリと口角を上げた。

「じゃあ、気が向いたらその条件を出すとしましょうか。」

「幻想郷の連中は怖いね。」

ユイはぼやいた。

「そうかしら?ここは風流に重きを置くところでもある。『それもまた一興』ですませるのが1番だと思うわ。」

「生憎俺はそんなみやびなことは出来ない竜人なもんでね。」

「あら、雅というものを生まれながらに持っている者なんていないわよ。私も長い時を生きて習得したんですから。」

「これは恐れ入った。」

ユイはため息をついて両手に握っていた剣を何処かへしまった。

その様子を見て魔理沙が質問する。

「あの剣は何処にしまったんだ?」

「魔法陣の中。魔力でできた巨大な倉庫にしまう感じかな?」

「後で教えてくれよ!」

それを聞くとユイはニヤリと笑って幽々子の方にちらりと目をやった。

「そうだな。気が向いたら教えてやるよ。」

魔理沙は不服顔だ。

しかし幽々子の方をちらりと見たユイの様子からジッと考え込む。

「それも…それもまた一興。」

ユイはそれを聞くと声をあげて笑った。

「お前さんも俺と同じで雅を習得しないといけない身みたいだな。」

その途端、妖夢が笑い出す。

屠自古と幽々子もつられて笑い出した。

「魔理沙さんが雅って…ふふふ。」

「想像がつかないなぁ…あははは!」

「……」

幽々子は扇子で顔を隠しているが、どんな顔をしているのかは明白だ。

肩が震えているのを隠せていない。

「なんだよ!みんなして私をからかいやがって!帰る!」

魔理沙は逃げる様にして箒に飛び乗り何処かへ飛び去った。

「気が早い奴だな。」

「いい思い出になりそうです。」

「彼女にそれを教えても良いかもしれないわね。」

「それでどうなったのか覚えているのか?」

屠自古の問いかけに3人はまた笑う。

幽々子も今度は扇子で顔を隠さず笑った。

ひとしきり笑った後、ユイは屠自古と妖夢に体を向ける。

「お前さん達の方で何か欲しい物はあるか?できる限り協力はするぞ。」

「私は白玉楼の者ですので先ほどの幽々子様がおっしゃった『代償』で結構です。」

「そうだな…陰と陽みたいな陰陽に宿った憑神が欲しい。」

その様子にユイは若干困った様子を見せる。

「幽々子さんの従者さんは良いとして…そっちの亡霊殿の願いを聞くのは難しいな。陰と陽に命を吹き込んだのは別の奴なんだ。」

「なるほど、ではそいつが幻想入りしたら依頼するとしようか。」

「手間かけるな…」

どうしても憑神が欲しいらしい屠自古にユイは後ろを向いてボソッと呟く。

「じゃあ。私たちはおいとましようかしらね、妖夢。」

「はい。」

「私も失礼するぜ。じゃあな、ユイ!」

3人が飛び去りユイ、いつの間にか変身(混交?)した太極が残った。

「なあ、太極。〇〇はここに来ると思うか?」

「どうでしょうか。なんとも言いかねます。」

「だろうな。〇〇は、まぁ自由奔放というか…幻想入りするには存在感が強すぎるかねぇ。ああ見えて強大だからな。俺という危険分子がいる以上、紫さんも易々とは侵入させないだろうよ。」

「自由奔放であるなら、ふとした拍子で来るかもしれませんよ。」

「どうだか。太極、酒に付き合え。」

「承知しました。」

ユイは苦笑いを浮かべると酒を取りに家へ入っていった。

伏線増し増しで投稿しております。

「〇〇」は露骨過ぎたかな?

ちなみに文字数は2文字ではありません。

もうちょい文字数あります。

それから番外編に異変後の白玉楼サイド、屠自古サイド、魔理沙サイドを「気が向いたら」書くつもりなのでよければ「それも一興」と気長にお待ちください(笑)。

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