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東方竜人郷  作者: 寝起きのねこ
動骸異変
14/93

魂魄交渉

みょんサイド。

吹っ飛ばされてますしおすし。

妖夢は、森の端まで太極に吹っ飛ばされていた。

「くっ!」

なんとか空中で静止する。

「よう!」

そのとき目の前に金色の髪をした男が逆さまに覗き込む様にして覗き込んでいた。

その様子に妖夢は思わず男に向かって刀を振るう。

しかし無造作に持ち上げた男の左手によって防がれてしまった。

「おいおい、落ち着けよ。戦意はないんだから。」

男はカラカラと笑って言う。

「陽、やめろ。お前のせいで彼女が驚いているじゃないか。」

今度は後ろから声がする。

振り向くと青い髪をした女がいた。

それぞれ黄色と青色の漢服の長衣を纏っている。

妖夢は警戒を解かずに問う。

「何者だ?」

「驚かせてすまない。私は太陰龍という。陰と呼んでくれ。こっちの騒がしいのは太陽龍だ。陽とでも呼んでくれ。一応アイツの剣に宿る憑神だ。交渉に来た。」

「私を飛ばした男は?」

「男ではないし女でもない。あれは俺たちが一体となった時の姿だ。陰と陽、何か思い浮かばないか?」

妖夢はしばらく黙って考えた。

「陰陽道?」

「その通り、陰陽道の極みがあの姿だと思ってもらえばいい。私達は陰陽の化身の様なものだ。」

その説明に妖夢は納得したように頷いた。

「物分かりが良くて助かる。陽とは大違いだ。」

「そんなことはなかろう。」

「まず…」

「聞けよ!」

陰は陽を無視して続ける。

「まず、こちらは戦うつもりはない。」

「あいつは話が通じない奴にはすぐに力に頼る。」

「陽、静かに。だから少し交渉を聞いてくれないか?」

妖夢は首を傾ける。

「交渉?」

「あいつのやり方を認めて欲しい。」

「それはできない。」

陰の提案を妖夢はあっさり跳ね除ける。

「こちらもそれは承知している。」

「まぁ、実際外道じみた術だからな。そこであいつの力を制限するんだ。」

「制限?」

陽は頷くと3本の指を立てた後、人差し指のみを立てる。

「そう。制限だ。1、まずあいつのやり方を認める。」

陽が言うと陰が言葉を引き継ぐ。

「あいつはこの幻想郷で1番偉い妖怪に結界の警備を頼まれた。だが、あいつは私達のように分身が出来る訳じゃない。それを補う為にあの骨を作ったんだ。」

それを聞くと妖夢は反論する。

「しかし、そのせいで私の務めている白玉楼の魂達が消えて、あなた方の骨に閉じ込められているのです。」

妖夢の言い分を聞くと2人は頷いた。

「お前さんのいう白玉楼とやらが何処にあるのか、何をしているのかは知らんが、俺たちのせいで魂が消えているのは分かった。そこで2だ。」

そういうと陽は人差し指に加えて中指を立てた。

「2?」

「そう、魂達を借りたい。」

「簡単に貸す訳にはいきません。」

「分かっている。5〜10体程度で良い。それで幻想郷が守られるのなら安いと思うんだがな。」

「そんな無茶が通るとでも?それに貸したとしても魂達も転生します。」

「そう、だから3だ。」

更に陽は薬指も立てる。

陰が言葉を紡ぐ。

「借りる魂に期限をつける。2、3週間だ。その度にあいつは魂を1回解放し、別の魂を宿らせる。そうすればあいつは少なくとも魔術や霊術を使った事件…ここでは『異変』だったな。それを起こす魔力、霊力はなくなる。」

「武術を使った騒ぎはどうするつもりですか?」

「なんのために俺らがいるとおもってるんだ?」

陽が凄みを効かせた笑顔でいう。

「元々ただの剣だった俺らはアイツの依頼であの方に命をいただいたんだ。」

「あの方?」

「その話は後だ。要は私達はアイツの抑止力として生まれたという事だ。」

陽が投げやりに言う。

その後を陰が繋いだ。

「アイツが暴走した時は止める役割を持つ。それでも結局は封印されたが…とりあえず、幻想郷の平和を保ちつつもアイツを押さえつけるにはそうするしかないんだ。アイツは陽の言った通り力に訴えやすいが話せば理解しようと努力できる奴だ。私達で止めなくてはいけないんだ。限度を超えるとアイツはどれほどの被害をもたらすか分からない…頼む、この交渉を飲んで協力してくれ。」

訴える陰の顔には必死な表情がうかがえた。

妖夢は目を閉じて考える。

「…分かりました。しかし、1つ問題があります。」

「なんだ!?可能な限りできる事はする!」

「私は従者の立場にあるのです。主人抜きに物事を決定する権利はありません。」

「主人の承認が必要なのか…」

2人の顔には絶望が混じった。

その時、上から声が聞こえた。

「あら、白玉楼とその庭師の主人ならここにいるわよ。」

幽冥楼閣の亡霊はゆっくりと妖夢の隣に落ち着く。

「幽々子様!?」

「良いわよ。さっきあなた達が出した提案は全部飲んであげるわ。」

幽々子は柔和な笑みと共に言う。

だが、2人はその表情に凍りつく。

「そう、『食事をすればお金がかかる』。どこかの国のことわざみたいなものよ。何をさせようかしらね。」

目が笑っていない笑顔を2人に向ける。

「まぁ、後であなた達の主人に払ってもらいましょうか。」

そう言うと幽々子は弾幕が飛んでいるところに向かって飛んでいった。

「妖夢さんって言うのか。感謝するぜ。あんたが耳を貸さなければ俺達はアイツに消されていただろうからな。」

そう陽が言うと陰は頭を下げて先に行った陽と幽々子の後を追った。

妖夢もそれに続く。

異変の終わりが近づいていた。

この2話で3人(?)も新キャラを追加する計画性のなさ。

そのせいで文災なんて呼ばれるんだ。

こんなところで解説するのも如何なものかと思うけど、陰と陽は御察しの通り地霊温泉でユイ君は出現させた一太刀「陽剣 太陽龍」と二太刀「陰剣 太陰龍」です。憑神がいるとは読者さんには予期せぬものだったでしょう。伏線すらないと言うね。太極の状態の時の剣もあります。出していないだけです。

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