思い出と骨の式
良く見たら今年の書き納めになってる!
(今更感)
一応、新年の挨拶は番外編でやります。
屠自古が紅魔館の図書館へ向かうと魔理沙はおらず、妖夢とパチュリーがいた。
「いた!妖夢!…さん。何してんだ?」
妖夢は骨に手をかざして目を閉じていた。
「呼び捨てで構いませんよ。骨の霊力について調べていました。何も分かりませんでしたけど。10分調べて何も出て来ませんでしたが。」
「そうか。別の場所へ移動してたら一体どうなってたことやら。」
屠自古は妖夢にここまで来た経緯を説明した。
「なるほど。屠自古さんも同じで神子さんに頼まれたんですか。」
「あぁ、そういうことだ。そっちの方で何か掴めたものはあるか?」
「相手は凄腕の術者とういうことが分かった程度です。それで魔理沙さんが骨の呪文の翻訳が出来るんじゃないかって慧音さんの所に向かいました。」
「記録書の最初の方を漁れば出てくる可能性は無きにしも非ずって感じだな。」
その言葉に妖夢は苦い顔をする。
幽々子に事情も聞かされずに放り出されたのに、屠自古には積極的に情報を教えるのが相当堪えたようだ。
「誰かしら?」
気付くとパチュリーが本を閉じてこちらを見ていた。
「蘇我 屠自古と言います。豊聡耳 神子様の元で門人をやっております。」
「そう、パチュリー・ノーレッジよ。一応この図書館の管理を任されているわ。」
そういうとパチュリーは本を開き、また読み始めた。
「あまり仲良くできそうもないな。」
「人付き合いはあまり得意でないそうです。」
ムッとする屠自古を妖夢がなだめる。
「よう!待たせたな!」
その時魔理沙が箒に乗ったまま図書館にやってきた。
魔理沙の背負った袋には大量の歴史書が入っている。
「お!屠自古じゃないか!久しぶりだな!お前も妖夢みたいに頼まれた感じか?」
「間違っちゃいないな。ところでこれ全部慧音が編書した歴史書か?すごい量だな。」
そういうと屠自古は一冊を手に取る。
偶然かは分からないが「〜大化前」と書かれていた。
なんとなく表紙を開いてみると自分と関わりのある出来事がいくつも出てきて屠自古は思わず顔をほころばせる。
「屠自古さん?」
「ん、あぁすまん。ちょいとばかし昔を思い出してた。」
妖夢が心配そうに覗き込んでいるのを見て屠自古は初めてどれほど読みふけっていたのかを自覚した。
分厚い歴史書がちょうど半分のところで開いている。
「私もすぐに調べるよ。」
「いえ、一応全部調べ終わりました。」
「自分の思い出なんてそうそうお目にかかれるものでも無いだろ?」
「…面目無い。」
恥ずかしそうな屠自古に2人は笑顔を見せる。
「そういえばパチュリー…さんはどこに?」
「実はあの呪文の文字の解読が一切できなくてな。歴史書にも無かったんだ。それでまぁ、意地を張ったパチュリーが自室兼研究室に閉じ籠ったわけだ。」
「なるほど。」
その時、図書室の階段を誰かが降りてくる音がした。
3人は息を殺して階段の方角を向く。
ギィ。
そんな音と共に現れたのは宝石かと見紛うような翼だ。
「フランじゃないか!どうした?また、逃げ出したのか?」
「ううん、咲夜がお姉様に『魔理沙と妖夢が来た』って報告をしているのを聴いたの。普段からここにいるのに報告してるってことは何か面白いことでもやってるのかなって思って。」
「随分と面倒臭いこと、だ。」
フランの意見に屠自古が答えを入れる。
「何やってたの?」
「コイツの術式ついて調べてた。屠自古、骨持ってるか?」
魔理沙がそう言うと屠自古はフランにもう1つの骨を渡した。
「ほい。」
屠自古から骨を受け取ると、フランは興味津々といった様子で眺め始めた。
「Magical power 5 Spirit power 3. The missing spiritual power is supplemented from "a". When magical power runs short, make up with magical forest. Defeat an intruder who came from "Hakurei Great Boundary" and "Boundary and Entity Boundary". However, only when harming this body. There is no matter whether the intruder is alive or dead.’a’=…ここからは『a』がどう言ったものだとか、どうコントロールするのとか、巡回ルートとかだね。」
「今なんて言ったんですか?」
突然の英語に妖夢と屠自古が困惑した顔を浮かべる。
「魔理沙ならわかるでしょ。」
フランはあくびをしながら魔理沙に投げる。
「魔法5 霊力3。足りない霊力は "a"から補完せよ。魔力が足りなくなったら、魔法の森で補え。 『博麗大境界』と『幻と実体の境界』から侵入した侵入者を倒せ。しかし、この骨を攻撃した時のみに限る。侵入者の生死は問わない。」
「この骨の…式、ですか?」
「正解。多分これ、あの隙間妖怪の仕業じゃない?」
「新しく、式と呼べるかはわかりませんが、式を持ったって感じですかね?」
4人の間に沈黙が訪れる。
「フランさん」
「何?」
「結局’a’ってなんですか?」
妖夢が恐る恐るといった様子でフランに問う。
「…1つ確認させて。」
「構いませんよ。」
「魔理沙達はどんなきっかけで異変だと思ったの?」
「私の場合、森で狼の骨が青白い体で覆われているのを見たんだ。」
「妖夢は?」
「私の場合は幽々子様に言われたのでなんとも。」
「屠自古さん…呼びずらいから屠自古でいいかな?」
「構わんよ。私は神霊廟で青白い体に覆われた蛇を見たんだ。」
「そうなんだ…だとしたらこの’a’は魂でほぼ間違いないと思う。」
フランが言った途端妖夢の顔は青白くなった。
「やっぱりか。」
屠自古が重い溜息をつく(霊でも息ができるのかは不明だが)。
「と言うよりフラン。どうやってそいつを解読したんだ?」
今度は魔理沙が問う。
「ん〜、いくつの文字数で構成されているのかを数えたの。アルファベットに近い38の文字が大元で構成されてたから、そこから読んだだけだよ。」
「じゃあ、アルファベットは24だろ。残りの12文字はどうやって読んだんだ?」
「屠自古、地方の人たちって独特の言葉遣いをしてるでしょ?」
「あぁ、そうだな。」
「英語といっても1つじゃない。私は外の世界ではイギリスっていうところに居たんだけど、国境付近とかではその訛りも変わってきたり独自の書き綴りがあったりするの。それっぽいものを置き換えただけ。」
「なるほど。」
魔理沙が納得して自分の世界に入ると、とフランは屠自古の方を向いた。
「あなたは何か質問はある?」
フランの赤い目は面倒臭そうに細められている。
その様子に屠自古は軽く笑う。
「悪いが1つ。その骨の出発点ってどこだ?首謀者を捕まえないとな。」
「悪いと思うなら。この骨を読めるようになりなさいな。魔法の森の入り口にあるわ。」
「おう、すまんな。あと1ついいか?これは質問というよりお願いなのだが。」
「何。」
「パチュリーにお前さんが翻訳したことを報告しといてくれ。その骨は土産にやるさ。」
「私も随分と丸くなったわね。あなたが幽霊じゃなかったら消し飛ばしてあげたのに。」
「生憎1400年前に依代は無くなった。布都に騙されたか、なんかの事故で消し飛んだのかは忘れたけどな。」
「そう、ならそこの歴史書を調べてみれば?」
心底どうでもいいと言わんばかりに顔を背ける。
しかし、目がチラリと歴史書に何回も向けられているのを屠自古は見逃さない。
「いや、思い出は忘れるからこそ意味があるのさ。気になるならお前さんが見るんだな。」
「興味がないわ。」
ピシャリというフランに屠自古がはクスリと笑うと、魔理沙達に声をかけた。
「そうか。魔理沙!妖夢!魔法の森にコイツの出発点があるそうだ!慧音の歴史書を返してから行くぞ!」
その声に2人は歴史書を包み始め、フランは陰ながら残念そうな顔をする。
屠自古も歴史書の仕事に加わった。
「結局役に立たなかったな、この歴史書。私か持ってきた意味がほとんど無いじゃないか。」
「しかし、相手はここに書いてあるよりも遥か前に生きていた可能性があります。」
「そういう意味ではまた1つ情報が入ったと言えるな。」
「何事も見方次第か。よし、これで終わりだな。」
魔理沙はそう言うと箒に包まれた歴史書を括り付けた。
「気が向いたら、遊びに来るぜ!」
魔理沙が箒の上からフランに声をかける。
「明日になりそうね。」
「ひどい言い草だな…否定はできないがな。それじゃあ、また魔法の森で会おうぜ!」
魔理沙は人里に向けて飛んでいった。
「さて、行くか。魔理沙が着く前に倒してしまおうぜ。」
「そうですね。アッと言わせますよ。」
そう言うと妖夢、屠自古は魔法の森に向けて飛んでいった。
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図書館でフランは1人思案に暮れていた。
「…あの隙間妖怪じゃない。紫は式は紙に宿らせる。それが彼女にとって一番憑かせやすい。それに…紫は霊力は操れるかもしれないけど、魔力とあそこまで完璧に波長を合わせられる保証はどこにもない。ひょっとしたら、随分と面倒なドブに彼女たちは足を突っ込んだのかもしれない。1人足無いけど。」
そう言うとフランは軽く笑い、パチュリーの自室に向かった。
その後、紅魔館にパチュリーのとんでもない叫びが響き渡った。
フランちゃんめっちゃ博識やないかい(急な関西弁)
英語のところはスッゲー適当なのであしからず。
だって学校の成績3か2ですもの。
ググらないと分からんわこんなもん。
一応、次回にユイ君と2人をご対面させる予定。
はよ終わらせてイチャイチャさせたい…
ユイとみょん…ユイみょ(殴
だめだどこぞの有名歌手の名前みたいになっちまう。
みょんユイなら大丈夫だよね?




