走尸行肉
いろんな方から非難が飛びそうなタイトル。
これしか思い浮かびませんでした。
屠自っ子を期待してた皆様(皆と言える程読んでいる人がいればですが)、すいません。
次回は出します。
メインは魔理沙と妖夢ですが。
「幽々子様に助言を頂いたのは良いのですが、一体何が異変だというのでしょうか?」
そうボヤきながら「魂魄 妖夢」は人里を歩き回る。
「すいません、ここ最近何かおかしな物を見かけたりはしませんでしたか?」
そう周りの人間に片っ端から聞いて回っているがどれも回答は「わからない」というものだった。
妖夢は仕方なく、別の人里に行き同じ質問を人々に聞いて回った。
「あやや、妖夢さんじゃないですか。」
しばらく聞き回っていると後ろから声がした。
振り返るとそこにはカメラを手にした「射命丸 文」が立っていた。
「文さん。どうかしましたか?」
「いえ、別の記事を取材していたらあなたが『何か最近おかしな物を見かけていないか』って聞き回っているとの情報が耳に入りまして。」
「そうでしたか。幽々子様の命令で『異変を解決しろ』と言われてしまいまして。ただ、そんな様子は一切ないんです。」
「権力者の気まぐれと言う奴ですかねぇ。予兆がないものを異変だと騒ぐのはあまり良い記事にはなりそうにないです。その代わり『西行寺幽々子の狂乱』と言う記事を作ってみましょうか。あっ、冗談ですって。」
それを聞いた瞬間妖夢の周りの空気が変わった。
「文さん。世の中には言ってもいい事と言ってはいけない事があります。それがたとえ冗談であれ、私の主の品位を貶めるような事をする輩は容赦無く切り捨てさせていただきます。勝ったら、そうですね。私の調べている異変と思しきものの情報を吐いて頂きましょうか。」
そう言うと、妖夢は一瞬で間を詰め文に斬りかかる。
しかし、幻想郷最速を自称するだけの事はある。
文も抜刀される前に空へ飛んで逃げる。
「逃すか! 幽鬼剣『妖童餓鬼の断食』!」
色取り取りの弾幕が文に向かって高速で飛んで行く。
「おっと、ここで被弾して情報を無料で吐く訳には行きませんよ。風符『風神一扇』!」
文の団扇で突風に吹かれた弾幕が妖夢に向かう。
さらに文の方でも弾幕を妖夢に向かって打ち出された。
「くっ!」
驚きに目を開きつつもなんとか妖夢は自分と文の弾幕をすれすれで避ける。
「まだまだ行きますよ!疾風『風神少女』!」
「餓鬼剣『餓鬼道草紙』!」
弾幕と弾幕がぶつかり合い儚い音を立てて割れていく。
その弾幕の間を縫うようにして2人の追いかけっこは続く。
その時、妖夢の後ろから彗星のように文に突っ込んでいく何かがあった。
それは見事に文にぶつかる。
「あやや!?」
そんな声とともに墜落していく文を何者かが首根っこを掴んで持ち上げた。
「ほい、烏天狗いっちょあがり!」
「魔理沙さんでしたか。」
「おうよ。で、なんでこいつとお前は弾幕の追いかけっこなんかしていたんだ?」
「幽々子様に異変の調査を命令されたので、調べていたらそこの文さんが私の主人を侮辱されたので情報収集も兼ねて追いかけていたんです。」
「なるほどな。私はちょいとばかし、紅魔館の方に用事があってな。その途中で見かけた訳だ。」
その時、魔理沙に首を掴まれていた文がバタバタと暴れ出した。
「魔理沙さん、苦しいです!」
「逃げたりしないか?」
「逃げません!」
そう言うと、文はなんとか解放された。
「何か情報は持ってないか?」
「正直なところ、幽々子さんの言う『異変』らしき記事は持っていませんよ。強いて言うなら、天狗の長の家に千両箱が落ちたぐらいですかね。それも解決されて星蓮船に返されましたし。」
「あいつらは時たま面白いことをするんだよな。」
「それでは射命丸 文。おさらば!」
そう言うとものすごいスピードで飛んで行った。
「ありがとうございました。ところで魔理沙さん、紅魔館に用事ってまた泥棒しにいくんですか?」
「泥棒じゃないぜ。本を借りるだけだ。死ぬまでな。と言いたいところだが今回は違う。コイツについてだ。」
そう言うと魔理沙はポケットの中から何か取り出した。
それは土色の手のひらに収まる大きさの首の骨だった。
「なんですかこれは。」
「狼の首の骨さ。コイツの全体、つまり狼の骨格が青い半透明の体で動いているのを見かけたのさ。それを倒して見たらこの首の骨に術式らしきものが組み込んであったからアリス(アリス・マーガトロイド)に聞いてみたんだが『さっぱり分からない』って匙を投げられてな。それならパチュリー(パチュリー・ノーレッジ)の所に行って調べてもらおうと思って向かっているのさ。」
「『動かない大図書館』と言うだけあってその知識は凄まじいものですからね。」
「そういうことだぜ。よければ一緒に来ないか?もしかしたらお前の主人の言う『異変』っていうのはコイツかもしれないしな。」
「動く骸…さながら『骸動異変』とでも言った所でしょうか?」
「お前やお前の主人、他にもいろんな動く骸はいると思うぞ。」
「むぅ…」
「ははは、そんなに考え込むなよ。ほれ、行くぞ。」
そう言うと魔理沙は箒に跨って紅魔館へ向けて飛んで行く。
妖夢も慌てて魔理沙と同じ方角に体を傾けた。
紅魔館への空の旅はあっという間だった。
魔理沙は箒から飛び降りると慣れた様子で門を潜る。
妖夢も後に続く。
「ここの門番の美鈴は相変わらずあまり仕事をしないな。」
「門番ってなんでしょうか…」
そんな事を呟きながらも一応彼女を起こさないよう静かに歩いた。
魔理沙はまるで自分の家のようにパチュリーのいる地下図書館へ向かう。
「あら、こんな所に鼠がいたのね。ちゃんと追い出さないとお嬢様に怒られてしまうわ。」
そんな声と共にナイフがどこからか飛んでくる。
妖夢が咄嗟に刀で落としていなければ魔理沙は刺されていただろう。
「咲夜さん。私達は鼠ではありません。パチュリーさんにある事をお尋ねする為に来たのです。」
「あら、妖夢もいたのね。」
そう言うと紅魔館のメイド長、「十六夜 咲夜」が廊下の影から姿を見せた。
「なんで、私の時は容赦なくナイフを投げてくるのに妖夢には親切なんだよ。」
魔理沙は不満顔だ。
「日頃の行いでしょうね。それに同じ従者って言う立場だからかしらね。」
「従者の網って結構広いんだな。私もどこかの従者になれば親切にしてくれるのか?」
そう問う魔理沙に咲夜は苦笑気味だ。
「それはあなたの振る舞い次第でしょうね。そんな事より早く行きなさい。必要以上に長く居るようなら、どこからナイフが飛んでくるか分からないわよ。」
「そうなったらちゃんと相手してやるよ!ありがとな!」
そう言うと魔理沙は廊下を走って消えていった。
「ありがとうございました。」
妖夢も頭を下げた後、魔理沙を追いかける。
「何事もないと良いんだけど。」
ため息と共に咲夜は窓の外に広がる青空を見上げた。
地下図書館への階段を下りながら妖夢は沢山の本に圧倒されていた。
「おいおい、これくらいでびっくりすんなって。まだまだほんの一部なんだからな。」
「これだけあってまだほんの一部なんですか!?」
「あぁ、そうだ。だからさっさと行くぞ。」
長い階段を降り切るとそこにはパチュリーがいた。
「やっぱりあなただったのね。それにしては今日はやけに騒がしいじゃない。」
「今日は見てもらいたいものがあってな。コイツを調べて欲しい。」
そういうと魔理沙は件の骨をパチュリーに見せた。
「これが動いている状況にあなたはあったのかしら?」
「そうだぜ。」
「どんな感じだった?」
魔理沙はその骨の容姿を説明した。
「なるほど、青い半透明の狼ねぇ…ところであなたは誰かしら?」
「魂魄妖夢と申します。白玉楼で庭師をしています。」
「何故ここに?あなたは魔術に詳しいとは思えないのだけれど。」
「私の主である西行寺 幽々子様に『異変を解決してこい』と言われてしまいまして。これが異変になっているのではないか、と考えたので魔理沙さんについて来ました。」
「わかったわ。本格的に調べたいからついて来て頂戴。」
そう言うとパチュリーは魔理沙達を開けた場所へ案内した。
「で、どうするんだ?」
「そうね、とりあえず魔力を流して様子を見ましょうか。」
パチュリーは骨を宙に浮かせると魔力を流し込み始めた。
しかし、彼女の顔にはうっすらと困惑の色が伺えた。
「どうした?」
「これ、魔力だけじゃないわ。霊力、少なくともそれが入っている。」
「魔力と霊力をコイツに入れたのか!?」
「そうなるはずよ。」
「あの、どういうことなんですか?」
二人の驚きに妖夢が戸惑い気味に聞く。
「魔力と霊力っていうのは性質がすごい似ているの。だから、この2つを同時に置いておくと、どちらか量の多い方に飲み込まれるのよ。それを両立させるのはほぼ不可能に近い。だからそれをやってのけるっていうのは実際すごいことなのよ。しかもこれは術者が側にいても難しい。遠くからでも共存させることができるこの術者は史上最強を名乗っても咎められないわ。」
「霊力がどうやって使われているのか分かりますか?」
「それが分からないのよ。」
「術式に書いてあるかもな。あわよくば魔力と霊力の共存を補助している式もあるはずだ。」
パチュリーは頷くと広間の真ん中に置いてある机にそれを持っていき、そこに座って丹念に調べ始めた。
「私の元に持って行く前に誰かに見せたかしら?」
「妖夢の他にアリスに見せたぜ。でも、匙投げられたんだよな。」
「こんなの読めなくて当然よ。文字なんだけど見たこともない文字で刻まれているわ。まずは翻訳しないとお話にならないわ。」
その言葉に魔理沙が青ざめる。
「どうすれば良いんだ?」
「人里に住んでいる、『上白沢 慧音』の元へ向かってくれないかしら。あそこならなにか資料があるかもしれない。」
「おっしゃ!任せておけ!」
そういうと魔理沙は図書館を飛び出した。
パチュリーは本を開きながら妖夢に問う。
「あなたは魔理沙を追いかけないの?」
「はい。パチュリーさん、これ少し見ても良いですか?」
「調べようがないから別に構わないわよ。」
それを聞くと妖夢は骨の前に手をかざし、目を閉じて意識を集中させ始めた。
パチュリーは本に集中していて妖夢の様子に気づかなかった。
冬休みだぁ!
しかし、受験生なんだなぁ。
まず進路なんだよなぁ。
推薦もらったんだよなぁ。
さっさと合格して小説を書きたいんだよなぁ。
語尾がうざくてすいません。




