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プロローグI
幻想的な景色が広がっていた。自分でも訳がわからないくらい、そこはまるで天国のような清らかさを持ち、地獄のような禍々しささえ感じる。
「ここは、どこだよ、、、」
ぼそりと呟いた僕の声は煙に吸い込まれるように消えて行った。
煙に包まれた世界。靄がかかったように白く霞んでいた。僕の目の前には石畳が続いている。それは細くて一本しかない。床を感じられるのはそこだけで、石畳からずれて、靄の世界に足を踏み入れたらどうなるのか試すのが怖かった。底なし沼のように感じさせるそれは、やはり地面はないのだろうか。
「え?なんだよ、これは石畳を進む道しか選択肢がないんじゃないのか?」
後ろに道はなく、前に進めと言われているような気すらする。
「よし!」
決意を決めて、石畳を進んで行く。初めは何もなかった靄の世界に、相変わらずもやわかかっているけれど、木のようなものが出現し出した。