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温水プール(1)  作者: 岸辺のカフカ
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〜前編〜 隠されたダークスーツ

蝉が小賢しい時期も過ぎ、秋季を迎えようとしていた。僕は週に1度、市の体育館に行きからだを動かしに行っていた。 食事も気にしていたせいか僕の肉体は肉体美は言い切れなかったが、人に見られて恥ずかしくない肉体にはなっていた。 その体型に惚れ惚れとした僕は体育館に行くのが億劫になってしまった。

しかしからだを動かすのが好きだった僕は14日ぶりに体育館に行くことした。 この日は9月の下旬にも関わらず気温が25度を超えていた。地球もあと何年もつだろうかと真剣に考えながら体育館に入った。 入り口で入場券とその隣にある自販機で水を買い、吸い込まれるように階段を使いプールのある2階へと行った。 こう見えてプールに来るのは初めてだった。こんなにも体育館に来ているのに。更衣室に入ると見たことのない顔をばっかりだ。人に裸を見られるのが嫌だった僕はゆっくりと人の目を気にしながら着替えた。 水泳帽を被りゴーグルをつけシャワーを浴びようとすると左から眼鏡をかけブラックスーツを着た中年の男がやってきた。かなりの場違い感があった。 しかしその男のことを見て見ぬ振りをした。 なぜかその男を頭の隅に置き、泳ぐことにしたが、いかんせん泳げない僕はプールサイドに冷たい目線を受けながら数分立っていた。 そろそろ帰ろうとした僕は、プールに1秒とも浸かっていないにも関わらずシャワーを浴びた。 小走りで更衣室向かい目の前にあった木製の椅子に座った。 その数秒後に隣あったパイプ椅子にあのブラックスーツの男が座ってきた。 その男を見る限りプールで泳いだ痕跡は誰が見てもなかった。 「今日も暑いですね」と男は僕に話しかけてきた。それに対し、「そうですね」と言った。 その後は2人とも言葉を発することもなく気持ちの悪い空気が漂っていた。 突然その男が 「私がこの体育館に来ている理由を教えましょうか」と言ってきた。 「そう言われると聞きたくなりますね」と僕は言った。

この体育館の従業員に小百合と言う女がいると男は語った。その小百合と言う女の顔を見るためにこの体育館にからだを動かすわけもなく来ているのだと。 それを聞いた僕は目を丸くし話の続きを聞こうとした。

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