これまでのあらすじと登場人物
〈登場人物〉
月島 正悟……岱輿城市を拠点にしている探偵。六年前まで刑事をしていた。
瀬田 陽花……英治の娘。父親を殺した勢力に復讐を誓っている。
ジュリア・エッジワース……香港の巨大IT企業オートマタの社員であり、その政治的思想を継承したグウィディオンというグループの構成員。
喬 小龍……シティ警察の若手刑事。月島の後輩。
夏 大偉……雷富城に造反し、シティを支配しようと企む警察副長官。
雷 富城……シティの現市長であり、事実上の支配者。
〈あらすじ〉
二〇七四年の東アジア。香港沖二〇〇キロに浮かぶ岱輿城市で、月島正悟は探偵業を営んでいた。平穏だが退屈な生活の中、一つの依頼が舞い込む。その過程で知り合ったのは、天才エンジニアの娘である瀬田陽花。彼女の父親が開発したフラガラッハと呼ばれるサイバー兵器を巡り、月島は黑色女人やシティ公安といった勢力と因縁を持つことになる。一時は拉致され、命の危機に見舞われる二人。しかし銃弾飛び交う脱出行の末、フラガラッハを敵に渡さず帰還することに成功する。
そして半年後、陽花と久しぶりの再会を果たした月島に、新しい依頼の打診がある。それは陽花とも間接的な繋がりがある巨大企業オートマタの社員、ジュリア・エッジワースからのものだった。社員が失踪した事業所の調査を手伝って欲しい。その要請に応えて、月島は行動を開始する。陽花を一行に加えて進めた調査で、思いがけず当局の捜査網に捕捉された月島達は、逃走の過程でさらに危険なデータを入手する。それは何者かが作成したリストで、シティの支配者である雷富城への明確な造反を示す証拠だった。
岱輿城市からの脱出を図るため、港を目指す月島達に、屍食鬼と呼ばれるシティ公安の秘密部隊が迫る。月島の後輩でもある喬を加えた一行は、貧民街にあるショッピングモールへ逃げ込んだ。屈強な隊員との銃撃戦や肉弾戦を経て、なんとかモールを脱出した一行は、命からがら港に辿り着き、小型船舶に乗ってシティを脱出したのだった。




