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きみはぼくがまもる  作者: ナツメ棗
1章 飲み込まれたら寒かった
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2 序章 真珠と珊瑚



「、、、、じゅ~!」


現在午前7時、 くるぶし以上の高さまで積もった雪に足を取られつつ、滑らぬように雪中行軍している。というのも私の学校は、他の進学校に負けないように0時限目の制度をとっているからである。まったくもって有難迷惑な話だが出席することが前提で学校のカリキュラムが組まれているので出席せざるをえない。


「、、、、んじゅー!」


えっちらおっちら雪をかき分け進みつつ、学校を目指す。さっさと教室のストーブの前でコーヒーを啜りたいのである。


「真珠~!」


というわけで、さっきから聞こえている私を呼ぶ声を無視しているのは、こんな寒空の下でのんびりと語らえるほどさむさにつよくないからである。

すまんな珊瑚、後でゆっくり語らいあおうじゃないか。



そんなこんなで、ようやっと学校の門をくぐった私は下駄箱でスリッパに履き替え、自販機を経由しつつ教室に向かう。雪国の学校のくせにスリッパを履かないといけないのは、拷問ではないだろうか。

教室に着くと、数人の生徒がストーブを囲っていた。私も女子用のストーブの前を陣取りコーヒーのプルタブを開ける。ちなみにブラックは飲めない。

田舎の学校のくせに理系と文系で教室を分けるので、理系のクラスには女子が2人しかいない。つまり私と珊瑚しかいない。そんなわけでストーブは、ほぼ私専用だ。


「おっはよー!」


我がクラスの天使牧野珊瑚の登場である。

牧野珊瑚は、私にとって数少ない友人の一人である。こんな豪雪吹き荒れる田舎の学校で、女子の数も少ないので知り合うのに時間はかからなかった。小さいころから近所の弓道場に通っていたので、部活も弓道部にしたところ珊瑚もマネージャーとして入部してきた。というのも、弓道衣が好きで着てみたかったが弦を引く筋力がないので断念し、マネージャーとして堂々と弓道衣を着ることにしたそうだ。最初はなんと不純な動機だろうと呆れ半分感心半分であったが、部の粗末ごとをいつも笑顔でこなすそのひたむきな姿は、部の男子どものハートを射抜く弓矢となっていた。


そんなこんなで部活も一緒、クラスも一緒となると関わらないほうが難しい。珊瑚とはすぐに仲良くなった。たしか入学して1週間くらいたったときだ。


………………………………………………………………


…もそもそ

…もそもそ


今日は珍しく母が寝坊したので、昼は母謹製のお手製弁当ではなく、代わりにお昼代を貰ったのでコンビニパンである。108円でチョコクロワッサン5個入りなのでかなりお得である。残りのお金は着服しました。ありがとう母上よ。


…もそもそ

…もそもそ


いかんせん、味を犠牲にして価格を下げているだけあって、満足感が得られず気分は下がる。このままでは午後の授業に支障をきたすので寝て英気を養おうと、腕を枕にして就寝体勢になったところで前の席の椅子が引かれた。

別にそのことは何ら不自然ではないのだが、いつもと違うのは甘い蜂蜜のような香りがすること。


「あの、たしか穂先さんだよね?前に座ってもいいかな?」

「いいけど、え~と、、、」

「はじめまして、わたし牧野珊瑚。昨日弓道部のオリエンテーションに穂先さんも来てたよね?よかったら一緒にお昼食べてもいいかな?」

この状況で断れる奴がいたらその顔を拝んでみたい。少なくとも私には無理だ。

珊瑚は天使のような笑顔をしながら、私の様子を窺ってきた


「いいよ、牧野さん」

「ありがと」


ふと珊瑚は真珠の机の上にあるコンビニパンの空き袋に目を止めると驚いた顔をした。


「もしかしてお昼それだけ?」

「いつもはお弁当あるんだけど、お母さんが寝坊しちゃって」

「それだけでお昼足りるの?穂先さん」

「あんまり満たされてはないわね」


それなら、と珊瑚が自分の持っていた可愛らしい包みを渡してきた。


「それマフィンなんだけど、昨日作りすぎちゃって。よかったら食べない?」

「っえ、もらってもいいの?」

「いいよ。誰かに食べてもらったほうが私も作ったかいがあるし」


真珠はありがたく包みを頂戴し、その包装を解いた。中にはチョコチップが入ったマフィンだった。一つ手に取り、一口齧る。


「、、、、、、、、、、、、」

「どうかな?」

「おいしい!」


普段料理をしない真珠にとって、女子力とは自分からかけ離れたものであった。だからこそ、このように手作りのお菓子を持ってくる珊瑚は天上の人にも思えた。趣味がお菓子作りだという女子は数あれど、大半は見栄を張っているだけである。


「そお?口にあったようでよかった」

「うん、ほんとにおいしいよ!牧野さんってお菓子作るのとくいなんだね」

「あはは、得意って程でもないかな。でもそんなに気に入ったならまた作ってきてこようかな?」

「ほんとに!ありがとう!牧野さん!」

「珊瑚でいいよ」

「じゃあ私も真珠でいいよ」


こうして私と珊瑚は仲良くなった。今にして思うと、なんだかお菓子につられたみたいで間抜けだが、私の飢えた胃袋を見事につかんだ珊瑚の料理の腕には脱帽ものである


まだまだ手探り中。PCから投稿しているので、スマホでどのくらいの長さになるのかの実験も兼ねてます。

それにしてもいらんこと書きすぎで本題に入れてない。

次の投稿も1週間以内目指します。

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