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出発前

カーテンの隙間から朝日が差し込み目を開けた。はっ、と思い時計を見ると8時であった。

今日はいとこの梨乃(りの)の結婚式がある。それに俺は行かないといけない。まだ時間の余裕は全然あったからゆっくりしても大丈夫。

場所は葉野ヶ谷(はのがや)という場所で俺の家がある北イルカから電車で22駅だ。

途中乗換えがあったり駅に着いてからまたバスで行くような所に式場があるため、13時から始まるとすると家を遅くとも11時過ぎには出なければならない。

その時間のことよりもっと不思議なのが両親が来ないと言うこと、つまり一人で式場まで行かなければならなかった。共働きだから仕方がないとも思うがどうにかならなかったのか、と思う。今まで電車にはよく乗っているし、特に不安はないんだけれど。

そう考えるうちにリビングに妹が来たみたいだ、テレビの音が聞こえてくる。

起きるか~と考えベッドから身を起こし立ち上がりドアを開ける。

「おはよ~」

「おはよ~、あっ寝グセすごいよ?!」

2歳下の妹、中1の梨奈りなが俺に向かって言うから俺は頭を抑えてみる。

すると言葉に言い表せないくらい噴火していた。

「本当だ、直してくるわ」

俺はそう言い洗面所に向かう。

鏡を見ると触感通りった。寝グセを直すのはクシが一番、と前々から妹に言われて続けているから俺は迷いなく上から2段目の棚にあるクシを片手で取り、もう片方の手で髪を水でびちょびちょに濡らす。

クシで上から下に髪をとかすと、みるみる内に火山活動はおさまっていき普段の俺に戻った。 俺は一応鏡で確認してから妹のいるリビングに戻った。

親は朝早くから働きに出掛けてしまう。だから今は妹と俺の二人しかいないのだ。

「直してきた」

「本当だ!で朝飯どうする」

「冷蔵庫にフレンチトースト入っているからチンして食っとけってお母さん言ってたよ」

「じゃ準備よろ~」

「昨日もそうだったじゃん。え〜」

まったく妹ってヤツは、そう思う一方もうそれが日常と化しているからもう別に何とも思わないけれども。キッチンに移り作業をする。


それから朝飯を食べ終わり、食器を洗い終わったところで、リビングで二人ソファーに並んで座る。歳も歳なので、2人の間には微妙な隙間があるが、すっかりこの時間のルーティーンとなってしまったテレビを観るという行為に関してはずっと変わらない。

「そういえば隼人今日梨乃の結婚式あるんでしょ?」

「そうそう、あと2時間半くらいで出る予定」

「服装はしっかりしてよね、隼人いっつも半ズボンにTシャツじゃんよく飽きないよね。いや飽きないと言うか、結婚式に半袖半ズボンは控えめにいって頭おかしいよ?」

「もちろん今日はYシャツで行きますよ」

当然だが。俺はちょっとキレ気味に言った。そのくらい、当然弁えているつもりだ。けれど妹は図星だ。俺が夏場に半ズボン+Tシャツまたは長ズボン+パーカーの組み合わせしかしないことをちゃんと分かっている。

「ふーん」

なぜだか梨奈は不機嫌そうだった。


その後2時間程テレビを見た。

でもずっと同じチャンネルというわけにもいかず俺は妹がトイレに行く隙に録画のアメトークを再生し始めたりした。

10時30分、そろそろ準備を始めないと間に合わなくなってしまうので準備を始めた。

久しぶりに学校以外でYシャツを着て、ズボンも学校の制服をはいた。

そしてカバンに財布や飲み物、スマホその他必要なものを突っ込んだ。

リビングに戻ると妹が

「Yシャツにリュックかよ。ちょっとダサくね?」

「まあまあ個性だからいいじゃん」

「何だその言い訳」

そんなこんなで出発の準備が整った。

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