自動荷車のお披露目
学校のドアを開けて中に入ると、子供達が勉強している横でイツキさんがユーリとカエン様に自動荷車の試作品を披露していた。
隣には、自動車椅子の試作品一号もある。
「 おはようございます、どうですか?」
美波はドレスの話し合いの後で合流する事になっていたので、先に説明してくれている。
「 おはよう、すごいなコレは。王宮の中でも重い荷物を運こぶのに使えそうだ。
この車椅子というのも、歩けなくなって外出を諦めている人々の助けになるだろう 」
カエン様は目をキラキラさせて熱く語っている。
どうやら王都でも、自動荷車の需要はありそうだ。
「 ありがとうございます、ご両親にも次回見ていただくつもりです。車椅子は特に王都主導で普及していただければと思っています。
荷車の方は魔方陣と人工魔石だけハクロウ村で作って、荷車自体はそれぞれの場所で職人さんに作ってもらうという形を考えています。
魔方陣と人工魔石、荷車の設計図をセットで販売する予定です 」
人工魔石をセットで売るのは、魔方陣が魔力を大量に消費するからだ。絶対に壊せないよう美波がバリアを張り、魔方陣と人工魔石を一つのパーツに纏めるつもりだ。
これなら仕組みを知られる事はない。 人工魔石は十年位は使用できる魔力量にするので、荷車の耐用年数と釣り合いがとれるだろう。
商品の説明としては、異世界の技術が使われている為、超低燃費 (低魔力? ) なので初めから魔石をセットして売りますよ、というスタンスである。
国中に普及させるなら、ハクロウ村だけで作るのは不可能だ。そこで、特許のように要であるシステムのみを売り出し料金を払ってもらい、あとは個々で作ってもらうという手段を考えたのだ。
この世界ではあまり馴染みがない販売方法だが、ハクロウ村にもお金が入るしスピーディーに普及させることが出来るだろう。
一番無駄がないと判断した。
車椅子も同じようなシステムで、利益率を下げるつもりだ。こちらはあくまで福祉目的なので。
このプランをローザ様に提案し、国王陛下の許可がでれば実行する予定である。
「 何だよ美波、ずるいじゃん!俺に内緒でこんな楽しそうな物を作ってさ。
さっきイツキさんに聞いたけど、美波用の自動車っていうやつも作るんだろ?」
そうなのだ。実用化できそうなので、春までに小型の自動車を作ってもらう予定なのである。
「 ユーリはずっと、ジェットコースターに夢中だったでしょ?それに、自動車はどうしても必要だから作るんだよ 」
悲しいことに、美波の運動能力と筋力では乗馬をすぐにマスターすることが無理そうなのだ。
春になればお祭りの打合せなど、荷物の運搬以外でコザクラ町へ行く機会が増えるはずだ。
そのたびにブラックホースに荷車を牽いてもらうのは申し訳ない。
小型の自動車なら運転席と助手席に大人二人が乗れるし、後ろの荷台にもそこそこの荷物は積めるはずだ。
「 設計図は書いてあるんだ、あとは作るだけだ 」
イツキさんの協力で、春までには完成するだろう。ちなみに材料費や技術料は、自動荷車と自動車椅子の収入で支払うつもりである。
「 完成したら、是非とも見せて欲しいな。一つしか作らないんだろう?」
「 はい、カエン様。馬車の需要を奪ってしまいますから。私にしか動かせないようにするつもりですよ 」
イメージはゴルフ場のカートである。後ろの座席が荷台になる予定だ。フロントガラスはつけないが屋根はつける、雨風や暑さ寒さは美波の能力で丸ごと包んでしまえばクリアできる。経年劣化もしないという、とんでも自動車になるだろう。
時速も四十キロくらいに抑えるつもりだ。
「 春になったら見せてくれ、必ず来るよ 」
「 俺も乗りたい!どうせならもっとスピード出そうぜ!」
ユーリ……この世界初の交通事故を起こすつもりか。
「 乗るのは良いけど、スピードはこれでいいの!
危ないでしょ?それにこれでも多分、馬車よりは速いからね。休憩なしでも走れるし 」
春になったら近くで試運転をして、コザクラ町まで行ってみるつもりだ。
ミナトさん達には、一人では危ないから必ず誰かと一緒に行くように言われているが。
たとえ五十人の盗賊団に襲われても無傷で帰還する筈だが、気分の問題らしい。
お昼休憩が終わったら子供達を乗せてあげよう。
さっきからしきりにこちらを気にして、ルリさんに怒られているから。
いずれは列車みたいにして幾つか繋げて、遊園地の乗り物みたいにしても良いかもしれない。
ゴーカートとかも楽しそうだ。
思い付きを言葉にするのは慎重に!
今まで何度も後悔したはずだが、そこに関しては学習していない美波である。
学校の空きスペースに、ミニSL的な遊具がお目見えする日も近いかもしれない。
ブックマーク200突破いたしました!
ありがとうございます\(^o^)/




