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かまくらを作ろう!後編

「 ここからは気を付けて行くぞ!少しずつ掘っていくぞ!」


「 負けるな!こっちも掘るぞー!」


雪山は華麗な連携プレーによって、瞬く間にかまくらへと姿を変えていく。

掘り出した雪を運ぶ係と穴を掘る係、パワーが落ちてくると交替して効率良く作業は進んでいく。

今のところはユーリチームがリードしているだろうか。

僅差だけれど。


「 ミナトさん、何だかこっちはすごく綺麗に仕上がりそうですね。ほんとのレンガ見たいです 」


雪のブロックは一段目と二段目で積む位置をずらしているので、レンガ塀の様な模様になっている。

見た目に綺麗だし、恐らく強度も上がっているのではないだろうか。


「 コレ、雪じゃなく氷で作ったらイグルーですよ。そう言えば氷のホテルとかテレビで見たけど、綺麗だったなぁ 」


一緒に作業していた女性達にせがまれて説明する。

氷をブロック型に切り出してつくられた外国のホテルや教会、たしかバーもあったはず。

キラキラしてとても綺麗だったと、記憶を頼りに話す。ただお客さんは完全防備のモッコモコで、長時間の滞在はもはや苦行なのではと思っていたが……


「 それも楽しそうだな、後で中に入れるテーブルを氷で作ってみるか?

水魔法の得意な者に氷を作ってもらえばいい。

幸いみんな寒さには強いからな 」


ミナトさんの提案に、皆さん乗り気である。

確かにビジュアル的には美しいだろう、照明を仕込んでも良いし。


「 良いですね、やってみましょうか。何だかますます観光地化していきますね、宿泊施設があれば観光客を呼べそうな気が……」


生活に余裕が出来たぶん全力で遊んでいるので、この村はちょっとした異国のようになってきている。

この世界では冬に何処かに旅行に行くという発想が無いらしいので、雪を使って遊び冬を楽しむのはとても新鮮な体験なのだろう。


「 ねぇ美波、そろそろ勝者が決まりそうよ!」


女性達に促され雪山チームを見ると、ほぼかまくらの形になっている。あとは中を平らにすれば完成らしい。


「 よし!出来たぞ!」


おーっ!という野太い歓声があがる。どうやらリードを保ったまま、ユーリチームが勝利したようだ。


「 くっ、もう少しだったのに……すいません、親方っ 」


えっ、泣いてる?

いつの間にそんな真剣勝負になったのか。

何だか甲子園で負けた野球部員と、その監督みないな感じになっている。


「 お前らは良くやった!顔を上げるんだ 」


何コレ、どういうリアクションをとるのが正解?


あわてて周囲を窺うが、みんな曖昧な笑みを浮かべている……


「 えーっと、どうしたら良いんですかね?」


隣に立つミナトさんを見上げると、呆れたように笑っている。


「 イツキは面倒見が良いからな、若い奴らも父親みたいに思ってるんだよ。

たまに暴走してこういう暑苦しい事になるんだ…」


うーん、分かったような、分からないような…

とりあえず泣き止んだ若者達は、イツキさんにワッシワシ撫でられてユーリチームと握手を交わしている。

謎のイベントは終了したようだ。


「 じゃあ、崩れないように包んできますね 」


美波は気を取り直してユーリチームのかまくらを包み、少し遅れて完成した木工工房チームのかまくらも包んでいく。

初めて作ったわりには綺麗な仕上がりだ。

高さ二メートル位の、割と大きめのかまくらである。


その後皆でブロック方式のかまくらを仕上げて、氷のテーブルなんかも作っていく。

やたらと透明度の高い、クリスタル製みたいなゴージャスなテーブルが完成しました…

ついでに氷のランタンも作って、美波作の照明を仕込んでかまくらの周りに置いていく。


「 完成、ですかね。予想以上の出来です、お金を払っても良いくらいステキです…」


三つの大きなかまくらは綺麗なドーム型で、氷のランタンは夜になれば幻想的な光景を演出するだろう。


「 これは夜が楽しみね、ランタンの明かりでホットワインとか、素敵……」


ミチルってば、ロマンチスト。


「 いいな、それ。夜は大人専用にして久し振りにデートしよう、リン 」


良いですね、仲良しで。ギンとリンの為に、今日は子供達を預かりましょう!


「 協力するよ、二人とも。たまには夫婦でデート楽しんでよ 」


思いがけず、かまくらは夜のデートスポットになるらしい。


「 美波ー。お腹すいた、早くお昼にしようぜ!」


ユーリよ、空気を読もうか?


「 仕込みは済んでるからすぐだよ。何人か運ぶの手伝ってね!」


今日のお昼はかまくらで鍋である。

和風は無理なのでトマトベースのお鍋で、シメにショートパスタを投入してチーズをかけて、ミネストローネ風にする予定だ。


かまくらを三つ作る事は決まっていたので、鍋は三つだ。氷のテーブルに美波作の特製鍋敷きに鍋を乗せる。カセットコンロみたいに加熱できる優れものである。


「 はい、ここに乗せてね。グツグツしてきたら卵を入れますよ~ 、蓋をして少し待つと半熟のいい感じになるので、ちょっとがまんして下さいね 」


三チームに別れて、それぞれの鍋を囲む。


「 んー。美味しいっ!温かくてトロトロ卵が、たまらないーっ!」


いつものスープをちょっとアレンジしただけなのに、凄く美味しい気がする、


「 お姉ちゃん、おいしーね!」


ハクとユキちゃんもいい笑顔だ。

その後しっかりシメまで堪能して、かまくらを作ろうイベントは大好評で幕を閉じた。


この日の夜、夫婦と恋人同士限定のジャンケン大会で勝利した三組が、ライトアップされたロマンチックなかまくらで、デートを楽しんだそうな。


リア充め、羨ましいぞ。


このかまくらも、冬の間ずっと使用しない時は雪避けの膜を張り、皆で楽しむ事になる。


再び訪れたドラゴンの番が夜のデートを楽しむのも、そう遠い未来ではない。

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