かまくらを作ろう!前編
ずっと晴天が続いていたが、お見送りの日から三日間雪が降り続いた。
風も強くて吹雪になる時もあり、北国の冬の厳しさを知らない美波は家の中で小さくなっていた。
とは言っても村人達にとってはいつもの冬の光景で、今年はレンガのお陰で普通に道を歩けるので、少し弱まった時を狙って友人の家を訪ねたり、露天風呂を利用したりしていた。
露天風呂はさすがに寒すぎるので、ドームの屋根を閉じての利用だ。
こちらの冬はいつもこんな風に、何日かの周期で雪が降るそうだ。
美波の家にもいつものメンバーが、入れ替わり立ち替わり遊びに来たり泊まったりしていた。
この間外に出られないので皆が仕事に打ち込んだ結果、女性達のドレス作りも男性達の木工細工作りも、順調に進んだようだ。
美波もひたすらビーズの穴開けをしたり、新しいビーズを作ったりして過ごした。
そして三日後、待ちに待った晴天である。
子供達にねだられて、本日は沢山積もった雪を利用してかまくらを作る事になっている。
もちろん新しいものが大好きな大人達も、全面協力である。
「 うわぁ、凄い積もったね!」
ジェットコースターのある広場は、雪のすべり台1号とジェットコースターを作る為に大量の雪を使用したので、あまり雪が無かったのだがこの三日間でしっかり積もったようだ。
美波の腰まで積もっている雪の上を、子狼と子ウンピョウが駆け回るというよりは泳いでいるといった感じで、転げ回っている。
「 このくらいあれば大丈夫だろ、さぁ作るぞ!
雪を集めて山を作れば良いんだよな?」
ユーリは相変わらずのハイテンションだ。スコップ片手にやる気である。
美波は雪とは無縁の地で育った為、かまくらを実際に見たことも作ったこともない。
作り方はテレビなどで得た知識のみ、なんとなくこうだったかな位である。しかし力自慢の人狼さん達なので、何とかなるはずだ。
「うん。確かやり方は二通りあったと思うんだ。
雪山を作ってから中をくりぬくのと、ブロック型に雪を切り出して雪をセメントがわりにして積み上げるのと。
とりあえず皆は雪山方式で試してみてよ。完成したら崩れないように、かまくら全体を能力で包めば大丈夫なはず。たぶんね 」
「よし!じゃあチームに別れて競争だ!」
いつの間にか、チーム対抗の競争になったらしい。イツキさん率いる若手木工職人チームと、ユーリ率いる牧場・ベテラン木工職人の混成チームだ。
女性陣と年配組はルリさんとイツキさんをリーダーに、ブロック方式を試す事になった。
雪山方式は力任せの人海戦術だが、こちらはきっちり計算して作らなくてはならない。
美波のざっくりした説明から設計プランを立てたようで、小さなスコップを器用に使い雪のブロックを切り出して、前もって描いておいた円に沿って並べている。
三つのかまくらはジェットコースターから少し離れた所に、正三角形の頂点にそれぞれ土台を作り、入口は三角形の内側を向くように作る事になった。
チーム対抗戦になったせいで気合いが 入った男達は、猛烈な勢いで雪山を作り踏み固めている。
「 もっと雪を持ってこい!」
「 こっちに、もっとだ!」
「 負けるなよ!オリャー!」
何やら凄いことになっている。
子供達は危ないので、小さい方のすべり台で仲良くあそんでいるようだ。
「 すごいですね、あっち。あっ、ミチルも叫んでる。何だか意外です、いつもクールなのに 」
いつにないミチルのはじけっぷりに美波が呟くと、ミナトさんが笑った。
「 あいつも若い男だからな。数日家にこもっていると、体を動かしたくなるのさ。
いつもなら多分、こっちの作業の方が好きだろうけど 」
なるほど、それなら理解できる。
「 皆パワフルですよね。ちゃんと出来上がると良いんですけど、私も作ったことないのでちょっと心配です 」
美波はブロック型の雪の塊を運び、固めていない雪を少しのせてから上に積んでいく。
その手には雪をずっと触っても大丈夫な、防水防寒の手袋。皆にも作ってあげてとても喜ばれた。
ブロックは順調に積み上げられ、四段目に突入している。もう少し積んだら傾斜をつけて、屋根の部分に取りかかるのだ。
雪山方式チームはそれぞれ山を作り終えて、いよいよくりぬき作業に入るようだ。




