村長にご挨拶
道中の説明によると、村長はギンの祖父でシロガネ様というらしい。
人狼族は1000年程生きるらしいが、900才を超えているそうだ。ちなみにギンとリンは幼なじみで共に300才位らしい、ハクは50才だそうだ。
元の世界の人間の10倍と考えれば良いだろう、ハクなら5才というところだ。
美波は不老不死らしいが、種族によって寿命は違うらしい。
村長の屋敷は村の中心部にあり、歴史を感じさせる立派な造りだった。
案内の人に通されて部屋に入ると、そこには巨大な銀色の狼が、薄いクッションの様な物の上に横になっていた。
年齢は感じるが、威厳に満ちている。その瞳は金色で、全てを見透かされそうな気すらする。
「初めまして。異なる世界より参りました、佐々木美波と申します。美波と呼んで下さい。」
ギンの紹介の後に挨拶した美波に、シロガネは深い響きの声で答えた。
「歓迎するぞ、美波。私のひ孫を助けてくれて、ありがとう。
年のせいでこの姿の方が楽なもので、申し訳ない。」
「とんでもない。こちらこそ突然の訪問、申し訳ありません。
それに異世界から来た私には、そのお姿はとても美しく見えます。ハクはとても可愛らしかったですが、シロガネ様は重ねた年月の重みが加わって、とても威厳があって美しいです!
あの、失礼でなければ良いのですが…」
礼儀の基準が分からないので、最後は少し不安になりながらも、美波は今の思いを素直に告げた。
巨大な銀狼である。手元にカメラがあっなら、ツーショット写真を確実にお願いしているだろう。
それ程にその姿は美しかった。
美波の言葉にシロガネは優しく微笑んだ。
「失礼なものか、光栄だよ美波。
この先どうするか、ゆっくり考えて決めると良い。
小さな村だが歓迎しよう。」
「ありがとうございます、お世話になります。」
美波は、 この村で自分に出来る事をみつけよう、そして何も持たない自分を受け入れてくれたこの村の人々の為に、役に立つ人間になろう。
そう、心に誓った。