お昼は三人で
「ミチル、お昼にしようか。今日はポトフを作っておいたんだ、あとはチーズオムレツとかどう?」
「美味しそう!行きましょう。」
二人でテーブルの上を片付けてコートを着込み、美波の家へ向かうことにする。ドアを開けると村中が白く染まっていたが、例のレンガを置いた道は綺麗に土が見えている。家々の屋根も同様で、雪対策は成功したようだ。
「美波、予定通りね。これならこの冬は楽が出来るわ。」
「うん。良かったよ、夜になったらきっと綺麗だね。」
降り積もる雪に映るレンガの明かりを想像して美波が言えば、ミチルも頷いた。
もっと雪が積もったら、雪のランプも作ってみよう。四角くした雪の中をくりぬいて、そこに照明を仕込むのだ。元の世界で見た光景を思い浮かべて、雪が積もるのが待ち遠しくなる。
「ミチル、美波!昼ごはん食べさせてよ。」
ドームハウスの前で、ユーリが待ち構えていた。
「何でいるのよ……シロガネ様の所で食べれば良いのに。」
「まぁまぁ、ミチル。ユーリ、別にいいんだけど今日のメニューはポトフだから食べられないよ。ベーコン入れちゃったし。
チーズオムレツとポテサラ位なら作るけど、それで良い?」
「充分だよ、ポテサラもオムレツも大好きだ。」
良い笑顔でそう言うユーリに、ミチルも諦めたらしい。三人で家に入り、美波は昼食の支度を始める。
ポトフは温めるだけなので鍋を火にかけて、ジャガイモを洗ってポテサラの下拵えだ。今日はオムレツに卵をつかうのでゆで卵は入れずに、フライパンでカリカリにしたスライスニンニクを、上から振りかける事にした。スライスした玉ねぎと黒胡椒は多めで、ジャガイモと共にマヨネーズで和えれば完成だ。
お皿に盛り付けて、上からカリカリニンニクを散らして、周りにビニールハウスで間引いたレタスの子供を飾る。ミルクを入れた卵をバターでオムレツに、中にはチーズ入りだ。ポトフをよそってパンを添えれば、お昼ごはんの出来上がりだ。
「お待たせ、召し上がれ。」
「旨そう!いただきます。」
ユーリは早速オムレツを口に運ぶ。
「んー。うまっ、美波は料理上手だな。」
若い男の子らしく豪快に食べていくのだが、食べ方は綺麗だ。ものすごく美味しそうに食べてくれるので、作る側としては嬉しいものだ。
ポテサラを頬張り、パンにジャムをつけてホットミルクを飲んでいる。
「落ち着いて食べなよ、ユーリ。一杯あるから。」
「美波の料理が美味しいのは当たり前よ、ありがたく味わって食べなさいよ!」
ミチルも負けじと食べている、これだけ食べてこのスタイル……
神様に食べても太らない体にしてもらえば良かったと、何度後悔したことか。
大目に用意した昼食は、綺麗になくなった。
洗い物を済ませて、ハーブティーを入れてテーブルを囲む。デザートを要求されたので、作りおきのクッキーを焼いてみたのだ。
二人ともどれだけ食べるんだ……
「美波、このクッキー初めて見るわね。綺麗な模様だわ。」
「うん、王都でも見たことないぞ。サックサクで美味い!」
本日のクッキーはアイスボックスクッキーだ。白と黒の生地を市松模様にしたアレである。この世界でココアに出会っていないので、真っ赤なベリージャムでピンクの生地を作って、紅白のラブリーな組み合わせにしてみた。
定番の市松模様や、外側だけ白など色々な組合せになっている。レシピを暗記していなかったので、何度も試作してようやく辿り着いたのだ。
このクッキーの利点は、柄を作って棒状にした状態で冷凍保存できることだ。暇な時に作っておけば、いつでも焼き立てクッキーを楽しめるのだ。
作り方を説明すると、、二人とも真剣に聞いている。
「達人になると動物の形とかも出来るんだよ。
本当は黒い生地が出来るとメリハリが効いて良いんだけど、チョコレートないもんね。」
「黒い粉ねぇ、豆でもよければ見たことあるけど。
結構苦かったぞ。」
ユーリによると、旅の途中で立ち寄ったある町の特産品で、真っ黒の豆があるらしい。
煎って塩味をつけて、おつまみにするものらしいが、それを粉にすれば黒い生地が出来るのではないかと言うのだ。
「じゃあ、もし今度その辺りに行ったら送ってくれる?試してみたい。」
美波のお願いに快く約束してくれた。
「でも俺はこれも好きだぞ、ベリーの味がして模様も綺麗だし。」
「ありがとう、今度はもう少し複雑な模様にチャレンジしてみるね。」




