打ち合わせの続き
「こんな感じかな、色は白でこの辺にビーズを縫い付ければすごく素敵だと思う。あとはレースのベールがあれば完璧だよ。」
ミチルはイラストを見て、考え込んでいる。
「確かに素敵だわ。一生の記念ですもの、女の子の一番綺麗な姿で挑まなくちゃよね
でもこれ、相当高価なドレスになっちゃわない?
一般庶民には手が出なそうよ。」
「あ、それは元の世界でもそうだよ。こんなのをオーダーメイドで作ったり、買ったりするのはごく一部。お金持ちだけ。殆どはレンタルするんだよ。」
レンタルって何?と首を傾げるミチルに、貸衣裳について説明する。
どうやら服を借りるという概念が、そもそも無いようだ。
「一日だけお姫様気分を味わえて、すごく良いシステムなんたけど、これを商売にするにはサイズとデザインを、何パターンも揃える必要があるんだよね。ハクロウ村だけでどうにかなる規模の話じゃないかもね 。需要があるなら、コザクラ町の洋服屋さん達と協同で、一つのビジネスとして立ち上げるべきかも……
これに関しては一点だけサンプルを作ってみて、皆の反応を見て考えるっていうのが、現実的かな。
もし本格的にやるなら、例のバリアの応用で汚れがつかないようにすれば、ドレスも長持ちしそうだし。」
とりあえず、ウェディングドレスは試作品を作ってみる事になった。
「ちょっと特別な服っていうのは良いと思うわ。
町で売ってるのはあくまで普段着だし、今まで結婚式で着てた服も、ちょっと良い布やリボンを使ったり、刺繍がしてあるくらいだから。
しかもそういう服って、少ししか置いてないのよ。」
「ということは、ライバルになるお店は無いってことだね。じゃあ、手入れが簡単でちょっと良い布でワンピースとか作ってみようか。この布って高いの?洗濯は?」
サンプルの布を手に尋ねると、普通の木綿の布の二倍位の値段で、優しく押し洗いなら問題ないらしい。
「ぴったりだね!これでいこうよ。あ、でも、洋裁が出来る人って村にいるの?」
この点も心配ないそうで、村の女性達は編み物の達人だが、洋裁もこなすのだ。
最近は美波のアイデアを利用して、料理ばかりしていたが、皆さん腕の良いお針子さんらしい。
「この前の買い出しで、布は仕入れてあるのよ。
シロガネ様の許可も頂いて、村の予算でまとまった量を買ってきたわ。
私もこの冬は余裕があるから、個人的にシルクの布も買ってきてあるの。ローザ様に着ていただいて、王都のエルフの方々の反応を探ってみるつもり。」
さすがミチル、しっかり者だ。
「そっか、じゃあ冬の間に色々作って春になったら町で売るんだね。お店に依託するの?それともお祭りで直販かな?」
「販売については、春になってフェラリーデ様に相談してからね。まぁ直販でも今までの服とは用途も価格も違うし、問題ないと思うけど。」
確かにそうだろう、普段使いのワンピースの二倍から三倍の値段で売り出す訳だし。
「分かった。じゃあ、皆でベースの服を作ってミチルが刺繍担当だね。私はビーズを作るよ、早速始めようか!」
美波はミチルの希望を聞いて、様々な色や形のビーズを作り出していく。色別にグラデーションで何種類も作る。最後にミチル用に、特にゴージャスなキラキラのビーズを何点か作る。これをシルクに縫い付けて、ローザ様が身につけたら……想像するだけでうっとりしてしまう。
ちょっと良い布は白いものもあるそうで、そちらでウェディングドレスの試作品を作ることにする。
人工パールも大量に作っておく。
「出来た!このくらいでいいかな。後はこれに穴を開ければ出来上がりだね。」
「そうね、ありがとう美波。明日の共同作業でドレスのデザインを話し合うから、このビーズを見れば参考になるはずよ。」
大量のビーズは公民館で、専用ドリルを使い加工する事になっている。美波も手伝うし、デザインを決めたらミチルも参加する。手の空いた村人総出で使える状態にするのだ。結構な手間だが、いつもの通り原料代がタダなので、そこは大目にみて欲しい。




