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冬ごもりの準備

翌日二人のエルフは朝食のサンドイッチを堪能し、昨日のお菓子の残りをしっかりお土産として確保して帰っていった。


「ではシロガネ殿、王都に着くのは七日後位になると思いますので、我が君に 報告を済ませてから小鳥に手紙を運ばせます。

おそらくドラゴンに頼むことになると思うので、大きな荷物はその時に。

今回のおもてなし、心より感謝致します。美波も色々とありがとう。近々会えると思うけれど再会を楽しみにしているわ。」


村人総出のお見送りに、お二人は馬の背から手を振りつつ帰っていった。


「シロガネ様、小鳥に手紙を運ばせるってどういう意味ですか?馬で七日もかかる王都から本当に小鳥が飛んでくるんですか?」


シロガネ様の説明によると小鳥というのは本物の鳥ではなく、魔力を込めて指定した相手の所まで手紙を運ぶ装置の事らしい。

物体に直接魔力を込めることはエルフにしか出来ないらしく、かなり高度な魔法だそうだ。

形は何でもかまわないのだが、美しい物大好きなエルフ達は思い思いの趣向を凝らし、金属に宝石とか木彫りなんかの可愛らしい小鳥の姿にする事が多いそうで、総称として小鳥と呼ぶのだ。


「小鳥は指定した相手がどこにいても、移動していてさえ確実に場所を指定して手紙を運ぶんだよ。」


成る程、時間は掛かるけれどいわばメールだ。更に返事を持たせれば送り主の所へ運んでくれ、対象者以外には開けることが出来ないらしい。


「凄いですね、何日位で届くんですか?」


「そうだな、休みなしで飛ぶから三~四日で届くんじゃないかな。」


では、王都からの依頼に取り掛かるのは早くて十日後と言う事か。それまでの間に村の雪対策を済ませてしまおうと考えた美波は、早速レンガとシールを大量生産して設置する事にした。


午前中は子供達にレンガを並べてもらい、午後は若い男達に屋根の上にシールを貼ってもらう事になった。


「じゃあ、どんどんレンガを作るから、村の入口から村中の道全部に並べてね。

内側と外側だけは間違えないでね。」



そう指示してレンガが出来るそばから子供達に手渡していく。便宜上レンガと言っているものの、形がレンガなだけで子供でも余裕で持てる重量で、色も乳白色の曇りガラス風だ。

これを大きい面が上を向くようにして、道に沿って平行に並べていくのだ。レンガの内側のエリアのみ雪が積もらない仕組みなので、内側にはギザギザをつけてある。一度地面に置けば「外れろ」と言いながら持ち上げない限り動かないので、盗難や強風で飛ぶ恐れもない。更に夜になれば光るので、冬以外も便利なかなりの優れものだ。


「道に全部並べたら、建物の壁際とその回りにも並べるからね。」


こうしておけば雪の重みでドアが開かないとか、窓ガラスが割れるといった事態を回避出来るのだ。

子供達の頑張りで、どうにか午前中に全ての設置を終えることが出来た。


「皆ありがとう。これで雪が降ってもこのレンガの内側だけは積もらないからね!あと夜になると光るから、今夜楽しみにしててね!」


歓声を上げてぴょんぴょん跳び跳ねる子供達をそれぞれの家へ送り届け、午前中の作業は終了した。


午後からは、かさ張らないので暇を見つけては作り貯めていたシール(これもレンガと同じく貼り付けたら外れろと言わない限りは剥がれない)を、男達に説明して設置してもらう。


「このシールを中心に大体二メートルが効果の範囲です。沢山あるので遠慮せず余裕をもって貼っていって下さい。

高所での作業なので、気を付けて下さいね。」


美波の言葉に皆が笑う。


「忘れたのか美波?たとえ落ちたとしても、かすり傷一つつかないないだろうが。」


そうでした、自分でかけておきながらまだ当たり前になっていない様だ、あのバリアは。


「そうでした。でも一応注意して下さいね、分かってても落ちるところなんて見たら、心臓に悪いですからね!」


それはそうだなという声が上がり、皆とりあえずは慎重に屋根に上がっていく。

人数が多かった事もあり、作業は一時間程で終了した。これで村の雪対策は完璧だ。

その後美波はシロガネ様の許可を得て村の入口の近く、放牧スペースの反対側に簡単な倉庫を作り、作ったレンガを三百個ずつ箱に小分けにして詰め込んでいった。この場所ならコザクラ町へ運ぶのに便利だろう。


何個必要か見当がつかないし、王都へ運ぶ分もあるのでとにかく大量に作ることになり、美波は暫くレンガとシール作りに専念する事になりそうだ。

冬はもうすぐそこまで来ている、頑張らなくては!


その後美波は二日間かけてレンガとシールを生産し、倉庫五つを一杯にした。


「こんなもんかな、まぁ足りなければすぐに足せるし、大丈夫でしょう。」


「お疲れ、美波。明日は休みでしょ、また皆で森へ探検に行かない?子供達も行きたいって言ってるわ。」


ミチルの声に振り返り、う~んと伸びをする。


「そうだね、また何か見つかるかもしれないし、行ってみたい。」


そんな訳で、明日の予定は森の探検という名のピクニックに決定した。

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