秋祭り初日
初日は早朝六時、二台の馬車に荷物を満載して出発だ。子供と年配者を荷台の空きスペースに乗せて、御者役以外は狼になって走る。
七時半にコザクラ町に到着して、九時の祭り開始までに商品を陳列する。
本日自由行動の村人達は、それが終わると祭りに繰り出し、残り半分の販売担当組は揃いのTシャツで気合いを入れた。
この秋祭りの売上で木工細工の材料となる高級木材を仕入れれば、更に手の込んだ家具やランプを作れるし、売上が増えれば村人への分配金も増えて個人の生活も豊かになるのだ。
「いらっしゃいませ!ハクロウ村のオリジナルスイーツです、味見もできますよ~!」
本日の販売担当は美波・ギン・リン・クロ・ミチル・アキトさん・ミナトさんと、奥さんのカエデさんの八人だ。ハクはマスコットとして客寄せに一役かっていて、天使の笑顔を振り撒きながらお客様にミルモンアイスと炭酸ジュースがいかに美味しいかを舌足らずに力説している。
「そんなに美味しいなら頂こうかしら、ミルモンアイスを三つと、双子ベリーのジュース二つにレモンのジュースを一つ下さいな。」
でかしたぞハク!さっそく猫の獣人さんの親子連れをロックオンだ。黒猫のママと娘、白猫のパパはアイスとジュースを受け取り、屋台の回りのテーブルスペースへ移動する。
ミルモンアイスの器がクッキーで出来ていて食べられる事を説明すると、ものすごくびっくりされた。
やはりクッキーの器にして正解だったようだ。
「ママ!これ冷たくて甘くてすっごく美味しい~!
ジュースもパチパチするよ!
初めてだね、こんなの。」
黒猫のお嬢さんはうっとりしている。ご両親も気に入ったらしく絶賛している。
「器もたべてね、すごく美味しいんだよ。
このクッキーは味見です、食べてみて下さい!」
小さな手で試食用のクッキーを差し出し、ちゃんとできたの~!としっぽをフリフリ戻ってくるハク。
あぁ、天使がいるっっ!遠くへ行きそうな美波を肘で小突き、ミチルが現実に引き戻す。
「ミルモンアイスはいかが?そこのお嬢さん方。
器も食べられる新しいスイーツよ。こっちのジュースパチパチ弾けて味も選べてオススメよ!」
ミチルは王子様スマイルで、人間の女の子のグループを、ロックオンしている。
美波も負けじと声を上げると、上品な老夫婦がアイスを買ってくれた。
「ありがとうございました。器もクッキーなので食べられますからね!」
店の前のテーブルが賑わってくると、足を止める人が多くなる。試食の効果もあって、クッキーも売れ始めた。
ミナトさん達の担当しているブースもお客様が集まっているようで、スイーツを食べた後に魔法瓶を買っていく人もちらほら見える。
予想以上の売れ行きで、休む暇も無いくらいだ。
どうにか時間を見つけて交代でお昼ご飯を食べ、(自由行動組が差し入れてくれたサンドイッチだ)ひたすらお客様を捌いていく。
午後二時頃にはミルモンアイスは完売し、クッキーも一日分の目安まであと少し、懐中電灯や魔法瓶も纏め買いがあったりして、初日分は残り僅かになっている。




