2話
当たりかどうかはわからんけど、結構な確率で同郷の人だろうな。そう言えば文明レベルとかあの爺さん…もうジジイでいいか。言って無かったな。聞かなかった俺も悪いけど。
それ以外の情報が無いか確認する為、骨とスーツを分ける。
骨におかしいところはなさそうだな。病気で死んだか?スーツの方も確認してみないと。
骨が主題の某海外ドラマも見ていたので、ちょっとは知ったかさんで調べてみる。
「結構ボロボロだな…Yシャツ見た方が早いかな?」
そう言って取り掛かる。
「これは血かな?汚れかな?正直わからん。」
でも、ワイシャツに穴が空いているのはジャケットを脱いでたからか?実際わからん。
取り敢えずそこまでの事がわからないのでもう一度何か無いか探しに行く。
「時計か…スマホとかは落ちてないな。そう言えばスーツの中身は調べてないな。」
残りの骨を拾い辺りをくまなく調べ、また外に出る。
「お!スマホある!でも壊れてるな…画面もぐしゃぐしゃだし…。手帳かな?これ」
スマホ管理する人が増えた現在、小型の手帳を持ってるなんて珍しいなと思いながら中を見て行く。
「読めねーよ!手帳濡れるとこおくなや。しかもこれ日本語じゃないな…英語か?」
内容もわからない為、結局何もわからない状態であり。自分のいた所と同じような文明レベルの人の死体が転がってるだけである。
「結局時間使っただけか。俺のスマホもなにに使えるかわからんから電源切っとくか。」
そう思いながら携帯を取り出す。
「おぉ!これ中身かわってんじゃん!」
スマホのアプリには「異世界ガイドブック」「ミジンコでもわかる魔法入門」しかなかった。
よくわからん骨埋葬したら見てみるか。
そう思いながら作業を始める。
「今必要なのはマップとモンスター概要、植物図鑑かな」
読み進めて行くと大体の必要な情報は書かれていた。この世界は360日で1年の周期であり1日24時間、前とほぼ変わらない。文明レベルに付いては書かれていなかった。他にも色々書かれていたが、現状必要なモノだけ確認した感じだ。またこの世界にはステータスも存在しているようで、自分の状態を確認する事が出来る。
「ステータス!」
頭の中に情報が表れる。
タカユキ (ヒューマン)男
LV1 16歳
HP36
MP16
スキル 無し
称号 見放されし者
「内容薄っす!てか見放されしって酷いな!」
称号の意味とかわかるのかな?
そう思いながら称号を強く意識してみた。
「ん〜結局はジジイが言ってた加護無し鬼畜状態ですよってことか」
あまり魔物に会いたくないな。現状水のある場所に陣取ってるから遭遇しても仕方ないけど。
そう思いながら魔法の方のアプリを開いて内容を読み進める。
「これは、これで。本当にいいのか?」
内容は薄い以前にほとんど無かった。体内の魔力を知覚し成したい事をイメージしながら体外に放出するとしか書かれていない。
これしかないならやってみるか。一番最初は火種だな。
そう思い体内の魔力を知覚してみる。
「…………………………無理」
全然わからん。火種以前の問題だな。
それから小一時間悪戦苦闘する事でやっと知覚する事が出来たが、そこから火種を出すのにまた同じだけ時間がかかった。
「やっと出たのはいいけど、どれくらいの消費か確認しとかないとな。今のMPは10か。」
時計の秒針を見ながら魔法を念じる。…1…2…3
「火種1秒でMP1消費か。なら今はライター使った方がいいかな?取り敢えずここ来てから4時間。太陽も真上だし、MP回復測る為に周り見て歩くか。」
あまり遠出するつもりもないのでナイフと水筒、ソイジ○イをもって辺りを確認することにした。
10分かけてゆっくりと泉から離れるように歩いて行く。そうするとある時を境に異常な感覚が身体を襲う。
なんだこの感覚、息苦しいような気持ち悪いような…少し戻るか…
そう思い後退するとすぐに最初の感覚に戻る。
どうしてだ?もしかしてさっきいた所が安全なだけで今行こうとしたところが普通のなのか?
また泉から離れた方向に足を進める。
「ッ……」
やっぱり境界線になってるのかもしれないな…この境界線がどうなってるか調べてみるか。
そう思い見えない境界線をジグザグにまたいで確認しながら進んでみる事にした。
なんやかんやと1時間以上太陽の位置を確認しながら歩いてみると、どうやら最初の場所に戻って来たみたいである。
結構かかったな。でも一周回ってみてわかったがあのジジイ嘘つきではないな。一応泉の周りは安全な場所だと本能的にわかった。しっかし、その外側全てが本能的に警鐘が鳴るほど危険ってどんな場所だよ!
そう思っていたら遠くの方で何か叩く音が聞こえる。
動物か?魔物系の方が確率は高そうだな。一応確認してみるか?でも今回は見送って明日以降にするか?
これからここで生きる事を考えるとどうやっても避けられない為、帰る前に確認としていく事にする。
「ゲギャ!」
「ゲギャゲギャギー」
「ギーギー」
そこにはファンタジー映画に出てくるような醜い顔に、長い耳と長い牙。大きい目は赤く、身長は130cm前後の少し逞しい子供がいた。
おぅ…雑魚の代名詞ゴブリン様のようだな。確か概要にも一般的な成人男性なら二、三匹相手に出来ると書いてあったな…武器は棍棒と槍っぽいのか三匹だか相手はできるだろうけど…今日は手はださずに観察して帰ろう。
…ブンッ!バキッ!…
マジでか!雑魚ちゃうの!?
ゴブリンが石っぽい棍棒を幹の直径1mくらいの木にぶつけると、かなり深くまでめり込んでいた。
あんなの相手に戦えるわけないだろう!
そう頭の中で叫びながら帰宅する事にした。