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32話

「あんな小さい子に…する?とか言われたくない…」

俺の愚息が「ええんちゃう?誰も見てないて!」と言ってくる。


ユキはなんであんなに大人びている?そう言う疑問がふと頭に浮かんだ。奴隷と言っても子供だからそんな使われ方はしていないと勝手に想像しているだけなのだが…実際は分からない。今度聞いてみるのもいいかもしれない。これがけ一緒にいるのにあまりにも知らない事が多すぎるのに申し訳なく思う。


ゲートをくぐって出たのはセリアの委譲の時に使った応接間だ。ただ見えたのが崩れた壁と散らかった床だった。


あ〜そう言えば襲撃されたって言ってたな…ここまでとは思ってなかった…


建物の応接間付近と奥に続く廊下が無くなってる状態である。建物の中でも居住区だろうか、そちらの方は外見では問題ないようだ。


「お久しぶりですねタカユキさん」


辺りの荒廃っぷりに少し意識を回していたら、マイさんが近づいて来ていた。この人も気配を消せるらしい。ここでの話しは周りに聞かれるかもしれないと、奥の部屋へと案内される。

部屋に入りソファーに座ると早速話し合いが始まった。

「怪我がある様には見えませんね。よかったです。」

「私にはそう言うギフトスキルがあるのをご存知ですよね?まぁそれのおかげで他の子たちも重傷者はいません。」


前に鑑定した時にギフトスキルと言う欄があったのだが気にしなかった。と言うよりも召喚された筈の俺が聞くのもおかしいと思ったからだ。


「そう…ですね。お預かりした物は問題ないですよ。絶対安全とも言えますし。」

「それなら安心です。あの子は上手く出来てますか?」

「上手くですか?はぁ…共同で生活している人達とも上手くやれてますよ。大丈夫です。」


マイさんは何が面白かったのかニヤニヤしている。

当然召喚者の話しになったのだが、帝国と断定は出来ないそうだ。


「なんでですか?」

「帝国の召喚者はもれなく隷属の首輪があるはずなんですが…今回の少年には着いていませんでした。そうすると聖国の召喚者の可能性もなきにしもあらずなんですよ。」


聖国に狙われる可能性はまず無いらしいが、断定も出来ずに対応策も出来ていない様である。


「とりあえずは今は防衛して下さい。聞きたい事は山程ありますが…ちなみに召喚者って今何人いるんですか?あと、マイさんのこちらに来る前の西暦も知りたいです。」

「多分、もう襲われる事は無いかと。ここに居ない事はバレてしまっていますし。相手は鑑定の魔道具を持っている様です。あと…人数ですか…正直今回の召喚者が何人召喚されたかもわかりませんので…。今回の召喚がなければ私の知っている限りでは10名です。ただ、高齢の方もいらっしゃいますのでそれ以下かも知れません。西暦は2020年ですね。こんな所でいいでしょうか?」


待て待て待て、俺があっちからいなくなったのは2016のはずだ!時間がずれ過ぎている。あれか神の家の関係か?そうだとしたらこの人達は…神に会ってないのか?


「ギフトスキルを貰う時に神に会いましたか?」


多分そこまでおかしな質問じゃないはず!疑われたら嘘で行けるさ!


「会いましたよ?この世界で自由に生きよと言われましたね。その時に怒る人や泣く人など色々いましたが。ステータスとスキルを説明してすぐに飛ばされてしまいました。まぁそこで落ち着いて聴いていた人達に助けられましたが…。」


この世界には神がいるな。俺のとは違うのか?でもあのジジイはそんな簡単に放り出す(ひと)には見えなかった。この世界が如何なのかいまいちわからん。ただ、俺の時間がずれたのはあの家に長くいすぎたのが原因だろう。


「そうですか…マイさんの信頼出来る召喚者にいずれお会いしたいですね。…傷を負っている人もいるんでしたね!これ使って下さい。今日は帰ります。お大事に。」

「ありがたく受け取っておきます。召喚者はまだこの街に滞在している様ですので、お気をつけ下さい。」


泉の水を渡して帰ろうと思っていたのに、まだ召喚者がいるなんて情報が渡されても困る。


「え?なら捕まえれば良く無いですか?」

「私の証言だけで断定は出来ないのですよ。他の者は見ておりませんし…まして、帝国の召喚者だとしたら軍事介入されかねません。」

「それならSランクの…誰か分かりませんが出てくれるのでは?」

「そんな簡単な話しでは無いのですよ…まぁこの話しはまた今度にしましょう。」


んー俺ってこんな馬鹿だった?まぁ正直他の国家との関係やこの街の立ち位置とかいまいち分かってないしな。関わりたくないけど関わっちゃう。あれ?当初の予定が…俺もまたレベル上げしようかな…怖いし…


挨拶をして自分の部屋に結局戻る事になった。ユキは起きていた様だ。


「…おかえり…」

「ただいま〜あ!」


娼館での目的を忘れていた。今から戻るのも気が引けるし、怪我している子もいるみたいだから諦める事にする。話しをしていたら愚息も「寝る」といっておやすみしたから問題ない。ユキのいる布団へ入り寝ることにする。


「…して来なかったの?…」

「?ユキは知らなくていーの大人の事情さ。」


うん。ユキはこのまま純潔で良いところに嫁に出さないと!称号はレベルさえ上げればなんとか出来る!


「…私は性奴隷…」

「意味分かってる?まぁユキは大人になったらアンネさんにでも教えてもらいな〜」


言いながユキの頭を撫でる。ユキは気持ちよさそうにしていたが、衝撃の一言で手を止めてしまった。


「…いつも気持ちいいようにさすって上げてた…」

「ファッ!」


ユキは前とは違う綺麗な瞳でこちらにを見透かすように見てくる。


やめて!そんな目で見ないで!俺は知らないの!知らなかったの!パンツガビガビも見られたく無かったから洗ってたのに…


本人は涙をこらえながら聞こうと思っていた事をユキに聞く。


「ユキさんはそう言う事知っているんですか?」

「…いつもしてた…口だけなら…」


奴隷舐めてたはこんな小さい子でも関係無いんだな…男の性欲が憎い…申し訳ない…


自然とベッドの上で土下座してユキに頭を下げる。


「…どうしたの?…」

「………」


何を謝ればいいか出てこなかった。


「これからはしなくて大丈夫ですハイ。」

「…気持ち良くなかった?」

「いえ、気持ちよかったように思います。夢なので夢で終わりたいですハイ。」

「…初物は喜ぶ言ってた…」

「では、ユキさんが大人になってから好きな人にあげて下さい。」

「…大人…もう12歳…」

「私からしたら子供ですので。何卒鉾をお納め下さい。」


喋ってると、ユキの口調に怒りが混ざってるのを感じた。ここはしっかり宥めないと。


「…セリアでおっきくなってた…」

「いや、それはですね…セリアは育ってますから。」

「…捨てる?…」

「そんな事はございません!ずっと一緒でございます。」

「…なら…いい」


そう言ってユキはベッドに横になった。俺も横になって寝る事にしたが、ユキがいつもになくくっ付いてきた。捨てられるのが怖いのだろうか頭を撫でてやると。頰を擦り付けてきた。可愛いと思ったが、この子が口でとか考えると、なんと言うか…背徳的であった。


「ユキは大変だったんだね」

「…毎日してた…だから上手い…」

「そうか…」

「…いつでもするよ?…」


頰を擦り付けてながら耳元で言われるとなんでだろう俺ダメかもしれない。


「おやすみなさい」

「…うん…おやすみ…」


自分にスリープをかけ寝る事にした……


「…ヘタレ…」


そんなタカを見てユキも寝る事にする。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌朝。またパンツがガビガビになっていた。ユキが満足そうに見ているところを見ると、お手伝いされたようだ。

ユキに今度したら一緒に寝ないと言うと、愚息を殴られた。クレイジーだ。


召喚者の事が気になったので、朝からウィンリィへ行く事をゲートを開く前にセリアとユキに伝える。

アンチェと(アムス)は最近帰って来ていない。あちらで毎日特訓しているようだ。まぁ家もあるから問題無いだろう。

セリアがモジモジしていたが放置してゲートへ押し込み。俺もウィンリィへと向かった。外の森に近い場所にゲートを繋げ走って街へ入る。今日はそのままギルドへ向かうつもりだ。


「こんにちは〜」

「お久しぶりですねタカユキ様」


カルロスさんが相手をしてくれる。この人が一番空いてるのはいつもの事だ。


「今日はてき…「だからー宝石採れるダンジョンさっさと案内してよ」…大変そうですね。」

「はぁ…あの方達はもうかれこれ1時間ほどあの状態ですね。召喚者達でもダンジョンに潜れるのですが、頑なにギルド登録はしないみたいで…情報はギルド以外でもあるんですがね。他の冒険者の方には申し訳無いですね。」


イケメンでは無いが調子に乗ってる。レベルは104…こいつらが襲撃犯だとするとウチのメイド達じゃマズイな。しかも奴隷の女が4人だと!二人ずつで回してるのか!け、けしからん!


黒髪の召喚者は二人いた。こちらには見向きもせずに受付の獣人の女の子に絡んでいる。正直ウザい。ここでどうこうするつもりは無いが、こいつらより強い奴は冒険者でいるので揉めないか心配だ。


ギルドで、同郷の人間がアホをしているのに耐えられず出る事にした。自分がばれないように、自分が今まで会ったことある人以外には目が青色に見える様になっている。


「タカユキさん!」

「おう!お久!」


出てすぐに銀龍の盾のメンバーに会った。今から盗賊討伐依頼に行くらしい。俺も暇だったので一緒に行く事にする。


「助かりました!正直僕たちだけだと少し心許なくて…」

「なら受けるなよ…」


ここから北に2時間程で、拠点にしている場所があると逃げ切れた商人からの証言があったらしい。前回の不甲斐なさから今回受ける事にしたのが理由である。盗賊討伐は割に合わない事が多い。かなり強い相手や賞金の有無、持っている強奪品により上下が激しく、依頼料だけでは割に合わない事が多いのだ。


アランとアンネにはダンジョンで特訓してもらうか。ネリアに他の管理は任せて…一人増やすか?


あまり存在感がないネリアだが、メイドの方に才能が開花したらしく、最近ではアンネに指導してもらいメキメキ実力をあげている。


それよりも昨日のユキか…妙にエロかったな…いやいや!俺はロリコンでは無いはず!でもな…最近は肉付きも良くなって血色もいい。元々幼児体型でもないし、身長は140くらいなのに座高が無さ過ぎて…いつも座る時に丁度前に収まるあの小ささが…あのピンクのぷっくりした唇と整った顔立ちもセリア以上かもしれん。胸はつるペタだったが最近すこし膨らんだか?大人になったら…まぁその時はもういい人出来るかもしれんな。でも今手をだしとけば…あかん!レイリさんの目が目がぁー!


昨日のユキは綺麗だった。月明かりに照らされた髪がキラキラひかり、青い瞳が自分にだけ向けられていると思うとゾクゾクした。過去の経験も然りでする事を知ってると言うだけで、妄想は止まらない。日本譲りの倫理観がなければアウトだっただろう。

そんなどうしようもないことばかり考えていると目的の場所まで近くなった。


「ここら辺の筈です。後はしらみ潰しに探して行きましょう。」

「ちょっとまって〜今探すは〜」


そう言って索敵を展開する。


ん?一つだけじゃないな…遠いけど後三つはある。


「アルドー。今回は一つの盗賊団だよな?」

「そうですが?」

「いや、合計4つある。一番大きいので50人ってところかな?全部で150人いるかいないか…どうする?」

「え!…いやぁ…一番近いのは何人ぐらいでしょう?」

「20人ちょっとってとこか?いや…ちょっと待て…これは攫われた人か!そうなると…一番近い場所の攫われた人は3人だ。とりあえずそこから行くか。」


全員に気配遮断の魔法をこっそりかけてその場所に進む。


『見つけた!止まれ!』


少し大きめの洞窟があり5人程が警戒している。


『こいつら盗賊か?』


前回襲われた盗賊から比べると、かなり警戒の仕方がしっかりしている。


『手強いかもしれんな。』

『そうですね。とりあえず私とケビンで行きます。タカユキさんは基本手を出さないで下さい。』

『あいよ〜』


すぐにケビンとアルドーがアイコンタクトし、カラムが小声で演唱し始める。

二人が飛び出すと一気に二人を斬りつける。どちらとも首を綺麗に着られているので声はあげない。

残りの三人もカラムのファイアストームに巻き込まれ、すぐに灰になった。


『だいぶ強くなったな。』

『あれからかなり特訓しましたから』


カラムが額に汗を滲ませながニコリと笑った。


…珍しいな…カラムも強くなったのが嬉しいんだろう。


実際三人のレベルはばらつき始めているものの、30前後になっている。短期間であげるのに結構な無茶をしたんじゃないだろうか。もしあのダンジョンが使えれば、もっと効率がいいだろうにと思う。


中は魔石の明かりで薄ぼんやりと道が続いている。前にアルドー、ケビン。殿は俺がする事にした。


…そこまで強くないな…これぐらいなら余裕だろう


出会った盗賊はすぐに殺され、前に進む道が分かれていたので攫われた人優先で進むことを進言した。


『反対側の五人は動いてない。いつでも殺せるからその前にこっちの三人を始末しよう。』

『了解!索敵は便利ですね。私達も出来ればいいんですけど…。』

『今度魔力を使わない方法教えるから、今は集中しろ』


そう言って進んで行くと。声が聞こえて来る。


「おい!こいつ死んでねーか?」

「別にいいじゃねーか、さっさと終わらせて交代に戻らねーとまた怒鳴られるぞ。」

「死体とするなんて勘弁だぜ!」…ズザザァァ…ドンッ…

「ッて、こっち投げんな!」

「どいつもこいつも反応薄いなーそろそろ替え時かー?」



『まだ生きてるがあまり良い状態じゃない。今回は三人だから俺も行くぞ。アンジュ会話でわかる通りだ。嫌ならカラムと残れ。』

『いえ、行きます。』

『アルドー。いいのか?』

『これから先避けては通れませんので。』


カラムとアンジュを後ろへやり、三人で斬りこむ。腰を振ってるだけの奴らだったので何事も無く終了だ。


「アンジュ!回復魔法を!」

「わかった!」


そこには四人の女性がいた。下は12、3上は30前後だろうか。鑑定を使おうと思ったがやめた。


「待て。少し退いてろ。」


そう言ってアンジュを下げ確認して行く。若いと言うより幼い二人は既に事切れていた。顔も殴られていたのだろう、目は腫れ上がり顔はボコボコ、歯も無かった。

次の30代の人はまだ息があるので確認する。


「どうしたい?助けられるぞ」

「ヒュー…ヒュー…ごろじで…」

「わかった…」


わざわざミスリルのナイフを取り出し、魔力で切れ味を増す。


聖なる金属とか異世界ものじゃ言ってたよな。この人に安らかな眠りを…


そう言って一気に首を落とした。


「な!何て事を!」

「アンジュ。こんなになって生きていたいか?ましてこの人は多分旦那もいただろう。確認はしていないがそっちの若い子達が子供だったら?本人の意思を尊重するのも仕事のうちだ。」


アンジュは何かまだいいそうだったが、アルドーが宥めた。その後は泣き始めてしまった。

実際確認は出来たがしなかった。してしまえば余計に自分に重くのしかかりそうだったからだ。まぁ家名があればの話しだが…正直気持ちの良いものじゃない。


…後はこの人か…


そう思い相手に近づく。顔は他の人と変わらずボコボコだがまだマシな方である。


…体は…まぁ同じか…


下は裂けては治りを繰り返したのだろう、グチャグチャになっており、手足は曲がらない方向に曲がっている。太ももには切り傷も多い。


…気分は最悪…ん?…まさか!?…


首元に見憶えのあるホクロがあった。



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