閑話
私はいつからだろうかそれ以前の記憶が無い。いつも叩かれ、男性のモノを咥える。いつもいつも…奴隷の人にもいつもいつも…毎日毎日意識が飛ぶまで同じ事の繰り返し。どの場所に行っても最初の数日は高待遇。でも、数日経つと怒鳴り散らして奴隷商が殴る。
何箇所目か覚えていないが優しい女の人が色々教えてくれた。叩かれないように、上手く出来るように。女性の側で見る事が多くなった。でも私が同じ様にすると殴られた。何時もの場所以外に触れると「不浄が移る」と殴られた。それからは何時もの場所以外には触らずにしていた。
上手くなったのだろう殴られる事は無くなった、でも次は身体を支える事も出来なくなるくらい力が入らない。そしたら、髪を引っ張られる事が多くなった。正直、もうどうでもいい。さっさと殺してくれればいいのに。こうしているのも辛いのに。
「今日でお前ともおさらばだな」
今日はもう何人目かわからない奴隷商にそんな事を言われた。オークションに出すそうだ。今までは出す事も出来なかったが、今回は大金を積んだらしい。そんな話し声だけが聞こえて来る。
今迄の会話で私の称号が原因でこのようになっているのも知ている。生きていてはいけないらしく、周りの人に移る称号らしい。でも高額で取引されるエルフはただでは手放せない。そんな商人らしい感情で皆がみんな、私の擦り付け合いをしているのが今日で終わるらしい。それはそれで楽なことだ。
鎖で繋がれた腕を引っ張られながら広い場所に連れてこられた。正直立って歩くのもやっとだ。案外直ぐに終わりまた連れて行かれる。立つのに一生懸命になりすぎて成り行きがわからなかった。また同じ様な生活になるのかそれとも死ねるのか。
購入されたらしい。黒髪黒目の人だ。いきなりポーションを渡され飲まされる。体がとても軽くなったのがわかる。ただ、身体を支えるにはまだ辛い。周りの奴隷の人もおそらく驚いているんだろう、とりあえず指示に従っているだけだ。タカユキと言うらしい男の声で全員が動き出した。私も付いていこうとするが足がおぼつかない。
「仕方ないな」
そう言って私を抱っこしてくれた。記憶の中では初めての抱っこ。相手の温もりが伝わってきてすごく暖かかった。ただ少し怖くなった。この人もまた叩き始めるんだろうなと思うと。
どこかの場所に着いた様で、二階で皆が自己紹介を始めた。私もしようと思い、自分の名前を思い出そうとしたが出てこなかった。今迄名前で呼ばれた事も無かったから忘れてしまったのかもしれない。まぁなくても困らないどうせ役たたずでまた売られるか、死ぬだけだ。いつの間にかお風呂に連れていかれ身体を洗ってもらえた。アンネさん?だったはず...優しい女性は私の身体を見て少し眉を潜めていた。綺麗ではない事は私は自覚しているが、そこまで醜いからだなのだろうか?目の前の鏡で確認したら当然に思えた。今までの傷が全部傷痕になって残っているからだ。これは買い手がつかないだろうとも思った。ただ、身体が大きくなっている事に少し驚いた。まぁいつの記憶の身体かも曖昧だから驚くもくそもないだろうが。
お風呂から上がりご飯を食べる。大きい犬が吠えたがタカユキさんが殴ると静かになった。タカユキさんが膝の上で食べさせくれる。正直申し訳ないとは思うがこんな美味しいご飯は初めてだ。前は粗末な食べ物と美味しくない飲み物ぐらいが糧だったからなおさらだ。少しでもいっぱい食べて夜に頑張ろうと思う。
食事を食べ終わると皆でお話をしている。皆のこれからについて話しているみたいだ。そしたらいきなり私の身体が持ち上がった。タカユキさんの方向に向かされて、優しい顔で「頑張って生きてきた」「強くしてやる」等言っている。この人は少し頭がおかしいのでは無いだろうか?奴隷を強くしてもあまり意味がない。私はもう死ぬ可能性が高いし性奴隷だ。ニコニコしながら頭を撫でられる。まぁ撫でられるのですら初めてだから今は堪能しようと思う。
夜のベッドはアンチェ?ネリア?と三人で寝た。夜にタカユキさんの所まで行こうとベッドからでたが、やはり体が上手く動かない。だるいと言うか重い感じだ。歩く度に壁にぶつかり、その音でいつの間にかアンチェが気づいたのだろう、私を抱えベッドに向かった。あぁまた歩き直さないと...そう思いながらベッドから出ようとするが体力もなく、結局寝ることにする。
朝起きたが、全く体が動かない節々が痛いといった所か。昨日はだいぶ無理をしたらしい。そうこうしている内にタカユキさんに連れられて朝ごはんを取る。膝の上が定位置になりかけているのが少し嬉しい。
ソファーに移され座っていると、しばらくたってから森に連れてこられた。移動系の魔法だろうか?少し驚いた。これはあれだろうか?こういうところですると言うことだろうか?夜はできなかったしな...叩かれたりしないから怒ってはないようだが...
タカユキさんが何か作り始めた。しばらくしたら完成したのか、出来たものをまた何処かにしまい抱っこされた。もの凄いスピードで森の中を走ったかと思うと雰囲気のおかしい場所に連れてこられた。私としては抱っこしていて欲しい。
「いたな。エル…そうだなユキにしよう。お前は今度からユキ。俺の名前の半分やるよ。一緒に頑張ろうな。」
そんな事をいってくる。そうか...私はユキか。悪くはない。でも、名前をつけると愛着が湧いてしまう。この人は本当に大丈夫だろうか...優しい分不安になる。私がでは無くこの人がだ。すぐ騙される人なのかもしれない。まぁ頭を撫でてくれるのは嬉しいが。
指示に従い、よく分からない鉄の塊を持たされゴブリンやオークなどを殺していく。フフフ...私はこんなにも強かったのか!とかは思わない。この変な鉄の塊がすごいんだろう。一人では持つ事もできないが台に固定されているので使いやすい。一通り終わると、止められたのでタカユキさんの方を見る。私としてはもっと打ちたかった。日頃の鬱憤解消にはもってこいだ。今迄殴ってきた奴隷商や従業員や奴隷、覚えているだけしか出来なかったが殺しまくった。頭の弾け具合などサイコーだ。
体を動かしてみろ?まぁさっきから軽くはなっている。レベルが上がったからだろう。そこまで馬鹿じゃありませんよ。わかってます。
その後も恨み晴らしと言うなの虐殺を行なって、私の気分はチョー最高だ。まぁ気分だけなんだけどね。店舗には顔を出すだけで、何か綺麗な宿に連れて行かれた。体も動くようになったし今日は気持ちよくしてやんよ。とか思いながら手を繋ぎながら歩く。部屋→食堂→部屋と計画性が無い動きに不安になる。この人は本当に大丈夫だろうか...
今は魔法の練習だ。正直わからない。でもなんかモヤモヤしているものはわかる。それよりもいつも膝の上に座り後ろから抱えてもらえるのは嬉しい。それもあって合間に少し話そうと思ったが上手く言葉が出てこない。そう言えばどれくらいまともに喋ってなかったんだろう。とりあえずタカと言う事に決定する。私が半分のユキだ。
あまり私が上手くいかないのが分かったのだろう。お腹に魔力を流された。ヤバい!これはまた気持ちいいではないですか。お腹のなかがじんわり暖かくなってどんどん大きくなる感じだ。それをグルグル回しているようでとても気持ちがいい。そんな事を考えていたら訳も分からず怒られた。とりあえず返事をしておく。何を考えているのだろう?服の裾に手をかけながら悩んでいるようだ。いきなり始めますか?まぁいいですけど。そんな事をしていると綺麗なメイドさんが来た。何故かタカは怯えている。タカは部屋を出ていきレイリさんと言う人が身体を拭いてくれた。
「何かされませんでしたか?」
何かも何も私は奴隷ですので。
「...私は...奴隷...」
そうお答えした時の彼女の顔と言ったらもう、すっごい怖かったです。
そんなこんなで今日ももう寝る時間が迫って来ました。風呂に入れと言われたので、服を脱ぐと泣かれました。そんな酷いですかね...また捨てられそう...
いきなり全裸にされベッドに連れて行かれたのですが、何もされないのにびっくりです。もう少し私に魅力があれば...結局傷は全て消えたみたいで、お風呂で綺麗に洗ってももらえました。子供扱いされている感じが少し不満に感じる私は少しおかしいのでしょうか?ベッドでお礼を言うと抱きしめられて寝ることになりました。すごく嬉しかったです。
朝レイリさんに起こされました。正直ビビリました。でも何か話しているとジョエルさんも来てレイリさんが脱ぎ始めました。これはあれですかね、奴隷商館でよく見た光景でしょうかね。そんな事はなく昨日の私のように傷を治してもらっていました。
オークション会場に向かう中で奴隷の首輪を外されそうになりました。それは困ります。私の諸有権者タカのみです。色々してもらっていますし、話と称号についても知っていて置いてくれるのはタカだけでしょう。それに...優しいです...まぁイチモツは普通でしたが。
何処かの街まで来ました。来る道中で良くしてくれたアンジュさんたちが住んでいる所だそうです。そこに着くとタカが私を置いて行こうとしました。私は必死にになりました。また一人になって同じ境遇に戻されるのは絶対に嫌です。そうしてたらアンジュさんが、「タカユキさんは娼館に行くようです。ユキちゃんもわかりますよね?」と、教えてくれた。やっぱ私では魅力が無いのでしょうか?少し悲しくなります。帰ってくるまで悶々としていたらご飯を食べそこないました。帰って来たタカには少し女性の香りが付いていてイラっとしました。まぁご飯を食べて寝るときには忘れてしまっていましたが。
次の日に何故か屋敷に戻ることになりました。いの一番に紹介されたセリアと言う女性は要注意です。可愛い顔してエグイ身体を持っています。私の戦力では逆立ちしても勝てません。とりあえず今はタカから離れない事で防衛に徹しています。
そんな事をしていたら、セリアさんと二人っきりにされました。これはまぁ仕方ありません私のせいで空気が悪くなっているようですから。でもこのセリアさん話しを聞いていると攻撃力が高いボディのくせに中身はウブの素人。私はプロとまではいきませんが、それなりの経験があることを自負していますので攻めることは容易です。直ぐに赤い顔でオーバーヒートしてくれます。何を思ったのかタカがそう言う趣味と思っているみたいになった様で、取られる心配もありません。本当にいい攻防になりました。
最近一緒に寝ていると、タカが気持ちよさそうにしている事があるのに気がつきました。これは!と思い、下に目を向けると案の定です。バレないようにお手伝いしてあげると、朝起きると直ぐに下着を変えていました。素直に私に頼ればいいものを、娼館にも行かずいつも私とベッタリなのに。何か意地にでもなっているのでしょうか?まぁ時間が解決してくれるでしょう。
私はタカとずっと一緒にいたいんですからね...




