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24話




......キィーーーーーーーーーン......


......結構離れてるもんだなぁ......




ジーンさんと話した後、気配を消しながら街の外に出た。現在バイクで疾走中!出てくる魔物は武器も必要ないのでひき殺してます。

風魔石はまだ採取していないのでゴブの火魔石で代用、結局横断中には使えなかったので試運転もかねて乗っている。


「神代の迷宮」と言われるダンジョンは「拓けぬ大森林」の中心、俺が越してきた山脈と街との中間ぐらいにある。前回は直線ルートで来たため近づくことは無かったが、俺が進んできたルートより50km程北にある。

多分街の冒険者のレベルじゃ普通に付くには三日、かなり上位の人間が単独で気力気にせずで丸々一日ってところだろう。

この調子で行けばあと30分で着く、装備は完全装備で固めコートはフード付きをチョイスした。顔見られると正直面倒だし、ついでにマスクも付けとこうかな。













.....シュルルルル.....


「さて着きましたか。」

バイクから降り収納する。


「18階まではどのくらいかな~っと」


この迷宮はB35階まで攻略されているようで、ギルドで地図を購入出来る。いろいろなことを学ぶ上で、自分の居た場所の異常さ加減がわかる資料がゴロゴロ出てきた。その一つがこのダンジョンマップである。

あんな広大な空間がダンジョン内に存在することは無く、大体がひとつの街(半径5~10km)ほどの大きさで纏まっている。他のダンジョンではそれよりも大きものも存在するが、かなり稀である。





.....さて行きますか.....




B1~10階層は洞窟であり、トラップやゴブ・オークや強くてもオーガである。他にはケーヴバット・ケーヴウルフ・ホーンラビット等お馴染みの顔ぶれだ。

マップにはトラップの位置やおおよそのレベルも書かれており、全速力で走ることにする。


途中、他のパーティーと遭遇するが気配を消しているのでこちらに気付く事はない。




B10階まで30分で到着。一息入れながらまたマップを眺める。

「次は~」

B11階からは森林地帯と洞窟が混ざり合っているようだ。トロールを筆頭にリザードマンやミノタウロスなど、20階層に近づく程魔物の個体としては強くなっていくように感じられる。虫系がチラホラ書かれているが目を向けない事にする。大体高くても200レベルあるかないかと言った所で、正直群れで襲われても問題はない。


B10階は森林地帯の安全領域のようで過ごしやすが、あの迷宮のような噴水や沢山の種類の食材はなかった。自分のこれからが、だいぶ落ち着いたらまた探索を開始しようと思う。







B12階まで来ると怪我している冒険者がいることに気がつき、手土産にポーションを渡して話を聞くことにする。


「すまん、少しいいか?」

ちょっと変えてしゃべってみる。


「うわぁ!だ、誰だァ!」


気配を晒すのが遅れたようだ、カッコも相まって警戒されまくりである。


「とりあえず落ち着け。ほら!」


手に持っていたポーションを多分リーダーであろう人に投げ渡す。


「うぉ!つっっ。ポーションか?」

「ああ、そこに怪我してるのはお前のパーティメンバーだろ?飲ませるでもかけるでも早く治療してやれ」

「お、おう」


リーダーっぽい人は直ぐにそのポーションを使いメンバーを直していく。


「何があった?」

治療が終わる前にさっさと話を進める。


「あ、あぁ、次の階層探索してたらいきなり魔物の大群が突っ込んできてな、どうしようもなかったから撤退してきたんだ。他の連中も一緒さ...この階層まではまだ来てないようだが、とりあえずB10階層まで

戻るつもりだ。」


「そうか、ありがとう」


「お、おい!」


呼び止められる前に姿を消し、次の階層に向かう事にする。







B13階からは確かに異常だった。魔物の数か普通の数十倍いるようで、所々に冒険者達の装備が転がっている。多分遺体の方はダンジョンに吸収されてしまったのだろう。


 生きてる可能性はほぼゼロだろうなぁ...


この先で生きているかどうか判らないクランメンバーを少しでも助けれればと思ってしまう。

元々は見捨てるはずだったが、ここまで来ると助けたいと思ってしまうのは仕方のない事だろう。


 先を急ぐか...

気力を使い、またスピードを上げながら次の階層に向かう。












B14階層はもっと酷かった。

まだダンジョンに吸収されていな遺体が所々に散乱しており、未だに暴れている魔物も多くいる。


.....キンッ....カンッ....

.....ポーションまだ足りるか!....

.....あとちょっとしかありません!....

.....退路を確保しろー!階段まで行けばなんとかなる!....



冒険者20人ほどが集まって防戦しているようだ。


 ...ん?あれは確かクランにいたぞ?...


その中にクランで見かけた事のある顔を見つけ。もしかしたら、撤退が上手く行っているかもしれないと思い直ぐに向かう。


「どけ!」


....パンッ....

目の前にいたリザードマンの頭が拳一発で破裂した。


一匹殺したからだろうか他の魔物が一斉にこちらに向かってきた。

右から棍棒を振りかざしてきたオークの棍棒を掴みそのまま左のリザードマンに叩きつける。叩きつけてる間に後ろから襲いかかってきたゴブリンの頭に右足を蹴り込む。先程の棍棒を振り回し一度回りを掃討し、前に進む。食らいついてくるケーヴウルフは口を両手で裂き、死骸を高速で投擲する。

殴り、潰し、千切り魔物をまるで中身の入ったぬいぐるみのように屠って行く。


 弱い弱すぎる。


一撃必殺でここにいるどの魔物もなんの抵抗も出来ずに死んでいく。それを遠目に見ていた冒険者達は最初は歓喜だった、しかし進んで来るにつれそれは恐怖に変わっていく。周りに居た魔物も当然のように自分たちの状況を理解しているが引くことはない。

拳ではリーチが短いため面倒になったので斬黒(ざんこく)を引き抜く。その金と黒の入り乱れた刃先が見えた瞬間。前方の冒険者達は後ろに後退し始めた。向かってくるのは魔物のみ。さっさと終わらせるため、気力で身体強化し一気に終わらせる。


...スパパパパパッ...


一振りで5匹、スピードが上がり向かってくる魔物を切って切って斬りまくる。

ストレスが溜まっていたのか自然と顔が緩んでくる。


....あぁやばいな、俺いつから戦闘狂になったんだろ....







いつの間にか周りの魔物は居なくなっていたようで辺り一面が真っ赤な絨毯のようになっていた。


....やりすぎたかな?まぁいい、それよりも....


そう言って冒険者達の方に目を向けると、10人くらいだろうか死を覚悟した目でこちらに向かって剣を構えて来る。


「何者だ!」

その中の一人が声を張り上げこちらに言ってきた。多分この中でもランクの高い人材であろう、いい装備である。剣先が震えているのは疲れのせいか、俺のせいか。


「ヴェリレはいるか?おいそこのやつ!お前同じクランだろ」



いきなり声をかけられたことに「ビクッ」といいながら、震える指先で後ろの方を示す。


「ヴェ、ヴェリレ副リーダーなら後ろに居ます」


のそのそと歩き目の前の冒険者を威圧する。威圧された冒険者達は何人かは剣を手放し、何人かは後退した。ヴェリレさんまでの道がゆっくりと開きそのまま向かう。


...ヴェリレさん...


其処には、片手片足の無い彼女が居た。もう虫の息である。HPは当たり前にゼロであり、心音も弱ってきているのがわかる。周りにも同じクランの人が何人か居たが同じような状態であり、中にはもう死んでいる人もいた。


....ああぁ、俺はまだ正常かもな...見捨てようとしていたのが嘘のように今は助けたかったと思ってしまっている...つい最近あんなに楽しそうに一緒に酒を飲み交わしてたのに...


残酷な世界だとか殺伐とした世界だとは思ったが、もし地球ならどうなのか。場所によったらこれぐらいの命の軽さが普通の場所もある。別に世界がどうのじゃなく住んでいる環境によって感じる事が変わってくるだけかもしれない。


このまま死なせてやった方が幸せなのかどうなのか...色々考えているうちに、今まで出来ていなかった事を思い出す。


...命の水原液って欠損部位に付けたらどうなるんだろう?...


今まで使ってきたのは最大でもグチャクチャの原型なしまでだった。今回がどうなのか非常に気になる。


...まぁ無理だったら一生遊んで暮らせる程の金でも渡せばいいか...酒さえあればこの人は良さそうだしな...


人体実験は忌避されるものだ。しかし現状よりはマシになり、あとは本人の問題である事を考えれば今から行うことも幾分倫理的にいいのでは無いかと思った。


...今更この世界で倫理観も糞もないか...


直ぐに命の水を取り出し重傷者にかける。何人かは呼吸・心音共に問題が無くなった事が魔法でわかった。


「おい!今からB10階まで運ぶ。全員で負傷者を運べ。」


そう言いながら戦っていた人達にヒールをかけ、ゲートを開く。冒険者達は最初は驚いていたようだが状況を理解してきたのだろう、動けないけが人を背負ってゲートを潜っていく。


「副リーダーは私が!」

そう言ってきたさっきのクランメンバーを手で制する。

「こいつとそいつはこっちで預かる」

そう言って足が片方ない冒険者を指さして言う。

ヴェリレさんの方は引いてくれたが、もう一人はクランメンバーではないため他の冒険者達が文句を行ってくる。

「ドンナをどうするつもりだ」

そう言いながら剣呑な雰囲気を出して近づいてくるのは、さっき声をまっさきにかけてきた上位ランクの冒険者だ。

「治療しなくていいのか?」

「信用できない」

「そうかなら構わん」


そう言って水晶へのゲートを開く。


「現在、双剣のクランマスターがこちらに向かっているはずだ。B10階で二日程安静にしていれば救助が来る。あまり無理して戻ろうとするな。あとお前。バッグはどうした?」


現在の状況を教え無理をさせないように釘を刺しておく。まぁ今の状況じゃ無理はどの道できんか。

しかしバッグの事が気になった。今回の遠征のきっかけになった物でもある。それを忘れて来るなどおかしな話だ。いくら危機的状況であっても補給物資は全てその中の筈なのだから。


「それが...魔物の大群に襲われ撤退している時にはもうありませんでした。持ってた奴がやられたか、ジーンさん達が持っていったかはわかりません」


...ジーンたちは持っていなかった。という事はまだB18階辺にあるってことかな?...とりあえず、ヴェリレさんを優先しよう...


「わかった。ヴェリレのことは心配するなとロレッタに伝えろ。じゃあな」

最後まで話していたため、直ぐにクランメンバーをゲートに押し込み、ゲートを消す。水晶へのゲートを直ぐに潜り、命の水の原液を土魔法でプールを作り貯める。貯めている間に彼女を投入して、時計を見ながら鑑定でステータスの確認を行う。


....HP・MP共に回復しているな、顔にも精気が戻り始めているし。少し眺めているか....


眺めながら今回の件について考えてみる。

...ダンジョンから魔物が溢れる減少は確かに聞いているが、今のタイミングなのか?実際にあのダンジョンでも起こり得るとは思うが、今回の冒険者達の探索状況から考えてもまだ先のはずだな...


300年前からこの地では冒険者が活躍していたようで、ギルドでは多くの資料が閲覧出来た。その中でも氾濫系の周期は冒険者が皆周知出来るように張り出されれている。数年のズレはあるもののほとんど誤差の範囲内である。しかし、今回は10年単位でずれていた。


...あとから少し潜って調べて見るか...


長く思考していたようで、ヴェリレさんの状況が変わってきているのを見落としていた。


「おぉおお!生えてる!腕が生えてる!」


感動ものである。原液の回復量は異常であったが、今回のは今まで以上に異常だった。


 体が再生するのに魔法と理論さえ確りしていれば問題はない。さすがに死人は無理だろうが...そうなると魔力との関係かな?魔力自体がこの地にある時点で物質に何らかの影響を与えているはず。魔力と言うよりは魔素かな...肉体が魔素を含んだ細胞ならそこから肉体の構成を形どる事も可能かもしれないな...まぁおいおい実験していこう。魂の存在も気になるとこだし...









30分程で全てが綺麗に治ったヴェリレさんを抱っこして、クランの建物に戻る。ゲートで彼女の部屋に繋いだのでバレることはない。そのまま放置してダンジョンに戻ることにする。


...バッグはどこにあるのやら...











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