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19話



鑑定しながら魔物を倒していると自分が強くなっている事を改めて実感できた。


ダンジョン21F~23Fの魔物はバラつきはあるものの、概ね200~500の間である。一つの階層をマッピングしながら徒歩で階段を探せば4~5ヶ月は覚悟しなくてはならない。


移動手段を手に入れたことにより短縮出来たが、2ヶ月ちょっとはかかってしまう。それだけの長い時間を探索に当てるわけなので、多量の魔物を殺すことが必然的に必要となる。また、2ヶ月とは最短の話であり全く違った方角にマッピングを行なっていればそんな時間では終わらない。


21Fでわかった事がその先の階層で役立ったからこの最短の期間を出すことができたのである。分ったこととは、階段付近には下の階層との境目であるためか微妙に違う魔力を放っている。その魔力は微弱ながらも10kmほど離れた所でも感知できるため、そのおかげもあり概ね半年以上かかる階層にあたることはなかった。

ただ、どの階層も降りてきた階段正面のどこかにあったことが救いであり、もし後方にあった場合は一体何年かかるのやら...はっきり言って諦めたくなる。






階層クリア毎に休みを取り酒つくりや、醤油、味噌等の研究も行なっているが順調には行ってない。普通作り方の分からない人間が作ろうと思ってもなかな出来るものではないのだ。


そもそも種麹を作る必要があり、温度調整や保温の魔法を付与した木箱なども必要だ。ここ最近になりやっとそれらしい菌を見つけることができ、やっとスタートに立てた感じである。


また、横断の方もレベルが200を越えたあたりから楽になり始め、現在では豚野郎(ブラックオーク)率いる500匹ぐらいの集落であれば無傷でつぶせるようになってきている。

ただ北に向かうほど黒い個体が多いのか統制の取れた動きをしてくる魔物が多いので油断は出来ない。サハギンと出会ったポイントから海沿いを北上して距離を詰めている訳だが、今一番進んだところでは目に魔力を集中すれば、うっすらと海の斜め向に大陸が続いているのが見えるポイントまで来ている。


この調子で行けば横断もすぐもう少しかもしれない。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







今は三度目の冬、外は雪が降っている。魔石があるため暖炉いらずで部屋の中は暖かい。

朝、いつも通りベッドの上でステータスの確認を行う





名前:タカユキ

種族:ハイヒューマン

年齢:18

性別:男

職業:無職


LV:267

HP:5,616,000/5,616,000

MP:8,400,000/8,400,000

状態:正常


気力:3,600

筋力:1,560

魔力:4,000

精神:2,100

防御力:1,200

魔耐久力:1,000


*称号により全ての値が二分の一になっています。



<スキル> 鑑定LV:10(任意に選択可)

ステータス偽装LV:10

      

<称号> 見放されし者、運命(みち)を切り開く者






スキルを選択する時に何故かMPとHPをもっていかれる。

原因究明の為に、欲しかったステータス偽装を取るついでに、実験してみた。結果は成功でステータスが何処にあるのかわはわからないが、空の脳の奥の方へ混ざり合いながら消えて行くのがわかった。


根本的にはHPとMPは気力と魔力である。身体強化を魔力ですることも、障壁を気力で行う事が出来たので性質は変わらない事は前から分かっていた。

その為、混合してみることにしてみたのだが、お互いが反発するようで上手くは行っていない。もし出来るようになれば、限定的にしか出来ない接続が限定無しで行えるかもしれない。


まぁ行えても今の状況で十分ではあるが。





レベルは前回のストップ値よりオーバーしており、まだまだ伸びそうである。





今日は24F...気張っていきますかぁ


ベッドから起き上がり朝食の準備を始めた。















24Fのボス部屋の前である。

今回の扉は前回とあまり変わらないが付いているレリーフが狼であった。スノーウルフをモチーフにしているのだろう。


いつも通りに中に入る、部屋の中央に光は集まり始めた。

屈伸をしながら登場を待つ。


「今日もサクサク行きますように。」


光が収まると、そこには真っ白な狼がいた。

体長は4~5m、口には大きな牙がりヨダレが滴り落ちている。何回も遭遇しているスノウウルフよりも体長の大きさ牙の大きさ、はては立ち姿まで立派なものである。爪や手の大きさもかなりあるので、牙と爪の両方に気を付ける必要がありそうだ。


 鑑定...


・フリーズウルフ(オス)

 LV690

 HP109,000/109,000

 MP36,000/36,000


 スキル 水魔法、風魔法、火魔法、混合魔法

 称号 アドルファスの加護


 新しい魔法属性を持っているな。


そう言って顔をしかめながら混合魔法に意識を集中する。


・基本魔法をベースに属性を混合し、基本属性では出来ない魔法を使用することが出来る。


 さすがに基本的なことしか書いてないか...アドルファスは...


「ぐぅるるるる....」


...タタッ!...


悠長に意識を鑑定項目に向けていたら、フリーズウルフが喉を鳴らしながらかけて来る。


 一度は様子見だな。


気力で身体強化を施し様子を伺う。


...シュンッシュンッ...



「グガァッ!」


左右に氷の礫を高速で飛ばし自分は右足を振り抜いてきた。


「フッ!」


...ドグゥ!...


相手の懐に屈みながら潜り込み、刀を鞘に収めたまま相手の腹に当てる。


「キャインッ!」


...ドガンッ...


可愛い声を出して壁にぶつかる。そのまま待とうかと一瞬考えたが、混合魔法が氷を放つものだと解ったため、一気に攻める。


一足飛びに起き上がろうとしているフリーズウルフの横に近づき上段から袈裟懸けに首を切りつける。


「シッ!」


...ヒュンッ、スパッ...ゴトッ...


一刀で頭を落とし、血を払ってから鞘に戻す。


 加護の内容は気になったけど、あまり余裕をみせると絶対に痛い思いをするからな...


そう言ってフリーズウルフを回収し、ボス部屋を後にした。










25Fの楽園を楽しみに階段を降りていく。


「さーて、今回はどんな食材に出会えるやら...」


楽園ではなかった。


「岩、山、岩、山」

 緑が無い...


遠くには明らかに火山と分かる煙を出した山が見える。




「ハァ~気分落ちるなぁ」




そう言いながら索敵を行うも全く反応はなく下層の魔力が微弱に階段の位置を教えて来る。



「とりあえず行きますか」



今回は何もないため身体強化で足り抜ける。途中川があったため流れをさかのぼり噴水を見る事にする。


 今回も泣いてますかね~


毎回の如く泣くか苦しんでる女性の像が頭に浮かぶ。


 あの(ひと)は幸せになれるんだろうか...


正直殺されるほどのヤンデレぐあいは遠慮したいが、あの刺されていても笑ってる男なら可能だろう。












案外早く噴水までたどり着き、像を眺める。



「次は男の方が題材か?」



今回の像は爺さんと男の像だ。爺さん笑いながら男に刺され、男は爺さんに剣を刺しながら笑っている。





「爺:ワシの娘が欲しかったら殺して行け!

 男:だったらやってやるよ!

   ズシュッ

 爺:ここまで見せつけられたら渡さんわけにはいかんな。

 男:あんたの娘大事にするぜ。」


一人アテレコしながら状況を想像する。


 

 こっちの世界の人は熱い(おとこ)が好きなのかもしれないな...次はどうなるんだろうか?結構楽しみになってきた。


想像力を働かせながらまた走り始める。











「ん?これ鉄鉱石か?」


走っている内に休憩がてら岩に腰掛けると鉄鉱石の塊がごろごろ落ちている事に気がつく。


 ん~あぁ~そういうことか...ここは金属製の素材の宝庫なのか。多分宝石類もあるんだろうな。


そう言ってあたりを見渡してみると金銀銅と少ないながらも見つかっていく。




 この階層で生成を続ければ多分ミスリルやアダマンタイトも回収できるな。必要になるたびにここにくればいいか、今現状は必要ではないし。ゲートならいつでもこれる。


そう考えて階段をまた目指す。

そこから30分程で階段に到着し26Fを確認しにいく。






 今日の昼はなににするかなぁ...久しぶりに保存してある魚介を天ぷらにするのもいいな...あぁ~それなら醤油やみりんで天丼も作れるはずなのに...作れない自分が恨めしい。






階段を降りながら中々決まらない昼飯に頭を悩ませていると、潮風が頬を撫でた。

顔を上げると一面海が広がり、自分は無人島のような所にいることが分かる。海も近いので刀に手をかけながら索敵をする。

前回の海での失敗から、海底まで届く索敵魔法を完成させていてよかったのだが、ダンジョン攻略には今の所必要なさそうだ。




 こりゃ~完璧中断だな。


ゲートを開き帰宅することにした。







 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







「さてさて、これからどうしますかねぇ~」


...ジュゥゥゥ...


天ぷらを揚げながら今後の予定について考えてみる。




 海を渡る魔法か装備、乗り物を考えなければ探索は不可能だな。もし作るとしたら鉄かミスリル。今回の楽園で量の確保は容易に出来るだろう。魔力エンジンの高出力化も念頭におくと製作だけで1ヶ月、船の大きさと生成時間まで入れると2ヶ月以上は見積もりたいな...大型船は見たことあるけど製作工程まではないし、試運転も必要だろう...何よりダンジョン内の魔物の方が外の海の魔物より、圧倒的に個々の攻撃力が高い下手したら、オリハルコンでコーティングしなければならないかもしれないな...

 そんな船を作るぐらいなら外の海を渡って人の住む領域にたどり着ける。これはもう大陸横断に切り替えて行くべきかな。





天ぷらも揚げ終わり席に移動する。



 この前距離を詰めたときはレベル230前後、今はさっきの戦闘も入れて280届かないくらい。レベル差は約50だからまたかなり強くなっているはず。魔法に関しても多重思考魔法を開発してから多数の高威力魔法を単体に打ち込むこともできる。そろそろ臆病風に吹かれずに人里を目指しますか。

 とりあえず雪が止むまでの残り1ヶ月は今までのダンジョンでレベル上げ、移動時にバイクからでも攻撃出来るように槍も必要だな...いっその事高威力の銃でもいいな…バイク自体も素材が取れるんだから改造して、火山なら硫黄もあるしゴムの生成もするか。味噌・醤油・酒は後回しでいいとして今回の魔力も上昇限界まで上げないとやることが山積みだな。


決心した顔をして箸を置き立ち上がる。


「さ、はじめようか。」



















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