15話
ダンジョン17Fは相変わらずの洞窟。かなりやる気は削がれるが、もしかしたらと期待を込めて探索する。
今回も最初の内は16Fと同じように採掘も並行して行う。階層が変わる事によって違う物が取れるかもしれないからだ。取れなくても問題は無い。自分の持ち物がいくら増えようと関係無いからだ。
ダンジョン内に入ってから暫く歩くと遠くから音が聞こえてくる。
…ガリッガリッ…ボリボリッボリボリッ…
今までに聞いたことのない音だったため、気配を消しゆっくりと近づく。
珍しいなぁ人型か…別に共食いしてるわけでも無さそうだが…
気配を消しながら観察を続ける。
...カンカンカンカン...
採掘しているのか?
その人型の魔物は採掘がある程度終了する度に、溜まった鉱石を食べているようだ。
取り敢えず殺っとくか。
左手に魔力を溜めバレ無いようにその上から魔力障壁を薄く展開する。
行けッ!
強めの弾丸魔法を頭に撃ち込む。
…ガヒィッン!…
かなり硬い物に当たったような音が鳴り響き、反撃を警戒して魔力だけを強めに練っておく。
…バターンッ!…
一撃で沈んだようだが、確認も含めてもう一度強めの弾丸を打ち込み。魔物に近づく。
「これは…」
仕留めた魔物はほとんど損傷は無いが、頭の部分と腹の部分が鎧のようにへっこんでいた。
目にはルビーのような綺麗な石、身体のところどころに綺麗な石をはめ込んでいる。その他の皮膚は銀や鉄、頭の部分はミスリルで出来ているようだ。
こいつが鉱石を食ってた事を考えると宝石やあるいは魔石みたいなものが取れるようだな…あとミスリルも取れるかもしれないのが何よりもでかいな…
脳内スマホを起動し該当モンスターが居ないか探す
これにも検索機能つけんなきゃな、探すの面倒いし...
数分かかって調べるとジュエリーイーターと類似しているみたいなので詳細をみる。
詳細には宝石を好んで食べる非常に珍しいモンスターとかいてあり、アダマンタイトを体内に溜め込む習性があるようだ。遭遇する事は稀なようで、今回は運が良かった。
ここで解体は出来ないので持ち帰り後から研究する事にする。
その後もマップ作成や鉱石の採掘をしながら足を進め。お昼を過ぎたくらいで自宅に戻った。
昼食は芋もちに塩と砂糖を適量練りこんでオリーブオイルで揚げたものである。
どうしても唐揚げ系の物を食べたかった時に作った片栗粉が残っていたからだ。片栗粉自体はデンプンを生成したものなのでじゃがいもから採取できた。これから醤油も作れたらなと思った。
昼飯を食べながらジュエリーイーターの事を考える。
普通の魔物のようには解体できないだろうな...分離魔法を使いながら解体するか。
食べ終えたあと外に向かい、異空間から死骸を取り出す。
物は試しとミスリルナイフを当ててみると弾かれた、場所によっては通らない事はないが嫌な音がする。その為、魔力を強めにミスリルナイフに流し解体してみる。
「案外サクサク進むなぁ」
分離魔法を使う必要が今のところなかった為、ミスリルナイフのみで進めていく。
首を落とし、体を縦に切り裂く。全く血のようなものはなく、中が空洞になっている銅像のように思えた。体表に付いているルビーやエメラルド、ダイヤにサファイア等を綺麗にえぐり取りながら、中が見えるように解体していく。
「これがアダマンタイトか...」
そこにはマッドブラックのような光沢のない黒い塊があった。
ジュエリーイーター自体が樽型体型であり体調2mくらであったため結構な量を取ることが出来た。
「多分、純粋なアダマンタイトだと思うけど...」
もしかしたらと思い分離をかけてみるが弾かれた。
「これは...あの糸よりも魔力抵抗があるな。」
色々な使い道がありそうだと思い、他の部分を分離して純物質にしていく。案外綺麗に終わり、よくわからない鉱物などは出てこなかった。
食べた後のその他の物質は何処に行ったんだろうなぁ
不思議なことは放置する思考を発揮して。家の中に戻る。
アダマンタイトでの武器を作成することに決め作業に取り掛かったのだが、今まで使ってきた魔法がはじかれてしまい作る事ができないでいた。
「これは難儀だなぁ」
高度を測定するために鉄のハンマー、ミスリルハンマーを使い叩いてみたが全部ハンマーの方が変形してしまい。カットしたダイヤモンドを使用したハンマーも変形こそしなかったものの、アダマンタイトに傷すら入れれなかった。
そうなると熱で溶かすしかなく、その方法を行う為の準備に取り掛かる。
何度で融解するかわからなかった為、アダマンタイトを入れるための空間を構築する。構築には今まで採取してきた魔石を使い全てが一つとなるよう接続する。空間内の温度をシャットアウトするために同じような空間を外側にも魔石を使い構築し、最後に延棒の型を作って準備完了だ。今回はかなり頑丈な金属であるため前回のナタを作るのではなく刀にしてみたい。柄の部分はミスリルを使うつもりである。
準備が出来たので核融合魔法の改良版を使う。本当はアークを使おうと思ったのだが最初から有害線を抑えている魔法がいいかと思いこちらを改良した方が楽だった。
断続的に高温を発生させる魔法ってだけなのに魔力の消費が半端ないんだよなぁ...もっと勉強しとけばよかった。
魔力を練り魔法を唱える。
「超高温炉」
直ぐに熱が上がる。自分にも熱風が吹き付け魔力障壁で防ぐが、空間内の熱は徐々に上がっていく。
「コールドウィンド」
自分の体に涼しい風を送る。アダマンタイトが融解するまではまだまだかかりそうである。
15分ぐらいだろうか?赤く熱せられたアダマンタイトが溶け始める。そこからは直ぐに液状化していった。
熱魔法を消して魔石で囲った空間魔法に部分的に穴を開け型に流し込む。型に流し終えた後、まだ余っていたので慌ててナイフとハンマーの分量の型も作り流し込んだ。型の魔法意外を消し、アダマンタイトが少し冷えるまでに炉の形の空間をまた作る。
魔力回復のために命の水を飲み、ミスリルで急遽作ったやっとこを持ち出す。魔力で強化したやっとこで型である程度固まったアダマンタイトを引っ張り上げる。
新しく作った空間魔法内に入れまた、超高温炉を唱える。ミスリルの金床とハンマー、やっとこに魔力を流しながら叩く。刀の形になるまで叩く叩く叩く。
...カンカンカンカン...
...カンカンカンカン...
...カンカンカンカン...
そう何回も続けだんだんと刀の形にしていく。均等に伸ばしていくにはやはり技術が必要なのだろう、何回も失敗しては同じ工程を繰り返す。やっと自分の知っている刀の形になったので一度休むことにする。
命の水を何杯飲んだかわからないほど飲みお腹もタポタポ。二日も経っていたようだ。
翌日は休み疲れを確り抜いてからナイフの加工に移った。
こちらは刀で慣れたからだろうか案外早く終わり。午前中に終了した。
昼からは波紋を付けるために焼入れを行う。空間魔法で刃の部分以外をコーティングし、熱する。
その後刃の方から魔法で急激に熱を奪い、焼戻しを行なって完成した。
全てを完成させるのになか日を入れて5日。
今日は休んで明日は試し切りに行こう。
その足で風呂場に向かった。




