14話
今日も元気に採掘である。
ところどころの鉱石を採掘してマップ順に保管、午前中は鉱石採掘とマップ作成にあて、午後は持ち帰った鉱石を分離しまくる。一つの鉱石からは色々な種類の物質が採取出来るが、分からない物は色や重さで分けて保管し現在わかるものに関しては元々持っていたものとまとめる。
結果としては金の他、鉄や銀なども取れ備蓄を増やすことが出来ている。それはそれで嬉しいのだが階段にたどり着けない。一度、複雑な洞窟が一本の道に集約していることを突き止めて階段かと思ったが、またそこから道が複雑化しマップ作業を継続中である。
ここまで三ヶ月はかかっており、結構飽きてきていた。
「南にいってみるか!」
そう思い立ったが吉日と南に向けて探索を開始する。
「弱すぎないか?」
探索開始から三時間ほど。境界線外は比較的強い魔物がひしめいていたはずが、南に2時間程移動した当たりでは全く驚異にならない。時々かち合うリザードマンが少々強いくらいで他の魔物は弱体化しているように感じた。
ただ、魔物の色性も変わってきているのか、植物系のトレントやブルーウルフ、グランドタートルなどが中心的な魔物である。いつもお馴染みゴブや豚野郎も居るが全く強くない。
これは楽に進めそうだな。
周りの気配を感じながらスピードを上げる。
三日後には大陸最南端に到着し、目的のオリーブを探しだすことができた。副産物としてサトウキビも見つけることができダンジョンに何本か植えてみることにする。
他にもゴムの木や椰子の実など南国系のものをある程度見つけることができたが、ダンジョンと同じようなマンゴーを食してみて味が薄すぎた事から、大きな期待はできないかもしれないと思った。
ある程度の探索を終え、四日目に突入。海の幸を食べたいと思い電気ショックを海に放つ。かなり強めにしたためか近場の魚は何故かこげこげ、かなり大きいサメもうち上がった。
とりあえず全てを回収し内蔵を取り出したりして処理を行う。処理中に何匹かからは魔石が取れ、それらが魔物であることが解体中に分かった。サハギンの時はあまり考えて居なかったが、海の幸は本当に久しぶりであった。
「うまいなぁ」
何匹か下処理の終わった魚を浜焼きにして食べる。こちらではどう言うのか調べてはいないが、タコやイカ、岩ダイなど前ではおなじみの魚ばかりのようで色も進む。貝やウニなども欲しかったが、魔物がいることが分かったので素潜り専用の魔法をつくるまではおあずけだ。
海渡れば反対側行けるんじゃね?船さえ作れば行けそうだな...動力源は魔石を使ったシステムを作って...
その場で周り中の木を切り倒し、制作に取り掛かる。
とりあえず実験として小型の船を作ろう。
日が暮れるのも構わず、魔法でライトを焚きながら木を加工していく。時々魔物が寄ってくるがすぐに殺し放置する。そんなことをしていたら気づいたときには周り中死骸だらけになっていた。すぐに焼却し周りの血のあとも洗い流し、再び作業に取り掛かる。
釘を使わず木組みだけで船を作ったため、二日を要した。完成した船を海に浮かべ外から眺めてみる。
「いや~我ながら中々の出来栄えだなぁ」
全長20m程の木造船はマストもなく、前の世界の漁船に近い形をしていた。
まぁ本当に外洋にでるなら無理だろうけど、今回の実験にはもってこいかな?
船に乗り込み、即席で作ったウォータージェットを始動させる。
.......................。
エンジン自体は音がしないのでまったくもって快適であった。システムには流水魔法が使われており、船前方から水を吸水しエンジン内で加速させ後部に排水する。魔力の燃費や加速性能も今回でデータを取りたいと思っている。
でわでわ~発進!
そう言って、アクセルを踏み込む。操作はほぼ車と同一にしてあるので安心だ。
船は徐々に加速していき発進時に下がっていた船尾も戻って来ている。
これなら行けるな!ただ燃費があまり宜しくないしパワーがもう少しあるといいな。
操縦にも慣れ快調にスピードを上げていく。
やっぱスピード上げすぎると急激に魔力消費が激しくなるな...そこは普通の乗り物と一緒みたいなものかぁ
...ズゴンッ!...
「へやぁぁ?」
突然船体が大きく揺れる。
「なになになに!!!」
座礁したか?それとも魔物か?
この船は木造と言うこともあり、外には魔力障壁を展開出来るように魔石をつなぎ合わせた物をつけていた。常時展開で薄く張っているので相当な衝撃でないと破損しなくなっている。
とりあえず停船してかくにんを...
...ズゴンッ!...
またかよ!
さすがに魔物っぽいと思い船室から甲板に向かう。
そこには体調4mほどのサメが泳いでいた。
こりゃまずいなぁ。海で使える魔法が限られて居るしなぁ。
サメからの攻撃をどうにかしようと思い考えていると、船が傾き出した。
マズイ!ゲート。
目の前に自宅が見えその中に入りゲートを閉じる。
「はぁぁぁ~」
強い魔物もいるかもしれないとはおもってたけど...こんな近海で尚且つ簡単ではあっても魔法で防御している船を沈められるとはな...海で使える攻撃魔法のことも失念していたし...
正直、思っていたよりも早く帰宅することになったことや、徹夜で作った船が一瞬でお亡くなりになったことで精神的にかなり来ている。
もういいや、とりあえず明日考えよう。
直ぐに風呂へ入りベッドへ入った。
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翌日
「はぁ~」
深い溜息を付きながら椅子に座っている。
「昨日の問題点はなんだろなぁ」
船の強度も然り、索敵が海中に効かないのも...あと攻撃手段もかな。というか現実的ではないな。
船だともし沈没しそうなら帰ってくればいいが、こちらからまた行っても海しかない。出発するたびに船は必要になるため時間もかかる。毎回失敗すれば振り出しに戻るような挑戦は、陸路横断よりも根気がいる作業になりそうであった。
海にはクラーケンも居るみたいだな...シーサーペンもいるのか...やっぱ別口で海竜もいるのね。前たたかったグランドサーペントもそこまで強くなかったしな。問題は海竜の方かなぁ。多分一撃で大破だな...
そんなことを考えながら脳内スマホで異世界ガイドブックを確認する。
いろんな意味で安直に考えすぎてるな。まぁわからないことがわかっただけ良しとするかな。
海を安全に渡るためにはかなり大きな船が必要であり、金属製の軍艦クラスを作るしかないように思えた。またそのような船にはそれなりの港が自ずと必要になって来る。そこまでしても、もし海竜などと遭遇すれば一発とは言わないものの高い確率で沈没してしまうだろう。
現実問題として海を渡るのはNGだな...陸に足ついててナンボだ...
まぁいい気分転換にはなったし今日一日休んでダンジョンに戻りますかね!
落ち込んでいても仕方ないので切り替えることにする。実際今まで結構な回数の失敗を繰り返して居るからこそ、あまり気にしないのであるが。
失敗をすることである程度自分の状況も見えてくるため、悪いことでもない。
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ダンジョン探索を再開しマップを埋めるだけに集中した。そのためか1ヶ月も掛からずに次の階へ降りることが出来た。
「昨日でレベル250になったかぁ~、本当どこまであがるんだろうねぇ~」
タカユキ(ヒューマン)17歳
LV250
HP450000/450000
MP1000000/1000000
スキル なし
称号 見放されし者
朝のステータスチェックを終わらせ、今日から始まる17F探索のためゲートを開く。




