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11話


...シャクッ!...


「ンッン~ん」


 最高だ!この世界に来てから一番嬉しい!まさかダンジョンで果物類を採取出来るなんて!!


こちらに来てから森にある木の実類などは食していたが、ここまで果物らしい果物に出会っていなかった。今食べているのは紫色の林檎っぽい果物である。普通なら絶対に食さないだろうが、この環境に慣れてしまうとそのくらいの危機感は麻痺してしまう。魔法も泉の水もある今だからこそできる行動ではあるが。


「これならあれができるかもしれないな」


そう言いながら検索魔法で魔法を探し発動する。


「分離!」


テーブルの上には少し萎んだ林檎と白い粉の二つができた。

白い粉を指先に付けて舐めてみる。


「甘いッ!」


果糖を分離し砂糖のかわりになるか試してみたがどうやら成功のようである。

この分離魔法、岩塩の茶色さにどうしても納得出来ず開発したものであり、他にも金属の分離などにも使用している。


 この調子で果糖を生成しよう!砂糖の代わりになる!

 でもなぁ果物自体も食べたいしな...まだあるか見てくるか!


即行動。すぐにゲートを開きB10階層につなぐ。

昨日と同じように実る果物に狂喜乱舞しまた収穫を始めた。


「またかこれか」


昨日は来なかったが、かなり奥の方まで今回は足を伸ばし採取しているとまた噴水があることに気がついた。


 今度は女と龍か~


今回の像は女性と龍であり、女性が龍に剣を突き刺している。龍は怖いけど優しそうな表情で、女性は苦しそうに剣を突き刺している。

 

 何かの謎かけか?最後に問題解け的な。まぁ俺自身どこまで潜るか決めてないしなー、このダンジョン自体も果物取れるし攻略して潰れてもこまるし。


結局眺めただけで終了し、採取にもどる。


結構な時間を採取に費やし、次の階段を見つけるのに結構な時間がかかった。

装備はないものの今日は絶対に戦闘しないことを決め、いつでもテレポートが使えるように待機させB11階層に降りてみる。


「今回は広いねー」


着いたと同時に索敵魔法を使った。魔物がいるようで今回は長くいるつもりはないが、それでもどのような所かは確認しておきたい。その為、索敵魔法でかなり遠くまで魔力を飛ばしたのだが端にたどり着かなかった。


 俺の魔力消費量なら半径20kmくらいなら魔法が届くはずだからそれよりも広いのか。そうなると今までみたいに壁際に階段があるとは限らないな。


実際に自分が降りてきた階段の方を見ると山になっており、この空間自体がもしかしたら別の次元の可能性もあった。


 とりあえず今日は果糖生成だ!


ゲートを開き帰宅する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


残り半日を使い、今日採取してきた果物を全て果糖に分離した。その量は2リッターペットボトル10本分近くであった。


 これであとは穀物系がそろえば最高なのにな...胡椒も欲しいかも!


そんなことを考えながら風呂でまったりくつろいでいる。


 そだなぁ~ここいらでしばらく休んでからまたダンジョン探索を開始するかな...どれくらい強ければ大陸横断出来るだろうか...こんだけファンタジーならドラゴンとかもいるだろうな。強いことに越したことはない。前回までみたいに魔法でなんとかなるレベルを超える場合も必ずあるからなぁ。あまり強い魔法は自分にも被害が及ぶし...ロマン兵器とか実際実用性がないしな...そういえば今日は確認しなかったな。あのオーガはどうかわからんけど、三階層分の経験値はあるはずだな。


「ステータス...」


タカユキ(ヒューマン)16歳

LV113

HP66350/68000

MP112300/128300


スキル なし

称号 見放されし者


 いやーレベルがよく上がるねー。この世界の人間、異常に強いんだろうな...魔力また上げななぁ~あれ気持ち悪くなるし嫌なんだけどねぇ。

 そろそろステータスも同期できるかもしれんなぁ~、まぁ相手のレベル見て過小評価とかしたら元も子もないし現状あんま苦労してないしなぁ。必要になった時に考えるかぁ~。


そんな事を延々ぐるぐる考え、眠気も来たので今日は寝ることにしベッドへ入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日からゆっくりと魔力枯渇のトレーニングを行ない始めた。休みとは言ってもナイフを振る練習ぐらい行う。

本当は身体面でのトレーニングはするつもりはなかったのだが、三日間だらけきって魔力のみしか注力せずにいたら少し体が重く感じたからだ。もしかしたらステータスに影響してるかと思い確認してみたら少し減っていた。

本当にこのステータスは謎だとあらためて思ったが。そもそも体を動かさなければ筋力や体力は減るもので常識の範囲なのかもしれない。

この世界は物理法則や体の構造など感覚的にはほとんで一緒であることがこの生活で分かってきている。



魔力上限も満たすまでに結構な時間がかかり、一週間と決めていた期間が二週間、そろそろ潜ることにする。


B11階層は強そうな魔物は多くなさそうな感じだった。

ゴブと豚野郎(オーク)は当たり前に存在し、ビッグスパイダーやグリーンウルフ、フォレストバットやジャイアントビートルなどかなり多くの種類がいる。

ただ、オーガやその他上位種はいない。生態系が崩れるからからだろうか?


スライムをここにきて初めて見ることができた。最も弱いモンスターの代名詞である。

喜び勇んでナイフで特攻した...大切なナイフが一本無くなった。

アシッド系だと見ればわかるのに...。


ここは地上の境界線外より素材が溢れている最高の環境だ、今まで見たことのない素材がたくさんある。中でも気に入ったのが蚕の繭みたいなものだ。と言っても大きさが1m近くある。見つけた繭から片っ端に乾燥魔法をかけ、すぐにグラウンドプレスとソイルクラフト(自分で創った土魔法)を使い作成したプールに入れてかき混ぜる。中の魔物は言わずもがななのでおいておくが、糸自体は最高の品質だ。これで新しい肌着を作ろうと思う。

このまま新しい装備を作るのもいいかもしれないと思いながら気長に次の階段を探した。


しかし階段がみつからない。


最初の方は適当に歩き回っていたが全く見つからず、困り果ててマップを作成し始める。最初は手書きであったが範囲が広すぎて挫折。脳内スマホに新しくダンジョンマップ機能を作り、意識喪失。

なんやかんやで。1ヶ月以上かかってしまった。

階段自体は案外近くにあったようだが、入口からその距離約30km。普通であれば年単位でかっかたのではないだろうか...この階層自体も先が見えないし下手すればもっとかかるかもしれない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


B12、13階層も洒落にならないほど広大であった。B12階層からは魔物の強さが上がり、レッドグリズリーやオーガ、その他上位種もかなりの混じっていた。しかしながら、B1~10階層迄に経験した魔物ばかりであったので手古摺るようなこともなくどんどん進んでいく。新しい素材も増えるかと思ったがそこまで増える事は無かった。

原因は昆虫系の素材をあまり使いたくなかったからだ。ジャイアントマンティスやジャイアントセンチビートなど見るだけで背中がゾワゾワする。この世界に来たときに蜘蛛に襲われたことがあったが、あの時は必死だからなんとかなったわけで今冷静に昆虫系の魔物を見ると「ちょっとすみません無理なんで」って思ってしまう。

いつぐらいからだろうか...子供の時はセミとか取りまくってたのに、大学では触ることもできなくなってた。今は少なからず必要な素材は使っているだけマシだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


結局、B14階層にたどり着くまでに4ヶ月以上経過していた。

今日からB14階層。降りるための階段まで確認してある。

家で準備しながらステータス確認を行なっていると。

ここに来て初めてあることに気付く。


 ヤバい、後一年しかない!


なんやかんやでこの世界に来て1年。生活も安定してきて素材の加工や生活充実の為の研究に没頭しすぎ、当初の「結婚する」と云う予定が「森を抜け大陸横断し人に会う」ことに変化しているのに気がつかなかったのである。確かに体は若返っているため所詮17歳であるが、中身は29歳と言うかあと半年で30歳である。


 あと半年でどうにかなるのか?


確かに強くなっている。でも死んでしまっては元も子もない。しかし最近は境界線外に出ることもほとんどない。


 30前には結婚したいよな...でもなぁ、体は17歳だし一応13年の猶予は出来てるしなぁ。妥協してもいいんじゃないかなぁ?森を抜けるのに半年以内に確実に行ける保証もないしなぁ。魔物に手こずらないとは言ってもオーガの群れとかだと結構危ないしなぁ...魔法ぶっぱで行きまくれば問題なさそうだけどぉ。


「よし!」


 行ってみようじゃないか!


そう決めて予定を変更した。

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