9話
ブラックオークと戦ってから早三日。早々にMP上昇を限界値まで上げるために一日100回以上魔力枯渇を行なった。目眩、倦怠感、意識混濁。正直自分Mじゃないかな?って思うほどの鬼畜ぶりだった。ほとんど魔力枯渇に時間を割いたため上昇はストップ、現在はMPが10万近くになっている。
「今日は久しぶりに異世界ガイドブックでも見るかな~」
リュックの手前ポケットに入れてあるスマホを取り出し。画面を見る。
「ん?ミジンコ魔法が魔法書になってる。」
今まで「ミジンコでもわかる魔法書入門」が進化していた。どういうことかと思いアプリを開く。
なになに~、魔法はイメージさえあればなんでも出来る?自分のしたいことをイメージしろ?
「しっとるわッ!」
投げ捨てたくなる感情を抑え、下へスクロールしていくと系統魔法と書かれている。
「なんじゃこれ?」
魔法系統早見表
・火属性魔法
・風属性魔法
・土属性魔法
・水属性魔法
・聖属性魔法
・闇属性魔法
・属性外魔法
ほう!なんて分かりやすく区分けされているのでしょうか!
別にそこまで分かりやすくは無かったが気持ち分上乗せしていた、この世界の魔法の体形がこうなっているのだろう。今さら感はあるもののとりあえず火属性魔法を開いてみた。
・ファイヤ
・ファイアーボール
・ファイアーウォール
・ファイアーボルト...........
必要ないなと思いながら目を通す。
見ていると違いがあることに気がつく。色が濃くなっているものと、そうでないものがある。
「ウォーターボール」
色が薄い魔法名を唱えてみると魔法発現後、濃くなった。
使用したことがあるものは濃く使用したことがないのは薄くか...多分類似系の魔法を使用していたからだろうか名前が濃くなっているものもある。
そんな事を考えながらどんどん見ていく。
系統外魔法には空間魔法や転移魔法、契約魔法や付与魔法がのっていた。
転移とかあんま考えたことないし、イメージもできんな。空間魔法と付与魔法はいいな。
しかし、系統外魔法は詳細な魔法名が無かった。そういえばと思い、自分の荷物が取り出せないか、ためしに異空間収納と唱えてみた。
・・・・・・。
もう一度魔力を練り直し、アイテムボックスと唱えてみる。
・・・・・・。
ラノベとかだと、結構こういう時はすぐに反応してくれるけどここは違うみたいだな。
なんか反応して欲しかったが何も起こら無かった為、状況の確認を行う。
魔力の練が足りないのか、イメージ出来ていないのか。自分でそれらしい異空間のイメージを行なってみる。
次元と次元の狭間だっけ?宇宙は本当は平面だとか?んーあ!ブラックホールが出来るまでの画像を昔見たな。宇宙じゃなく次元が平面でそれを重すぎる星が突き破るとブラックホールになるから、あるかどうか分からないホワイトホールまでの間が前の世界と今の世界の狭間かな?
そんな感じでイメージしながら魔力を手のひらに集めていくと、真っ黒い円が生まれた。
これはなんだろ?とりあえずできたかな?
そう思いながら手を突っ込んでみると手首から先が消えた。痛みは無く手を戻すとちゃんとついている。
次に近くにあった石を入れて魔法を消してみた。頭の中で魔法をイメージし作り出す。また手を突っ込んで石を取り出そうとしたが手に触れる物はなかった。
イメージ自体は悪くないけど今のままだと無限ゴミ箱だしな。これはこれで使えるから無限ゴミ箱で記憶しとこう。でもな、最近じゃ魔法が増えすぎて忘れていってるしな...ステータスに同期しようとした時みたいに、このスマホと同期出来ないか?
すぐにスマホに目を移しスマホが頭の中にあるイメージをする。
頭の中にあるイメージしたら、本当に入ってきそうで怖いな。スマホよりステータスみたいな画面が頭の中にあるイメージをして、その画面にアプリがあって...
そんなことを小一時間考えていると目眩がしてきた。
まだ魔力集めてないし使ってないのに魔力枯渇か!?
ステータスに意識を向けようと思った時には意識が途切れた。
意識が戻ると辺は暗くなっていた。時計をみるともう0時、さすがに今日は寝ようと思いベッドに向かった。
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翌朝もう一度スマホの内容を確認しようと探していたがなかなか見つからない。自作したテーブルの上にもリュックの中にも。
昨日のことを振り返り、焦って泉の水面で頭を確認した。
よかったスマホが生えてる訳ではなさそうだ。
水面にはいつも通りの黒目黒髪普通顔の男が映っているだけで、冷静になり家に戻った。家に戻ってから確認のため、体の気を循環させ頭の天辺からから足のつま先まで異常がないかくまなく確認した。
うん、大丈夫だ...
「フゥ~」
一番最悪の状況にはなっていなかったので、椅子に座り休憩する。
冷静になりスマホの行方を考えてみる。
昨日意識が無くなったのは魔力枯渇の可能性しか考えられないしな...と言うことは同期に成功し消えたか、同期自体には失敗しスマホ本体が直前までイメージしていた異空間のような場所に入ったか...
考えても埒があかないので、昨日の様にスマホの画面を頭の中でイメージしていく。
すぐに反応があり頭の中でステータスの様に表示される。
よかった~とりあえずは成功だ。
内容を確認すると、「異世界ガイドブック」「魔法書」と表示された。二つは選択できるようであり、空間魔法の欄が開けるようになっていた。魔法名も載っていて、無限ゴミ箱と表示されている。
同期すると元々あった魔法名以外のモノでも掲載してくれるみたいだな...かなり便利だ!
そこからは今まで作ったことのない魔法をどんどん開発していく。
異空間収納は必須だし時間停止型と時間早回し型が欲しいかな?あと移動系は必須だな!テレポートやワープはイメージしにくいからゲートの魔法とかかな?
ぁぁあ!回復魔法もいくつか使用できるようにしとかな!。実際できなくはないがな...かなり魔力消費が激しいし、気力での回復は体力の消費が激しいからな。本当あの水なかったら何回死んでいるやら...
魔法開発は順調であった。思ったものを一度発現させスマホに魔法名が載ったら、もう一度確認する。威力の高い攻撃魔法などは境界線まで出向き、使用と開発を行なった。前回の戦闘で魔法の瞬間発動がかなり必要に迫られたため、スマホでの魔法検索機能の開発も同時に行なった。ただ、スマホ内のアプリ開発を行うと必ず意識がなくなってしまい、泉の水では全く対応出来なかった。多分ではあるが魔力だけではなく気力まで持って行かれているようで、急激すぎる現象に対応出来ないのではないかと考えられた。そんなこんなで、魔法自体は威力が弱いものから強いものまで数秒またはコンマ数秒まで高速化することにし成功し、別口アプリで異空間収納を使えるようになった。
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「だいぶ魔法も充実してきたな~。」
しっかしもっと早くスマホに気付いていればな~。まぁだとしても、今の魔力になってなければ意識失うだけだったかも知れないしな~。これはこれでよかったのかもしれないな。
実際アプリの内容変化に気付いていたとしても、前ならそこまで気に止めていなかった可能性は高い。衣食住が完璧にそろってしまい、後はこの広大な大陸を渡り人の住む地域に行く方法を模索するしかない段階になったからこそ、今回のように有効に活用できたと思われる。ちなみに「異世界ガイドブック」のマップとゲートの魔法を同期しようとしたが、やはり行ったことがないと魔法は発動しなかった。
「魔石もどうにかしたいな。」
付与魔法で魔法を刻み混むことできんのかな?
普通の魔法ばかりに目が行き付与魔法がおざなりになっていた。今までもナイフに魔力を纏わせていたが、これは魔石のような魔力を含むものに対して自己保有魔力を消費しながら現象を起こさせる事を付与出来るみたいである。
風呂も毎回自分で温めるのも面倒いしなんか上手くいかんものかねぇ...
そう思ったら即行動。今まで貯めに貯めてきた魔石に片っ端から付与魔法を行なっていく。
「綺麗だな」
付与魔法を行うと、魔石の中に立体の魔方陣が構築されるようであり綺麗なアクセサリーのように見える。
使ってみるかな?
今回込めたのは「ウォーター」の魔法だ。少し魔力を流す感じて触れてみる。
...ポタポタポタ...ピシッ...
すぐに割れてしまい粒子の様に消えてなくなる。そこから何回も試してみるが同じような結果になる。
イメージの容量が大きすぎて逆に魔力消費が大きいのか?それとも赤の魔石と相性が悪いのか?
「ウォーター」の魔法から「ファイア」の魔法に切り替え実験を行なってみる。
...シュボ............。
「魔石と魔法の相性だな。」
そのあと、一時間ほど燃え続けた。使用した魔石はホーンラビットの物であり大きさは小指の爪ほどである。かなり燃費がいいのではないかと思った。
「これならナイフの強化も出来るかもしれんな。」
ナイフ自体に纏わせるのは切れ味はいいのだがかなり魔力消費が激しく、なるべく攻撃する直前にかけることで消費を抑えていた。しかし魔石での起動は瞬間であり手に魔力を移すだけなのでかなりON・OFFが早くなり発動も容易になる。
新しい戦い方も出来るし近接戦には有効になるな...武器自体の作り替えと戦い方の変更もしよう...
そう考えまた魔石をいじる。




