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pokki-の物語  作者: pokki-
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FILE:0旅立ち

 ―僕は旅立つ 今この時 君に出逢う その時まで―


 僕は今、ただっ広い、草原の中にいる。見渡す限り草しか見えない。遠くの方に、僕のヅラが小さく見える。

 今、僕の頭を隠す物は何もない。昼の暖かい太陽の光を浴びて、目映いばかりに光っている。ヅラがないとやっぱり暑い。でも、暑い理由はこれ一つではない。走って居るからだ。遥か遠くに見える、自分のヅラに向かって。

 どれくらい走ったのかわからない。何分なのか、何時間なのか、はたまた何日なのかも。とりあえず走っている。あのヅラがないと僕は生きていけない。

 「あのヅラ高かったのに・・・。」

・・・つい、本音が漏れた。はっきり言って、本当はあのヅラがなくても、生きていける。特別愛着があった訳でも、ヅラが他にない訳でもない。ただ、高かったから無くすと悔しいのだ。あのヅラは、百均で買ったカラフルなアフロのヅラと違い、ちゃんとヅラ屋で買った、数少ないヅラなのだ。

 そんな事を言って(考えて?)いる暇があるなら、ヅラを追いかける事に集中しようと思い、ヅラを見ると、さっきより遥か遠くにヅラが見える。僕はあわてて、ヅラに少しでも近づくために、全速力で走り出した。

 今思うと、僕がヅラを飛ばされた時は、確か街のど真ん中だった筈だが、現在、僕は草原のど真ん中にいる。どうしてかこれまでの出来事を、思い出して見ようと思ったが、またヅラが僕から離れて行ってしまうかもしれないので、思い出すのはヅラを捕まえてからの楽しみにとっておく事にする。

 そんな事を考えていたら、僕の視界からヅラが消えた。

 それでも僕は走り続ける。君のため、僕のため。


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